講義名 哲学 ≪◇学部≫
講義開講時期 通年
曜日・時限 月4
単位数 4

担当教員
氏名
伊佐敷 隆弘

学習目標(到達目標)  哲学は,あらゆる学問や生活の前提になっている基礎的な概念について根本的な理解を得ることを目指す学問である。この授業では「物質」「心」「生と死」「時間」「自由」「決定論」などの概念をとりあげる。
 受講者の到達すべき目標は,
(1)日本人の死生観の4つの源泉,
(2)心身問題(心の存在と身体の存在はどんな関係なのか)への主な解答,
(3)主な哲学的時間論,
(4)決定論(運命論)
のそれぞれについて具体的に説明できるようになることである。
授業概要(教育目的)  哲学を学ぶ上で最も重要なことは「自ら考えること」である。その際,先入観にとらわれずに柔軟に考えてみよう。哲学では「このように考えなければならない」とか「このように考えてはいけない」という制限はない。ただし,哲学は学問だから,どんな主張にも根拠が必要である。自由に考えつつ,「なぜそのように考えるべきなのか」という理由を考えてみよう。上記の(1)~(4)の問題について自ら考えることを通して,考えることの面白さを体験してもらいたい。
授業計画表
 
項目内容
第1回イントロダクション 授業内容の概略を述べる。また,成績を取得するうえでの注意事項を述べる。
【準備学習】シラバスをよく読んでおくこと。
第2回日本人の死生観(1):仏教
「死後の生は可能か」という問いと心身問題(心の存在と身体の存在はどんな関係なのか)は密接に関連している。「死後の生」についての日本人の考え方(死生観)には4つの源泉がある。まず,仏教(輪廻と往生)をとりあげる。
【準備学習】プリント「哲学資料(前期)」の「日本人の死生観(1):仏教」を読んでおくこと。
第3回日本人の死生観(2):盆という習俗盆は仏教行事としておこなわれているが,その習俗には仏教以前の死生観(「近くの山の上から先祖が子孫を見守っている」という考え方)が現れている。
【準備学習】プリント「哲学資料(前期)」の「日本人の死生観(2):盆という習俗」を読んでおくこと。
第4回日本人の死生観(3):儒教儒教には「生命の連続としての家」という死生観がある。
【準備学習】プリント「哲学資料(前期)」の「日本人の死生観(3):儒教」を読んでおくこと。
第5回日本人の死生観(4):キリスト教キリスト教の死生観は,「歴史も人生も1回限り」という点に最大の特徴がある。
【準備学習】プリント「哲学資料(前期)」の「日本人の死生観(4):キリスト教」を読んでおくこと。
第6回日本人の死生観(5):4つの考え方の比較日本人の死生観の4つの源泉を「因果応報」(「善い行為には良い報いが生じ,悪い行為には悪い報いが生じる」という考え方)および,「死者と生者の関わり」,「死者の個別性」という3つの観点から比較する。
受講者自身の死生観はこれら4つの死生観がどのように混ざったものであるか自分で考えてみよう。
【準備学習】プリント「哲学資料(前期)」の「日本人の死生観(5):4つの考え方の比較」を読んでおくこと。
第7回心身問題(1):物心二元論と物質一元論の対立心身問題(心の存在と身体の存在はどんな関係なのか)への主な解答は4つある。それらのうちで特に有力な「物心二元論」(宗教的自然観)と「物質一元論」(自然科学的自然観)を比較する。
【準備学習】プリント「哲学資料(前期)」の「心身問題(1):物心二元論と物質一元論の対立」を読んでおくこと。
第8回心身問題(2):物心二元論のデカルトによる論証デカルト(16~17世紀)は物心二元論の論証をおこなった。その論証は「方法的懐疑→考える我→神の存在証明→物質の存在」というように進む。
【準備学習】プリント「哲学資料」の「心身問題(2):物心二元論のデカルトによる論証」を読んでおくこと。
第9回心身問題(3):物質一元論①心脳同一説物質一元論のひとつである心脳同一説は「心の正体は脳である」と主張する。
【準備学習】プリント「哲学資料(前期)」の「心身問題(3):物質一元論①心脳同一説」を読んでおくこと。
第10回心身問題(4):物心二元論の弱点物心二元論の最大の弱点は,「血液中のアルコール濃度が上昇する(=飲酒する)と,気分が陽気になる」というようなありふれた現象(身体から心への作用)をうまく説明できないことである。
【準備学習】プリント「哲学資料(前期)」の「心身問題(4):物心二元論の弱点」を読んでおくこと。
第11回心身問題(5):物質一元論の弱点物質一元論の最大の弱点は,「単なる物質が意識を持つ」という事実(たとえば,「色センサーに色は見えていないのに対し,人間には色が見えている」という事実)をうまく説明できないこと(クオリア問題)である。
【準備学習】プリント「哲学資料(前期)」の「心身問題(5):物質一元論の弱点」を読んでおくこと。
第12回心身問題(6):物質一元論②機能主義
物質一元論には,心脳同一説(①)の他に,「心とは脳の機能である」と主張する機能主義(②)がある。①と②は「ロボットが心を持つことは可能か」に関して異なる主張をする。(①は「不可能だ」,②は「可能だ」と主張する。)
【準備学習】プリント「哲学資料(前期)」の「心身問題(6):物質一元論②機能主義」を読んでおくこと。
第13回心身問題(7):精神一元論
精神一元論は「すべては夢のようなもの」と主張する。
【準備学習】プリント「哲学資料(前期)」の「心身問題(7):精神一元論」を読んでおくこと。
第14回心身問題(8):中性一元論
中性一元論は「世界は物質でも精神でもない実体からできている」と主張する。
【準備学習】プリント「哲学資料(前期)」の「心身問題(8):中性一元論」を読んでおくこと。
第15回中間のまとめ
まとめ
第16回イントロダクション後期の授業内容の概略を述べる。
【準備学習】シラバスをよく読んでおくこと。
第17回時計とカレンダー哲学的時間論への準備として人類が時間をどのように捉えてきたかを振り返る。
【準備学習】プリント「哲学資料(後期)」の「no.1 時計とカレンダー」を読んでおく。
第18回円環的時間感覚と直線的時間感覚人類の時間感覚には,四季のように時間が繰り返すという感覚と,キリスト教の歴史観や自然科学の時間概念のように時間を直線で捉えるものとがある。
【準備学習】プリント「哲学資料(後期)」の「no.2 円環的時間感覚と直線的時間感覚」を読んでおく。
第19回宇宙創成論と時間宇宙はどうやって始まったかについて神話や宇宙物理学が提出している答えを紹介する。
【準備学習】プリント「哲学資料(後期)」の「no.3 宇宙創成論」を読んでおく。
第20回時間と永遠時間は流れている。これに対し,永遠はとどまっている。「永遠」概念について説明する。
【準備学習】プリント「哲学資料(後期)」の「no.4 時間と永遠」を読んでおく。
第21回さまざまな時間論(1):ニュートンの時間論ニュートン(17~18世紀)は宇宙にどんな運動がないとしても時間は流れていると考え,それを「絶対時間」と呼んだ。
【準備学習】プリント「哲学資料(後期)」の「no.5 ニュートンの時間論」を読んでおく。
第22回さまざまな時間論(2):アウグスティヌスの時間論アウグスティヌス(4~5世紀)によれば,過去とは記憶の別名であり,未来とは予期の別名である。
【準備学習】プリント「哲学資料(後期)」の「no.6 アウグスティヌスの時間論」を読んでおく。
第23回さまざまな時間論(3):アリストテレスの時間論アリストテレス(前4~前3世紀)は「運動だけでは時間は生まれない。時間とは運動の数である」と主張した。「運動の数」とは何か。
【準備学習】プリント「哲学資料(後期)」の「no.7 アリストテレスの時間論」を読んでおく。
第24回さまざまな時間論(4):カントの時間論カント(18~19世紀)によれば,時間は世界の持つ性質ではなく,世界を認識する人間の心の持つ形式である。
【準備学習】プリント「哲学資料(後期)」の「no.8 カントの時間論」を読んでおく。
第25回さまざまな時間論(5)ハイデガーの時間論ハイデガー(19~20世紀)は時間を人間の存在の本質だと考えた。知らない内にこの世に生まれ落とされ,常に今の自分から抜け出そうとする存在が人間である。
【準備学習】プリント「哲学資料(後期)」の「no.9 ハイデガーの時間論」を読んでおく。
第26回さまざまな時間論(6)マクタガートの時間論マクタガート(19~20世紀)は「流れる時間は矛盾しており,本当は実在していない」と主張し,その「証明」と称するものを提出した。
【準備学習】プリント「哲学資料(後期)」の「no.10 マクタガートの時間論」を読んでおく。
第27回自由と決定論(1):因果的決定論因果的決定論とは「世界に起こる出来事はすべて自然法則によってあらかじめ決まっている」という主張である。
【準備学習】プリント「哲学資料(後期)」の「no.11 因果的決定論」を読んでおく。
第28回自由と決定論(2):神学的決定論神学的決定論とは「世界に起こるすべての出来事を神は知っているから,未来の出来事も既に決まっている」という主張である。
【準備学習】プリント「哲学資料(後期)」の「no.12 神学的決定論」を読んでおく。
第29回自由と決定論(3):論理的決定論論理的決定論とは「どんな命題も真か偽であるから,未来の出来事について述べる命題も真か偽のどちらかに決まっている」という主張である。
【準備学習】プリント「哲学資料(後期)」の「no.13 論理的決定論」を読んでおく。
第30回まとめ
全体のまとめ
授業形式 ・講義形式でおこなうが,受講者からの質問や感想を紹介したり,受講者に対して質問するなど,なるべく双方向の授業にする。
・小テストの答案は返却するので,間違えた箇所をしっかり復習すること。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 講義態度
(出席)
その他 合計
50% 0% 30% 20% 0% 100%
評価の特記事項 前期に小テスト1回(15%)と中間試験(25%)をおこない,後期に小テスト1回(15%)と学年末試験(25%)をおこなう。出席点は20点マイナス欠席回数。なお,毎回出席を取る。
テキスト プリント「哲学資料(前期)」と「哲学資料(後期)」をEcolinkからダウンロードし,印刷して持参すること。(授業中の携帯・スマホの使用は厳禁。)
参考文献 授業中に紹介する。
オフィスアワー(授業相談) 授業の前か後にアポイントメントを取り,指定された時間帯に本館2階講師室に来ること。
事前学習の内容など,学生へのメッセージ ・質問や感想を出席票の裏に書いてみよう。次の週の授業の際に回答・紹介します。
・授業は集中して受けてください。教室に座っているだけでは受講したことになりません。
・授業中の私語・スマホ(携帯電話)の使用は厳禁です。(私語は教室内の他の学生の授業を受ける権利を侵害する行為です。)
・遅刻した場合は,教室の後ろのドアから入り,他の学生の迷惑にならないようにドア近くの席に静かに座ってください。