講義名 文学A ≪□第一部≫
講義開講時期 通年
曜日・時限 金2
単位数 4

担当教員
氏名
唐澤 正実

学習目標(到達目標)  日本の伝統的な文芸である「和歌」を読み解くことを通して日本文化の一端を学びます。テキストには鎌倉時代初期に編纂された八番目の勅撰和歌集『新古今和歌集』を用いて、古代、中世の人々の美意識や価値観について考えます。
1.我が国固有の文化である和歌文学の基礎的な知識を学び、「和歌」について自らの言葉で説明できるようにします。
2.和歌に詠まれた様々な表現を学ぶことで、古代や中世の人々の美意識や想像力に触れ、現代を生きる私たちに通じる部分について考えます。
3.勅撰和歌集の配列(歌の並び方)について学び、「構想力」とは何かについて考えます。




授業概要(教育目的) 『新古今和歌集』の四季歌、恋歌を中心にとりあげ、一首一首丹念に読み解くとともに、それらの歌がどのように並べられているかを合わせて考えます。一首の和歌表現からは主として作者の「想像力」、和歌の配列からは、撰者の「構想力」が見て取れます。それらを合わせて日本人の美意識について学び、日本人としての教養を身につけてください。





授業計画表
 
項目内容
第1回授業ガイダンス授業の進め方やルール、評価方法、補助プリントのダウンロード方法について説明します。
第2回日本の文学史、和歌史と文字時代区分や和歌の歴史について概説し、和歌文学の礎となった日本の文字についても学びます。
【準備学習】
私たちが使っている「文字」について各自で調べてきてください。
第3回新古今和歌集への道1勅撰和歌集の歴史を概説し、なぜ勅撰和歌集が編まれ、和歌が日本のメインカルチャーになったかについて考えます。
【準備学習】
日本の古代の歴史、特に奈良時代や平安時代がどのような時代であったか高校時代に学んだことを復習してきてください。
第4回新古今和歌集への道2新古今和歌集の成立と撰集方法についてテキストを用いて説明します。
【準備学習】
テキストの解説を読んできてください。
第5回新古今和歌集「立春」歌群1・新古今集巻頭歌の持つ意味について
新古今和歌集巻頭歌の内容を説明し、巻頭歌の持つ意味について考え、新古今和歌集という撰集の政治的な意味を明らかにします。
【準備学習】
補助プリントをダウンロードし、読んできてください。
第6回新古今和歌集「立春」歌群2・神話と和歌の関係について
立春二番歌について説明し、神話と和歌の関係について考え、この位置に配列された意味を明らかにします。
【準備学習】
補助プリントをダウンロードし、読んできてください。
第7回新古今和歌集「立春」歌群3・新古今時代の女流歌人の和歌について
立春三番歌を詳説し、新古今時代の女流歌人の和歌について考えます。
【準備学習】
補助プリントをダウンロードし、読んできてください。
第8回新古今和歌集「立春」歌群4・西行と俊成の歌について
立春歌群にある西行と俊成の歌について説明し、朝廷歌人と漂白の異端歌人の差異性について考えます。
【準備学習】
補助プリントをダウンロードし、読んできてください。
 
第9回新古今和歌集「立春」歌群5・「立春」歌群の構成意図について
立春歌群全体の構成意図について説明し、その構想を明らかにします。
【準備学習】
補助プリントをダウンロードし、読んできてください。
 
第10回新古今和歌集「鶯」の歌と古今和歌集・本歌取りの具体的な表現手法について
「鶯」歌群の歌を取り上げ、当時の代表的な表現技法だった本歌取りについて具体的に説明します。
【準備学習】
補助プリントをダウンロードし、読んできてください。
 
第11回物語世界と和歌1・新古今和歌集の春歌と伊勢物語の関係
新古今和歌集の春歌と伊勢物語4段の関係について説明し、本歌取りの発展形である表現方について考えます。
【準備学習】
補助プリントをダウンロードし、読んできてください。
第12回物語世界と和歌2・恋的な雰囲気のある「春」の歌①
伊勢物語を背景とする恋的な雰囲気のある「春」の歌について考えます。
【準備学習】
補助プリントをダウンロードし、読んできてください。
第13回物語世界と和歌3・恋的な雰囲気のある「春」の歌②
引き続き伊勢物語を背景とする恋的な雰囲気のある「春」の歌について考えます。
【準備学習】
補助プリントをダウンロードし、読んできてください。
第14回古典籍の世界コラム的に概説し、文化の継承とはなにかについて考えます。
第15回前期のまとめ前期授業の内容について理解度を確認します。
【準備学習】
前期にとったノートや、使用した補助プリントを読み返してきてください。
第16回後期授業ガイダンス前期授業で学んだ重要事項について確認し、後期授業の予定について説明します。
第17回「三夕」の歌1・「三夕(さんせき)」の歌について
新古今和歌集「秋」の歌から、「秋の夕暮」を詠んだ「三夕(さんせき)」の歌について学び、なぜ後代にこの三首が特別扱いにされたかを明らかにします。
【準備学習】
補助プリントをダウンロードし、読んできてください。
第18回「三夕」の歌2・寂蓮、西行の歌について
「三夕」の歌のうち、寂蓮、西行の歌について取り上げ、それぞれの美意識について比較します。
【準備学習】
補助プリントをダウンロードし、読んできてください。
第19回「三夕」の歌3・藤原定家の「秋の夕暮」と源氏物語の関係
「三夕」の歌のうち、藤原定家の「秋の夕暮」と源氏物語の関係を考え、物語を背景とした美意識について考えます。
【準備学習】
補助プリントをダウンロードし、読んできてください。
第20回「三夕」の歌4・新古今和歌集「三夕」歌群の構成意図について
新古今和歌集「三夕」歌群の構成意図について考え、新古今和歌集の成立段階でそれが変化した意味を明らかにします。
【準備学習】
前回までの授業内容を復習するとともに、補助プリントをダウンロードし、読んできてください。
第21回新古今和歌集の恋歌1・恋歌の基本と「恋一」の世界
勅撰和歌集における恋歌の基本的な概念と「恋一」の世界について説明します。
【準備学習】
補助プリントをダウンロードし、読んできてください。
第22回新古今和歌集の恋歌2・「忍恋」の世界
新古今和歌集「恋一」にある「忍恋(しのぶるこい)」の歌群について説明し、古代の人々の恋愛の形式や恋愛観について考えます。
【準備学習】
補助プリントをダウンロードし、読んできてください。
第23回新古今和歌集の恋歌3・「久忍恋」の世界
引き続き新古今和歌集の「忍恋(しのぶるこい)」の歌群について説明し、個々の和歌に現れた恋歌の表現や配列構想について考えます。
【準備学習】
補助プリントをダウンロードし、読んできてください。
第24回新古今和歌集の恋歌4・多様化する恋歌について
新古今和歌集「恋二」の中の恋歌をとりあげ、当時多様化してきた恋歌の表現について考えます。
【準備学習】
補助プリントをダウンロードし、読んできてください。
第25回新古今和歌集の恋歌5・様々な恋歌の世界
新古今和歌集「恋二」での恋歌の配列を取り上げ、連続性と対称性という構想について明らかにします。
【準備学習】
補助プリントをダウンロードし、読んできてください。
第26回新古今和歌集の恋歌6・恋の終わり~「恋五」の世界
新古今和歌集「恋五」巻頭の和歌を鑑賞し、古代・中世の人々の恋の終わりのかたちと、そこに美意識を見出した歌人たちの価値観について考えます。
【準備学習】
補助プリントをダウンロードし、読んできてください。
第27回新古今和歌集から百人一首へ新古今和歌集の後に成立した百人一首の成立問題について概説し、その問題点を明らかにする。
【準備学習】
補助プリントをダウンロードし、読んできてください。
第28回新古今和歌集の美意識和歌に見る日本人の美意識について授業を振り返りながらあらためて考えます。
【準備学習】
前後期の授業内容を復習し、補助プリントをダウンロードし、読んできてください。
第29回後期のまとめ後期授業の内容について理解度を確認します。
【準備学習】
後期にとったノートや、使用した補助プリントを読み返してきてください。
第30回まとめ年間の授業のまとめをします。
【準備学習】
テキスト、ノート、前後期の補助プリントを読んできてください。
授業形式 テキスト、スライド、プリントを用いた講義形式の授業ですが、毎回ノートを取ることが必要です。授業中は質問や簡単なペーパーを課す場合もあります。なお、授業の進捗度によっては授業計画が一部変更になる場合もあります。




評価方法
定期試験 レポート 小テスト 講義態度
(出席)
その他 合計
80% 0% 10% 10% 0% 100%
評価の特記事項 定期試験を中心に総合的に評価しますが、30名以上の受講者がある場合は相対評価とします。到達度、理解度をはかるため、授業中適宜小テストを行います。
テキスト 『校訂 新古今和歌集』武蔵野書院 1500円(25年度価格)
参考文献 適宜EcoLinkにプリント資料をUPします。事前に必ず予習し、印刷して各自持参してください。プリントは授業時には配布しません。
オフィスアワー(授業相談) 金曜日4限(14:40~16:10)、本館2階講師室まで来てください。
事前学習の内容など,学生へのメッセージ 日本の古典文学、日本文化や歴史に興味があり、主体的に学びたい学生の受講を希望します。和歌の内容については、各自詠まれたイメージを想像してみてください。専門用語については適宜説明します。
原則として出席は毎回とります。3分の1以上欠席した場合は単位認定しません。
受講を希望する場合は第1回目の授業に必ず出席してガイダンスを受けてください。なお、4年生、保健体育審議会の学生は、第1回目の授業終了後に別途説明を受けてください。
授業中の私語・飲食は厳禁。他の受講者に迷惑がかかる行為があった場合は退席してもらう場合もあります。