講義名 社会学 ≪□第一部≫
講義開講時期 通年
曜日・時限 木3
単位数 4

担当教員
氏名
田中 理恵子

学習目標(到達目標) 社会学の主だった学説を学ぶと同時に,社会諸科学が誕生した近代社会についての基礎的知識を学ぶ。これらを通じ,社会学の方法論や研究射程を軸に,身近なことがらを社会的な問題に引きつけて考える想像力を養う。たとえば,「グローバル化」や「ポストモダン」などとよばれる今日的現象が意味するものについて,多様な視角から検討する。とりわけ,経済学の学習を深化させるために有益な「社会のとらえ方」を学び,現代社会の「今・ここ」で展開する経済と社会の関係性について,包括的に検討する構想力を養う。
授業概要(教育目的) 社会学が,現代社会の問題分析に幅広い有効な視覚を提示し得ることを解説する。現代社会は,グローバル化,情報化,さらには消費社会化といったさまざまな様相を呈している。これらは,主として19世紀以降に開始された,近代化(合理化,民主化,産業化等)の帰結といえる。本講座ではこの前提を踏まえ,現代社会の「現状」と「課題」について社会学的に分析し,多角的に検討する。前期は主として社会学の主要な学説を中心に,後期は私たちが日々接する現代社会の検討を眼目として講義を進める。これらを通じ,一見雑多に見える現代社会の様態を,深く真摯に問い直す。
授業計画表
 
項目内容
第1回ガイダンス講義の進め方、成績評価の方法など重要事項を説明する。履修希望者は必ず出席すること。
第2回「社会学」はなぜ生まれたのか近代市民社会と社会学誕生の背景,および今日に至るまでの課題を解説する。
第3回「合理化」される社会M.ウェーバーの理解社会学と近代化論を解説する。
第4回「合理化」と「マクドナルド化」M.ウェーバーが提起した「合理化」についての今日的視角を問い直す。
第5回社会は「実在」するのかE.デュルケムの社会学主義と社会的事実について解説する。
第6回社会現象としての自殺E.デュルケムの自殺論を軸に方法論的集団主義の手法を解説する。
第7回「生」と「形式」の闘争G.ジンメルの「生の哲学」と「形式社会学」について解説する。
第8回社会における「暴力」とは何かフランクフルト学派と批判理論の射程を検討する。
第9回「大衆社会」の再検討啓蒙理性から大衆消費社会へと至る批判理論の今日的課題について解説する。
第10回「学校」「病院」「監獄」の誕生M.フーコーと「生-権力」について、近代社会システムにおける諸問題から解説する。
第11回「人口」「衛生」「国民国家」の発見後期M.フーコーの分析視角から、マクロな生の管理のあり方について解説する。
第12回ジェンダーを考えるテキスト『無頼化する女たち』を軸に、一般に「男らしさ」「女らしさ」として考えられる文化・社会的な性差について社会学的な視角から検討する。
第13回現代社会にとって「宗教」とは何かP.L.バーガー「聖なる天蓋」論を軸に、今日の社会における宗教の意義を検討する。
第14回社会学的な視角とは何かC.W.ミルズの「社会学的想像力」を軸に、社会学的なものの考え方を包括的にとらえ直す。
第15回中間まとめまとめ
第16回現代日本の問題を考えるテキスト『平成幸福論ノート』を軸に、高度成長期から今日に至る日本社会の問題を検証する。
第17回労働の社会学近代的労働観と今日的課題について解説する。
第18回家族の社会学人口動態から見る現代社会の様態を検証する。
第19回家族と生活文化戦後日本社会の変遷を軸に、家庭生活文化が消費社会化されていく過程を解説する。
第20回結婚・恋愛の社会学家族関連行動と恋愛の消費社会化を軸に解説する。
第21回「住まう」技法と家族生活団地からシェアハウスに至る集合生活のあり方の変遷を解説する。
第22回消費の社会学高度成長時の「家電三種の神器」「3C」から、昨今の「ファスト消費」「嫌消費」までを検証する。
第23回消費社会の行方消費の新たな局面に就いて「スロー」「ローカル」「コンパクト」を軸に 解説する。
第24回コミュニティの現在今日問題視される地域社会の人間関係の希薄化と「つながり」の再編を軸に検証する。
第25回都市文化・テクノロジー・服飾革命近代化にともなう技術の進展や都市化が主として服飾に与えた影響を文化社会学的観点から検証する。
第26回戦後社会とモード戦後の若者文化の隆盛とその後の多層化について解説する。
第27回現代社会と「身体」メディアやファッションの変遷が示す身体像の文化社会的状況について検討する。
第28回情報社会とコミュニケーションの変容情報技術の進展にともうなうコミュニケーション関係の変容とその社会的影響について解説する。
第29回異文化理解の視座今日のグローバル化と多文化共生の必要性について解説する。
第30回まとめ16回以降の要点まとめ
授業形式 講義形式で行う。適宜PowerPointやDVDなどの視覚教材も活用する。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 講義態度
(出席)
その他 合計
50% 30% 0% 20% 0% 100%
評価の特記事項 定期試験は前期・後期末に行う。夏季休暇中にレポートを課す。講義時間内には不定期のリアクション・ペーパーを課し,これをもって「講義態度」の参考とする。
テキスト 田中理恵子,2011『平成幸福論ノート 変容する社会と「安定志向の罠」』光文社新書,777円.
水無田気流,2014『無頼化した女たち』亜紀書房,1890円.
参考文献 多岐にわたる内容を取り扱うため、講義中適宜指示する。
オフィスアワー(授業相談) 質問がある場合は講義前後に直接質問に来るか、あるいは講師控室に来訪すること。
事前学習の内容など,学生へのメッセージ 本講義で取り上げる題材や分析視角を基盤として,日常的で身近なことがらをさまざまな側面から検討する思考力を鍛えてください。積極的な受講姿勢を歓迎します。