講義名 心理学　≪□第一部≫
講義開講時期 通年
曜日･時限 火４
単位数 4

担当教員
氏名
土屋　明夫

学習目標(到達目標) 我々一人一人は、“人間”として生を受け、その生をこの社会の中で全うしていく存在である。
これから学ぶ「心理学」は、“人つまり我々自身の日常生活での心理や行動の背景のあり方はどのような仕組みになっているのか”について、科学的（客観的）な視点から解明していく学問である。
そこで、受講生には、この心理学を通して、自分自身（人間）を見つめ直し、自己および人間全般に対する理解が一層深められるようになり、今後の各自の日常生活において、納得のいく生き方が出来るようになってもらうことを目標とする。
授業概要(教育目的) 人の“こころ”とは何か。分かっているようで捉えどころがない問題である。そこで、“こころ”を“人の生き方”と置き換えてみると理解し易いのではないだろうか。この“人の生き方”を科学的な方法で理解しようとするのが、「心理学」である。
そこで、講義のテーマは「人とはどんな特徴を備えた存在か」「人は周りの環境をどのように受け入れ判断し、意識や行動につなげていくのか」「人は周りの人々とどのように関係しながら生きていくのか」など、“人の生き方”を基礎的（生理学的）レベルから社会的レベルまでを踏まえて解説することになるが、受講生には、各自の生き方により一層強い関心をもつようになってもらうことを目的とする。
授業計画表
 
回項目内容
第1回ガイダンス人間の理解における「心理学」の重要性。
授業の進め方。
アカデミック・スキルズ（ノートの取り方など）。
参考文献の紹介など。
第2回心理学ー“こころの科学”ーとは何か（１）心理学の特徴（心理学の対象、方法論など）。
心理学の歴史（“こころ”をどのように理解しようとしてきたか）。
人とロボットの比較を通して“人の特徴”を考えてみる。
第3回心理学ー“こころの科学”ーとは何か（２）心理学の歴史（①「心理学」成立前の“こころ”の捉え方、②人の“こころ”を科学的（客観的）方法で理解することは可能か、③科学としての心理学成立以降の“こころ”の捉え方など）。
第4回“こころ”の基礎（１）生理的基礎（脳の構造と機能など）。
第5回“こころ”の基礎（２）言語、動機づけ、感情など。
第6回人は周りの状況とどのように関わりあって生活を営んでいるか（１）環境の認知（感覚・知覚とは、知覚の体制化など）。
第7回人は周りの状況とどのように関わりあって生活を営んでいるか（２）知覚の諸相（奥行知覚、運動知覚、錯覚現象など）。
第8回人は周りの状況とどのように関わりあって生活を営んでいるか（３）記憶の働き（記憶の意味・過程、記憶の情報処理モデルなど）。
《記憶に関する簡単な実験を実施し、その結果を基に講義する》
記憶の変化（忘却の原因、記憶内容の変化など）。
第9回人は周りの状況とどのように関わりあって生活を営んでいるか（４）学習とは（学習の理論、学習の効果への影響要因など）。
思考と言語（問題解決と推論など）。
第10回人の発達とは何か（１）ー 人は生涯をどのように生きてゆくのか ー人の発達とは、発達の視点、発達の特徴、発達に関する理論など。
第11回人の発達とは何か（２）ー 人は生涯をどのように生きてゆくのか ー各発達段階の特徴（青年期の課題とは）など。
第12回人の個性とは何か（１）性格とは何か、性格に関する諸理論、性格検査など。
第13回人の個性とは何か（２）知能とは何か、知能に関する諸理論、知能検査など。
第14回理解度の確認これまでの要点のまとめ
第15回中間のまとめまとめ
第16回人の社会的行動（１）
ー人は周囲の人々と、どのように関係しながら生活を営んでいるかー		対人認知（情動の認知、他者のパーソナリティの認知など）。
第17回人の社会的行動（２）
ー人は周囲の人々と、どのように関係しながら生活を営んでいるかー		態度と態度変容（態度の特性、態度の形成、態度に関する諸理論など）。
第18回人の社会的行動（３）
ー人は周囲の人々と、どのように関係しながら生活を営んでいるかー		説得と態度変容（説得的コミュニケーションの効果、説得のテクニック、説得への抵抗など）。
第19回人の社会的行動（４）
ー人は周囲の人々と、どのように関係しながら生活を営んでいるかー		対人魅力（対人魅力の規定要因、恋愛の心理など）。
人間関係の力学（社会的交換理論など）。
第20回人の社会的行動（５）
ー人は周囲の人々と、どのように関係しながら生活を営んでいるかー		援助行動や攻撃行動の心理および行動力学。
第21回人の社会的行動（６）
ー人は周囲の人々と、どのように関係しながら生活を営んでいるかー		集団・集合とは何か。大衆の意味・心理など。
第22回人の社会的行動（７）
ー人は周囲の人々と、どのように関係しながら生活を営んでいるかー		集団的影響過程（集団の中での個人から個人への影響性、権威に対する服従の心理など）。
第23回人の社会的行動（８）
ー人は周囲の人々と、どのように関係しながら生活を営んでいるかー		集団的影響過程（集団から個人への影響性、集団圧力に対する同調行動など）。
冤罪が生じる背景など。
第24回人の社会的行動（９）
ー人は周囲の人々と、どのように関係しながら生活を営んでいるかー		集団的影響過程（個人から集団への影響性、リーダーと集団の関係、リーダーシップとは、リーダーシップ理論など）。
第25回人が環境に適応するとはどういうことか（１）適応、不適応とはどういうこか。
第26回人が環境に適応するとはどういうことか（２）臨床心理学の誕生、発展など。
第27回人が環境に適応するとはどういうことか（３）こころの問題の諸相（登校拒否、スチューデント・アパシー、摂食障害など）。
第28回人が環境に適応するとはどういうことか（４）こころのケア（メンタルヘルス、こころへのケアの方法・効果、カウンセリングの方法・効果など）。
第29回理解度の確認16回以降の要点のまとめ
第30回年間のまとめ全般のまとめ
授業形式 スライドを使用しての講義が中心であるが、“こころの科学”としての心理学をよく理解してもらうために、簡単な実験や調査なども実施し、そのデータを踏まえての講義なども取り入れながら進める。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 講義態度
（出席） 		その他 合計
80% 20% 0% 0% 0% 100%
評価の特記事項 「中間・学年末」の両試験の成果（一方の試験を無断欠席の場合、未履修扱いとする）および教室での意見発表や実験レポートの提出など、積極的な授業への取り組む姿勢も評価の対象とする。
テキスト 野々村、土屋、藤生ら共著『こころへのアプローチ』（新訂版）田研出版、2012.
参考文献 土屋明夫編著『発達と学習ー教育場面での心理学ー』八千代出版、2005.
田之内、土屋、和田ら共著『ガイド　社会心理学』北樹出版、2006.
オフィスアワー(授業相談) 講義に関する質問や他の相談は、基本的には、授業時や授業終了時に受けることにする。その時点で、必要があれば本館２階講師室で応じる場合もある。
事前学習の内容など，学生へのメッセージ 人の理解には、自分自身なり人間一般に関心を持ち、その行動や心理を観察し、じっくり考えてみる姿勢が必要とされる。それ故に、授業には積極的に出席し、講義で取り上げられるテーマについては、講義終了後に、ともかく自身でもう一度考え、確認してみることが大切である。そこで生じた疑問は、そのままにせず、質問をしたり、テキストや参考文献などに目を通し、ある程度納得がいくまで“つきつめて考えてみる”ことを習慣づけてもらいたい。そのように“熟考する”姿勢が、次第に自分自身や人間全般に関心をもたせることになり、ひいては心理学に興味が涌くことにもつながってくる。