講義名 産業組織論 ≪□第一部≫
講義開講時期 通年
曜日・時限 水5
単位数 4

担当教員
氏名
手塚 広一郎

学習目標(到達目標) この講義を通して,1)受講者が「産業組織論」の枠組み(や考え方)を理解し,2)それをつかって現実の政策に応用できるようになることを目標とします.その際,3)競争政策のもつ意義と課題について考えることができるようになることも,目標とします.
授業概要(教育目的) 本講義では,産業組織論の主要なトピックについて,詳しく説明/解説します.本講義を履修することで,当該分野に対する理解を深めてもらうことが,教育上の主たる目的です.なお,講義の内容にはミクロ経済学Ⅰ,Ⅱの内容の復習も含まれており,本講義を受けることでこれらのミクロ経済の理解を深めることも,目的としてあげられます.
授業計画表
 
項目内容
第1回ガイダンス通年にわたる講義のガイダンスを行います.
第2回産業組織論とは何か? ~産業組織論の目的と分析の範囲~産業組織論とミクロ経済学の関係などについて述べます.
第3回産業組織論における分析の基礎的枠組み ~S-C-Pパラダイム~産業組織論の基本的な分析枠組みであるS-C-Pパラダイムについて説明します.
第4回ミクロ経済学における企業の理論 (その1) 生産関数と企業のとらえ方ミクロ経済学で学んだ企業の理論について復習します.
第5回ミクロ経済学における企業の理論 (その2) 様々な費用概念ミクロ経済学で学んだ企業の理論について復習します.
第6回ミクロ経済学における企業の理論 (その3) 利潤最大化行動ミクロ経済学で学んだ企業の理論について復習します.
第7回完全競争市場と経済厚生完全競争市場のもつ意味について確認します.
第8回市場の諸類型と経済厚生 -独占,寡占,独占的競争,完全競争市場市場の分類と経済厚生の関係について解説します.
第9回独占市場の特徴と企業行動独占市場における企業行動について説明します.
第10回独占市場と経済厚生独占市場における経済厚生について述べます.
第11回市場の画定と市場集中「市場の画定」と「市場の集中」それぞれが持つ意味について説明します.
第12回参入障壁と退出障壁参入・退出障壁について説明します.
第13回製品差別化による競争製品差別化に焦点を当てて解説します.
第14回規模の経済性,範囲の経済性,ネットワークの経済性様々な経済性の概念とその意味について説明します.
第15回中間のまとめまとめ
第16回合併と垂直的取引制限合併などの経済厚生に与える影響を講義します.
第17回ゲーム理論の基礎(その1) ~ゲーム理論の考え方~ゲーム理論の基礎的な内容説明します.
第18回ゲーム理論の基礎(その2) ~非協力ゲームとナッシュ均衡~ゲーム理論の基礎的な内容を説明します.
第19回寡占市場における競争(その1) ~クールノー競争~寡占市場にゲーム理論の枠組みを当てはめたモデルを紹介します.
第20回寡占市場における競争(その2) ~ベルトラン競争とその他の寡占市場のモデル~寡占市場にゲーム理論の枠組みを当てはめたモデルを紹介します.
第21回カルテルの形成と安定性カルテルや企業間の協調行動を取り上げて,その安定性について,ゲーム理論の枠組みを当てはめて説明します.
第22回戦略的参入阻止行動とコンテスタブル市場の理論(その1)戦略的参入阻止の問題を取り上げます.
第23回戦略的参入阻止行動とコンテスタブル市場の理論(その2)コンテスタブル市場について説明します.
第24回不完全情報と広告広告が経済厚生に与える影響について紹介します.
第25回研究開発活動と特許研究開発と特許について経済的な枠組みでの分析を紹介します.
第26回市場成果の計測手法とその評価実証的な面から市場成果の評価について解説します.
第27回産業組織論におけるS-C-Pパラダイム  ~再考~第2回でお話ししたS-C-Pパラダイムについて再び検討します.
第28回独占禁止政策独占禁止政策について法的な観点も含めてご紹介します.
第29回直接規制政策とその課題 経済的規制および社会的規制とそのあり方に関わる問題について説明します.
第30回まとめまとめ
授業形式 授業は講義形式で行います.出席状況を把握するために時に簡単なクイズを行い,あわせて小テストなども行う予定です.
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 講義態度
(出席)
その他 合計
70% 20% 0% 10% 0% 100%
評価の特記事項 講義の中で授業出席状況の把握もかねて,クイズや小テストなどを行うことがあります.これらは,最終的な成績の評価に加味されます.
テキスト テキストは指定しません.
参考文献 井手秀樹・鳥居昭夫・竹中康治『入門・産業組織論』有斐閣,2010.
泉田成美・柳川隆『プラクティカル・産業組織論』有斐閣アルマ,2008.
植草益・井手秀樹・竹中康治・堀江明子・菅久修一『現代産業組織論』NTT出版,2002.
小田切宏之『新しい産業組織論』有斐閣,2001.
オフィスアワー(授業相談) 月曜日13:00~15:00をオフィスアワーとします.必ず事前にアポイントをとってください.
事前学習の内容など,学生へのメッセージ 産業組織論は,ミクロ経済学の応用分野といえます.そこで,皆さんがミクロ経済学Ⅰ・Ⅱなどで勉強してきたことについて,具体的にどのように当てはめて考えるか,ということに焦点を当ててお話します.なお,ミクロ経済については,その都度復習しながら進めます.