講義名 経済地理学 ≪昼夜共通≫
講義開講時期 通年
曜日・時限 木5
単位数 4

担当教員
氏名
宮地 忠幸

学習目標(到達目標) 1.経済地理学の見方、考え方を説明できる。
2.経済現象の地域的差異の特徴とその背景を説明できる。
3.立地論から経済現象の差異を理論的に説明できる。
4.資本の論理と地域の論理の違いからもたらされる「地域問題」を説明できる。
授業概要(教育目的) 経済活動は地域的に均等に展開するわけではなく,集中や分散を通して不均等に展開している。これは経済活動の主体である資本等が,「地域の最適利用」を目指すことと大きくかかわっている。そこで本講義では,次のような流れで経済地理学的見方、考え方を捉えていく。前期は,経済地理学の方法論の特性を把握したうえで,経済現象の地域的差異を具体的に把握していく。後期は,経済地理学の方法論の一つである立地論を軸に,経済現象の地域的差異を理論的に整理する。これらを踏まえて、資本の論理と地域の論理を整理し、「地域問題」の特性を考察したい。
授業計画表
 
項目内容
第1回ガイダンス経済現象の地域的差異を把握することの重要性を考える。
第2回経済地理学の歩みと課題経済地理学の特性(対象,方法論)とその変化,課題について明らかにする。
第3回所得の地域的不均等とその要因(1)所得の地域的不均等の変化と現局面を明らかにする。
第4回所得の地域的不均等とその要因(2)所得の地域的不均等が生まれる要因を明らかにする。
第5回農産物産地の立地特性とその要因(1)
 
水稲作,園芸作物産地の変化とその要因を考察する。
第6回農産物産地の立地特性とその要因(2)アグリビジネスによる産地再編成の実態を明らかにする。
第7回工業の立地特性とその要因(1)鉄鋼業と石油化学工業,造船業を事例に,重厚長大型産業の立地特性とその生産動向の要因を明らかにする。
第8回工業の立地特性とその要因(2)自動車産業を事例に,機械工業の立地特性とその生産動向の要因を明らかにする。
第9回商業施設の立地特性とその要因(1)コンビニエンスストアの店舗展開の特徴と立地特性の背景を明らかにする。
第10回商業施設の立地特性とその要因(2)商店街,ショッピングセンターの立地展開の特徴と立地特性の背景を明らかにする。
第11回オフィスの立地特性とその要因(1)企業立地の空間的な特性とそうした立地選択が進む要因を明らかにする。
第12回オフィスの立地特性とその要因(2)サービス経済化の進展と企業立地の動向を明らかにする。
第13回全国総合開発が目指した国土像(1)特定地域総合開発から第二次全国総合開発計画までのなかで目指された新たな国土像の特徴を明らかにする。
第14回全国総合開発が目指した国土像(2)第三次全国総合開発計画から21世紀国土のグランドデザインで目指された新たな国土像の特徴を明らかにする。
第15回前期のまとめ前期の内容に関する小テストを実施する。
第16回経済地理学と立地論立地論とは何か。立地論の基礎を紹介する。
第17回農業立地論(1)チューネンモデルの形成メカニズムを明らかにする。
第18回農業立地論(2)チューネン以降の農業立地論を明らかにする。
第19回農業立地論(3)農業立地論の現代農業への適用可能性を考察する。
第20回工業立地論(1)ウェーバーの工業立地論の基礎を明らかにする。
第21回工業立地論(2)現代工業の立地論の特徴を明らかにする。
第22回工業立地論(3)工業立地論の現代工業の立地への適用可能性を考察する。
第23回中心地理論(1)クリスタラーの中心地理論の特徴を明らかにする。
第24回中心地理論(2)レッシュの経済地域論の特徴を明らかにする。
第25回中心地理論(3)中心地理論の現代商業・サービス業の立地への適用可能性を考察する。
第26回オフィス立地と都市システム論(1)オフィス立地と本社立地論の特徴を明らかにする。
第27回オフィス立地と都市システム論(2)都市システム論の特徴とその国際比較から,都市システムの特徴を明らかにする。
第28回集積論(1)古典的集積論の特徴を明らかにする。
第29回集積論(2)集積論の系譜と新産業集積論の特徴を明らかにする。
第30回まとめ経済地理学の見方、考え方を整理する。
授業形式 本講義は,講義形式を中心としますが,受講生に自らの問題として講義内容を学んでもらえるよう工夫したいと考えています。講義では,具体的な現象から経済地理学の見方、考え方を理解してもらいたいと考えていますので,適宜,視聴覚教材を活用して講じていきます。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 講義態度
(出席)
その他 合計
70% 0% 30% 0% 0% 100%
評価の特記事項 前期は,学期末に小テストを実施します。また評点には含めませんが,出席は毎時間とります.受講生には,2/3以上の出席を求めます.2/3の出席は,小テスト,定期試験の欠格条件をみるために使用します.
テキスト 特定のテキストは使用しません。
参考文献 ・竹内淳彦編(2008):『日本経済地理読本 第8版』東洋経済新報社,2400円.
・富田和暁(2006):『新版 地域と産業-経済地理学の基礎-』原書房,2000円.
・松原宏編(2002):『立地論入門』古今書院,2400円.
・松原宏 (2006):『経済地理学』東京大学出版会,4800円.
・松原宏編(2013):『現代の立地論』古今書院,2800円.
オフィスアワー(授業相談) 木曜日昼休み,4限の時間帯とします。ただし,受講生の要望に応じて,適宜対応します。メールアドレスを公開しますので,メールでの問い合わせにも対応したいと思います。
事前学習の内容など,学生へのメッセージ 木曜日・3時限目の「都市・農村システム論」とあわせて履修することが望ましい。