講義名 経済開発論 ≪昼夜共通≫
講義開講時期 通年
曜日・時限 火6
単位数 4

担当教員
氏名
辻 忠博

学習目標(到達目標) 発展途上国の開発問題について,歴史,理論,政策の3つの観点から体系的に学び,真の経済発展のために有効な開発政策の方向性を提示することができるようになる。
授業概要(教育目的) 経済開発論は,発展途上国の開発問題を総合的に扱う学問であり,その対象範囲は途上国が抱える国内問題から外国との対外経済関係まで極めて幅広い。本講義では,途上国が抱える様々な問題の中から代表的なものをピックアップし,そうした問題はどのように発生し,どのように展開してきたのか,私たちはそれらの問題をどのように解釈すべきか,それらの問題を解決するにはいかなる方法があるのか,ということについて学び,体系的な知識を習得することを目標とする。
授業計画表
 
項目内容
第1回経済開発問題へのアプローチ発展途上国の特徴,開発問題を扱う学問の特性,開発とはそもそも何なのかについて学ぶ。
【準備学習】ミクロ経済学・マクロ経済学の基本的考え方を復習しておくこと。この回の講義についてはテキストでは触れられていない。講義資料(第1講)を参照し,授業の流れを把握しておくこと。
第2回途上国をめぐる最新事情途上国の開発問題に関する最新事情を紹介する。
【準備学習】この回の講義についてはテキストでは触れられていない。新聞やテレビなどで発展途上国の最新動向を把握しておくこと。
第3回発展途上国とは何か(1)発展途上国とはいかなる諸国か,これをテーマにして,発展途上国の定義を紹介し,発展途上国をいかに捉えるべきか説明する。
【準備学習】この回の講義についてはテキストでは触れられていない。統計資料集や地図帳など(どんなものでも良い)を参照して,世界の諸国の特徴を把握しておくこと。講義資料(第2講)を参照し,授業の流れを把握しておくこと。
第4回発展途上国とは何か(2)世界で発展途上国に分類される国は多い。それらの諸国は共通の特徴を有している一方で,国の数が多く,また,世界各地に広がって分布しているため,相違点も多い。この回では,発展途上国の特徴を類似点と相違点の観点から学ぶ。
【準備学習】この回の講義についてはテキストでは触れられていない。講義資料(第2講)を参照し,授業の流れを把握しておくこと。
第5回開発問題の歴史的把握―南北問題の発生(1)―多くの発展途上国は過去,植民地支配下にあった。植民地支配は現地経済にどのような影響を及ぼしたか,植民地支配は独立後の経済発展にいかなる意味を持ったか。開発問題はいつから意識され始めたのか。これらのことについて学ぶ。
【準備学習】講義資料(第3講)を参照し,授業の流れを把握しておくこと。テキストの第1章を読んでおくこと。
第6回開発問題の歴史的把握―南北問題の発生(2)―発展途上国の開発問題が南北問題として捉えられるようになった経緯,そして,植民地支配下ではあり得なかった発展途上国同士の連携の動きについて学ぶ。
【準備学習】講義資料(第3講)を参照し,授業の流れを把握しておくこと。テキストの第1章を読んでおくこと。
第7回開発問題の歴史的展開―第三世界の連帯と南北問題の展開(1)―発展途上国の連帯は「国連開発の10年」の実施やUNCTADの設立につながった。この回では,1960年代に南北問題がいかにして展開したのかについて学ぶ。
【準備学習】講義資料(第3講)を参照し,授業の流れを把握しておくこと。テキストの第1章を読んでおくこと。
第8回開発問題の歴史的展開―第三世界の連帯と南北問題の展開(2)―戦後の新たな世界経済体制の柱であるIMF体制が崩壊し,それが南北問題に対してどのような影響を与えたかについて学ぶ。
【準備学習】講義資料(第3講)を参照し,授業の流れを把握しておくこと。テキストの第1章を読んでおくこと。
第9回開発問題の歴史的展開―新興国の台頭と南北問題の変容(1)―南北問題は新興工業国が登場したことによって大きく変容を遂げることになった。また,東西冷戦の終結は経済発展に関する思想に大きな変化を及ぼすことになった。この回では,こうした開発問題の急展開について学ぶ。
【準備学習】講義資料(第3講)を参照し,授業の流れを把握しておくこと。テキストの第1章を読んでおくこと。
第10回開発問題の歴史的展開―新興国の台頭と南北問題の変容(2)―21世紀に入って,発展途上国の中で急速に頭角を現してきた諸国があった。新興国(BRICs)がそれである。この回は,BRICsの台頭とその可能性について学ぶ。
【準備学習】講義資料(第3講)を参照し,授業の流れを把握しておくこと。この回の講義についてはテキストでは触れられていない。新聞などでBRICs諸国の動向を把握しておくこと。
第11回開発問題への理論的アプローチ―初期の理論的枠組みからの展開過程(1)―開発問題に対する初期の開発モデルについて学ぶ。
【準備学習】講義資料(第4講)を参照し,授業の流れを把握しておくこと。テキストの第5章第1節を読んでおくこと。
第12回開発問題への理論的アプローチ―初期の理論的枠組みからの展開過程(2)―発展途上国に関する研究が進んだことによって,新たな理論的枠組みが相次いで生み出された。この回では,その中で構造論的アプローチ,新自由主義アプローチについて学ぶ。
【準備学習】講義資料(第4講)を参照し,授業の流れを把握しておくこと。テキスト第5章第1節を読んでおくこと。
第13回開発問題への理論的アプローチ―市場メカニズムか,政府の役割か(1)―1980年代以降のアジアNIESの台頭は東アジアの奇跡と呼ばれている。研究者はその原動力を何であると考えたか。この回では,その理論的解釈について学ぶ。
【準備学習】講義資料(第講4)を参照し,授業の流れを把握しておくこと。テキスト第5章第1節を読んでおくこと。
第14回開発問題への理論的アプローチ―市場メカニズムか,政府の役割か(2)―この回では,2000年前後になって,世界銀行をが注目しはじめたソーシャルキャピタル論について説明する。ソーシャル・キャピタルは経済発展の枠組みでどのように機能するのか,その有効性と限界は何かについて学ぶ。
【準備学習】この回の講義についてはテキストでは触れられていない。講義資料(第4講)を参照し,授業の流れを把握しておくこと。
第15回中間まとめまとめ
第16回経済発展と人口問題(1)世界の人口規模とその趨勢,人口急増の意味について学ぶ。
【準備学習】講義資料(第5講)を参照し,授業の流れを把握しておくこと。テキスト第6章を読んでおくこと。
第17回経済発展と人口問題(2)現状認識とそれに基づく問題点の浮き彫りを基礎として,人口政策のあるべき姿について学ぶ。
【準備学習】講義資料(第5講)を参照し,授業の流れを把握しておくこと。テキスト第6章を読んでおくこと。
第18回経済発展と都市問題(1)都市化はいかなるスピードで進み,その結果として発展途上国の都市ではどのような課題が発生しているのか,都市化の原因はどこにあるのかについて学ぶ。
【準備学習】講義資料(第6講)を参照し,授業の流れを把握しておくこと。テキスト第7章を読んでおくこと。
第19回経済発展と都市問題(2)現状認識とそれに基づく問題点の浮き彫りを基礎として,都市政策のあるべき姿について学ぶ。
【準備学習】講義資料(第6講)を参照し,授業の流れを把握しておくこと。テキスト第6章を読んでおくこと。
第20回経済発展と農村問題(1)農業生活の実態はいかなるもので,農村における課題はどのようなものかについて学ぶ。
【準備学習】講義資料(第7講)を参照し,授業の流れを把握しておくこと。テキスト第8章を読んでおくこと。
第21回経済発展と農村問題(2)現状認識とそれに基づく問題点の浮き彫りを基礎として,農村政策のあるべき姿について学ぶ。
【準備学習】講義資料(第7講)を参照し,授業の流れを把握しておくこと。テキスト第8章を読んでおくこと。
第22回経済発展と国際貿易(1)発展途上国は国際貿易といかに関わっているのか,国際貿易は発展途上国の経済発展にどのような影響を及ぼすのかについて学ぶ。
【準備学習】講義資料(第8講)を参照し,授業の流れを把握しておくこと。テキスト第9章を読んでおくこと。
第23回経済発展と国際貿易(2)経済発展のためにはいかなる貿易戦略があるか,その有効性と限界についても学ぶ。
【準備学習】講義資料(第8講)を参照し,授業の流れを把握しておくこと。テキスト第9章を読んでおくこと。
第24回経済発展と経済統合(1)経済統合とはいかなるものであり,経済統合を推進する根拠は何かについて学ぶ。
【準備学習】講義資料(第8講)を参照し,授業の流れを把握しておくこと。この回の講義についてはテキストでは触れられていない。参考図書の『アジア経済発展論』第2章あるいは参考図書『経済政策の理論と展開』第11章を読んでおくこと。
第25回経済発展と経済統合(2)現状認識とそれに基づく問題点の浮き彫りを基礎として,経済発展のための経済統合の在り方について学ぶ。
【準備学習】講義資料(第8講)を参照し,授業の流れを把握しておくこと。この回の講義についてはテキストでは触れられていない。参考図書の『アジア経済発展論』第2章あるいは参考図書『経済政策の理論と展開』第11章を読んでおくこと。
第26回経済発展と債務・通貨危機(1)累積債務問題とはいかなるもので,それはどのような原因で勃発したか。その解決策はいかなるものであったかについて学ぶ。
【準備学習】講義資料(第9講)を参照し,授業の流れを把握しておくこと。テキスト第10章第1節を読んでおくこと。
第27回経済発展と債務・通貨危機(2)アジア通貨危機とはいかなるもので,それはどのような原因で勃発したか。その解決策はいかなるものであったか。債務危機とアジア通貨危機の共通点と相違点について学ぶ。
【準備学習】講義資料(第9講)を参照し,授業の流れを把握しておくこと。テキスト第10章第2節を読んでおくこと。
第28回経済発展と開発援助(1)開発援助とはいかなるものか,開発援助はなぜ行うのか,これまでの開発援助の実績と特徴について学ぶ。
【準備学習】講義資料(第10講)を参照し,授業の流れを把握しておくこと。テキスト第11章第1節及び第3節を読んでおくこと。
第29回経済発展と開発援助(2)日本はかつて援助を受けていたが,ある時点を境に援助を供与する側に転換し,今や主要援助供与国となった。その経緯と援助の特徴,そして,課題について学ぶ。
【準備学習】講義資料(第10講)を参照し,授業の流れを把握しておくこと。テキスト第11章第2節を読んでおくこと。
第30回まとめ16回以降の要点まとめ
授業形式 教科書に基づく講義が中心であるが,ビデオやYouTubeを視聴し,受講者の理解を助けると共に,教科書では触れられていない関連事項についても取り上げる予定である。講義はパワーポイントを使用して講義のポイントをスクリーンに示しながら行う。パワーポイントのスライドは担当教員のゼミナールのホームページ(アドレスは下記の授業用URL)からダウンロードして,各自が持参すること(教室での配布はしない)。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 講義態度
(出席)
その他 合計
50% 0% 30% 0% 20% 100%
評価の特記事項 小テストは前期授業期間中に学んだ内容に即して行う授業内筆記試験である。その他(ビデオ感想文)は1年間の講義中に何度か視聴するビデオに対して課される。詳細は,第1回目の講義で説明する。
テキスト 加藤義喜・辻忠博・陸亦群『経済開発論』日本大学通信教育部(非売品)
<日本大学経済学部購買部でのみ購入可能>
参考文献 長谷川啓之編『経済政策の理論と現実』学文社,2625円.
長谷川啓之編『アジア経済発展論』文眞堂,2835円.
長谷川啓之監修『現代アジア事典』文眞堂,5250円.
オフィスアワー(授業相談) 金曜日10:40~12:10(事前に電子メールでアポを取ること。アドレスは下記URLから取得できる。)
事前学習の内容など,学生へのメッセージ  ミクロ・マクロ経済学の基礎知識は本講義を受講するにあたっての前提条件である。専門用語などの理解が不十分な者はしっかり復習をしておくこと。また,国際経済論の基礎知識があると本講義の理解に役立つので前年度に履修しておくか,あるいは,並行履修することを勧める。
 さらに本講義の理解を深めるために,関連図書を読んだり,外部のセミナーに参加したり,実際に途上国を旅行するなど受講生の積極的な取り組みを期待する。
 本講義あるいは発展途上国に関する質問は,授業終了時かオフィスアワーを活用して,遠慮なくすること。
授業用URL http://www.eco.nihon-u.ac.jp/~tsuji/