講義名 財政学 ≪□第一部≫
講義開講時期 通年
曜日・時限 火3
単位数 4

担当教員
氏名
沼尾 波子

学習目標(到達目標)  この講義では,公共部門の経済活動について取り扱う.政府の機能や役割に関する基本的な考え方を学ぶとともに,日本の財政制度と運営実態について理解できるようになることを目指す.経済政策や財政運営について書かれた新聞記事を読むことができ,自分の意見を持てるようになることが目標である.
授業概要(教育目的)  国や地方自治体などの公共部門の経済活動を取り上げる。政府は租税や社会保険料,利用料・手数料等,さらには公債発行により資金調達を行い,各種の公共サービスを供給している.またこれらの歳入・歳出のあり方については,議会の議決を経ることとされている.この講義では,こうした財政運営について,規範的な考え方と,運営の実際について学ぶ.一連の学習を通じて,政府の機能と役割について考えてみることがねらいである.
授業計画表
 
項目内容
第1回公共部門と民間部門(政府の役割)政府の機能と役割について考える。
第2回公共財とその供給
公共財の特性について学ぶ。
第3回所得再分配と財政
財政の所得再分配機能について学ぶ。
第4回フィスカル・ポリシー
財政政策について学ぶ。
第5回大きな政府と小さな政府
財政の規模について国民経済とのかかわりから整理するとともに,財政の役割について改めて考える。
第6回日本の予算制度日本における予算制度と予算過程について学ぶ。
第7回予算論の系譜
伝統的な予算論を踏まえ,規範的予算論,実証的予算論の考え方を学ぶ。
第8回ニュー・パブリック・マネジメント(公共経営)とその潮流ニュー・パブリック・マネジメントについて整理を行いながら、行政改革の潮流について学ぶ。
第9回諸外国の行政改革と財政運営欧米諸国における行政改革の動向と財政運営について学ぶ。
第10回社会保障財政(1)社会保障給付費と財政日本の社会保障給付費の動向について国際比較を交えて解説する。
第11回社会保障財政(2)公的扶助生活保護制度を含めた公的扶助の考え方を紹介する。
第12回社会保障財政(3)年金公的年金制度とその財源について紹介する。
第13回社会保障財政(4)医療・介護医療保険、介護保険制度について紹介し,給付と負担の関係について学ぶ。
第14回教育と財政義務教育制度と財政支出について学ぶ。
第15回まとめ半期のまとめを行う。
第16回環境と財政環境税や環境政策の実際と財政支出について学ぶ。
第17回租税論(1)租税とは何か租税の特性について学ぶ。
第18回租税論(2)租税原則論と租税の分類租税原則の考え方について整理しながら、租税の分類を学ぶ。
第19回租税論(3)租税論の系譜租税論の系譜について18世紀から現代までの理論を学ぶ。
第20回租税論(4)所得課税
所得税の特質と課題について学ぶ。
第21回租税論(5)法人税
法人税の特質と課題について学ぶ。
第22回租税論(6)消費課税
消費税を中心とした消費課税の特質と課題について学ぶ。
第23回租税論(7)資産課税
相続税、贈与税、固定資産税などについて学ぶ。
第24回社会資本と公共投資
社会資本整備とその財源について学ぶ。
第25回公債論(1)公債負担論
公債負担に関する基本的な考え方について学ぶ。
第26回公債論(2)公債管理政策
日本の公債管理政策の歴史を学び,現状を理解する。
第27回財政投融資
財政投融資制度について学ぶ。
第28回国と地方の財政関係(1)国と地方の税源配分や財源配分についての考え方を学ぶ。
第29回国と地方の財政関係(2)地方分権や三位一体改革など日本の制度改革の動向を学ぶ。
第30回まとめ年間を通してのまとめを行う。
授業形式  配付資料を用いて,各回のテーマに沿って解説を行う.講義の終了時に,簡単な課題の提出を求めることがある.
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 講義態度
(出席)
その他 合計
65% 15% 0% 15% 5% 100%
評価の特記事項  回答の記載されたリアクションペーパーの提出をもって「出席」とみなす.ただ座っているだけでは出席したものとはみなさないので注意されたい.
テキスト  テキストは使用せず,授業中に配付する資料を用いて講義を行う.
参考文献 金澤史男編『財政学』有斐閣ブックス,2005年,2700円+税.
林 宜嗣『基本コース 財政学(第3版)』新世社,2012年,2350円+税.
市川健太編『図説日本の財政 平成25年度版』東洋経済新報社,2013年,2400円+税.など
オフィスアワー(授業相談) 火曜日15時~16時.事前にアポイントをとること.
事前学習の内容など,学生へのメッセージ 「将来年金を受け取ることができるのか?」「消費税増税をどう考えるか?」など,身近な財政問題について考えてみたいという意欲ある人の受講を希望する.
 講義の進め方や課題提出のマナーについて初回の授業で説明を行うので、受講を希望する者は,必ず出席すること.