講義名 貨幣経済論 ≪□第一部≫
講義開講時期 通年
曜日・時限 月2
単位数 4

担当教員
氏名
藤本 訓利

学習目標(到達目標) 貨幣は,私たちの生活において必要不可欠なものです。そこで,この講義では貨幣について色々な角度から考察しますが,とくに貨幣とマクロ経済の関係については,ケインズ経済学(『雇用・利子および貨幣の一般理論』1936年)を中心に講義を進めます。
したがって,この講義において,マクロ経済学の基礎理論を習得するとともに,マクロ経済における「貨幣の役割」や「貨幣の重要性」が理解することが目標となります。また,ケインズ経済学の視点から,様々な経済現象や経済政策について理解できるようになります。

授業概要(教育目的) 貨幣経済論は,マクロ経済学の一分野であって,マクロ経済における貨幣の役割や貨幣の重要性を分析する学問です。
この講義では,単に貨幣そのものについてではなく,むしろ貨幣供給量の変化がマクロ経済にどのような経路でどのような影響を及ぼすかに焦点をあてて説明します。そのため,この講義では,J.M.ケインズの『雇用・利子および貨幣の一般理論』(1936年)の理論的枠組みを中心に分かりやすく説明します。また,ケインズ経済学に対する評価や,『一般理論』以後の新しいマクロ経済学についても学んでいきます。
授業計画表
 
項目内容
第1回シラバス講義「貨幣経済論」とはどのような学問であるか,簡単に解説する。1年間の講義内容,成績評価等について説明する。
第2回貨幣と貨幣経済①経済循環図式(財・サービスと貨幣の流れ)と貨幣の諸機能について説明する。
第3回貨幣と貨幣経済②貨幣の諸機能(続き)について整理し,貨幣とは何か定義する。さらに,貨幣経済の特徴(とくに物々交換経済との違い)を明らかにする。
第4回貨幣と貨幣経済③貨幣の歴史について触れる。
第5回貨幣(通貨)の概念とマクロ経済①現金以外の「通貨」と呼ばれているモノについて説明する。その上で,貨幣供給量(マネーサプライ/マネーストックの諸概念)について解説し,貨幣供給量とマクロ経済の関係ついて,第1次石油危機を事例に考察する。
第6回貨幣(通貨)の概念とマクロ経済②第1次石油危機,第2次石油危機,バブル経済などを事例に,マクロ経済と貨幣の関係をさらに詳細に考察する。
第7回マネーサプライと金融政策①ここでは,マネーサプライの変動要因,とくに貨幣乗数(通貨乗数)について考察する。
第8回マネーサプライと金融政策②マネーサプライの変動要因と金融政策の最終目標,政策手段等の関係について説明する。
第9回ケインズ経済学①1930年代の大不況における失業に関する「古典派」雇用理論の誤りについて明らかにする。その上で,ケインズの雇用理論を解説する。
第10回ケインズ経済学②失業の原因としての有効需要不足について「有効需要の原理」について説明する。
第11回ケインズ経済学③失業の説明と原因について,労働市場と財市場の関係について考察し,「過少雇用均衡」の意味を明らかにする。
第12回ケインズ経済学④政府の役割,とくに有効需要拡大政策としての投資乗数理論について説明する。
第13回ケインズ経済学⑤投資の決定理論(ケインズ型投資関数)について説明する。
第14回前期の復習前期に学習した範囲を復習し,「中間テスト」を行う。
また,夏季休暇の課題を発表する。
第15回ケインズ経済学⑥貨幣の保有動機,貨幣需要関数,さらに利子率の決定理論(流動性選好説)について説明する。
第16回ケインズ経済学⑦ケインズ『一般理論』における貨幣のトランスミッション・メカニズムとケインズの貨幣観を説明し,古典派の「貨幣の中立性」との違いを明確にする。
第17回ケインズ経済学⑧『一般理論』における物価理論としての,ケインズの貨幣数量説について説明する。また,古典派の貨幣数量説説との違いにも触れる。
第18回ケインズ経済学⑨『一般理論』の形成史に触れ,「ケインズ革命」の意義を考察する。
第19回ケインジアンの経済学①IS=LM曲線とは何かについて,ケインズ『一般理論』体系との関係に視点をおき説明する。
第20回ケインジアンの経済学②IS=LM分析(金融・財政政策の効果)について説明する。
第21回ケインジアンの経済学③IS=LM分析について,『一般理論』の一解釈論としての評価を試みる。
第22回マネタリズムとケインズ再評価①「ケインズ革命」に対する「反革命」としてのマネタリズムの台頭とフリードマンの新貨幣数量説について説明する。
第23回マネタリズムとケインズ再評価②R.クラウアーやA.レイヨンフーブッドの「ケインズ再評価主義」をはじめとする,ケインズ経済学に対する再評価を説明する。
第24回貨幣・国民所得および物価①総需要(AD)=総供給(AS)曲線とは何かを説明する(両曲線の導出やシフトについて)。また,これらの曲線によって何が決定されるかを明らかにする。
第25回貨幣・国民所得および物価②AD=AS曲線のシフトと貨幣供給量の変化あるいは金融政策の関係について説明する。
第26回マクロ経済学の最近の動向について①マクロ経済学(あるいは『一般理論』)のミクロ的基礎付けとしての「ニュー・ケインジアンの経済学」について説明する。
第27回マクロ経済学の最近の動向について②マクロ経済学(あるいは『一般理論』)のミクロ的基礎付けとしての「ニュー・ケインジアンの経済学」について説明する。
第28回後期の復習後期の復習と練習問題
第29回理解度の確認16回以降の要点のまとめ
第30回まとめまとめ
授業形式 板書を中心とした講義形式です。
ときどき練習問題を行ったり,宿題を課したりします。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 講義態度
(出席)
その他 合計
70% 0% 0% 10% 20% 100%
評価の特記事項 「講義態度」(10%)は,練習問題や宿題等の評価です。また,「その他」(20%)は,前期の復習テストを意味しています。詳細については,新学期最初の授業時に配布する「講義案内」を参照してください。
テキスト 藤本訓利・関谷喜三郎『マクロ経済学と貨幣』八千代出版
参考文献 授業時に随時紹介します。
オフィスアワー(授業相談) 月曜日12:10~13:00。
事前にアポを取ってください。アポの取り方については,新学期最初の授業時にお知らせします。
事前学習の内容など,学生へのメッセージ この講義は,1年次に学んだ「マクロ経済学Ⅰ」の内容と一部重複するので,受講生は「マクロ経済学Ⅰ」の復習をしておくと,この講義の理解度が高まるでしょう。
授業用URL http://www.eco.nihon-u.ac.jp/~fujimoto/index.html