講義名 経済統計学 ≪□第一部≫
講義開講時期 通年
曜日・時限 水3
単位数 4

担当教員
氏名
川崎 茂

学習目標(到達目標) 本科目では,学生が次のような知識・能力を習得することを目標とします。
①経済統計データの体系,概念,特徴等を理解し,分析目的に応じて必要なデータを探しだし,それを適切に活用できる能力
②経済統計の基礎的な分析方法を理解し,パソコンを用いて経済統計データの分析を適切に行える能力
③経済統計データの分析を通じて,日本及び世界の経済動向を理解し,それを適切に説明できる能力
授業概要(教育目的) 授業では,様々な分野の経済統計の概念,見方,使い方,特徴などについて実例を交えながら解説します。また,日本及び世界の実際の統計データを用いて基本的な統計分析手法を解説し,それを基礎にしてExcelを用いた演習を行い,その結果について考察します。これらを通じて,学生が,統計データ及び統計分析手法を身近な存在として日常的に活用することができ,また,日本及び世界の社会経済情勢を統計データから読み取ることができるようになることを目指します。
授業計画表
 
項目内容
第1回ガイダンス(経済統計学の講義概略と学び方)導入として,講義内容の概略,受講に当たっての留意事項,経済統計における基礎概念などを解説する。
【準備学習】講義は,テキストの序章に相当するものであるが,特に予習の必要はない
第2回統計データベース
各種の経済統計を収録したデータベースの使用法を解説し,経済統計の実例とその体系について解説する。
【準備学習】特に必要はない。テキストには,この回の講義に対応する章は設けられておらず,独自の講義資料により授業を行う。
第3回人口統計(1)経済の基礎となる人口に関する統計について,その体系,見方・使い方を解説する。その1回目として,人口に関する静態統計の基本概念と分析指標について学び,日本及び世界の人口の特徴を考察する。
【準備学習】テキストの第5章を予め通読しておくこと。
第4回人口統計(2)前回に続いて,人口統計のうち,動態統計及び将来推計の概念,見方等について解説し,日本及び世界の人口の将来像を考察する。
【準備学習】前回講義で配布された資料を用いて復習・予習を行うこと。
第5回センサスと標本調査経済統計の基本的な情報源として用いられる,センサス,標本調査,行政記録が統計の基礎としてどのように活用されるか解説し,それぞれの特徴を考察する。
【準備学習】テキストの第1章,第2章を予め通読しておくこと。
第6回労働力統計経済活動の基礎を構成する労働力に関する統計について,概念,基準,見方・使い方などについて解説し,日本及び世界の労働の動向について考察する。
【準備学習】テキストの第5章の後半を予め通読しておくこと。
第7回賃金・労働市場統計賃金及び労働需給に関する統計について,概念,基準,見方・使い方などについて解説し,日本における賃金事情,労働需給事情の変化等について考察する。
【準備学習】テキストの第6章を予め通読しておくこと。
第8回分布と代表値平均値,分散などの分布を表す代表値の概念及び計算方法について解説し,実例により演習を行う。
【準備学習】特に必要はない。独自の講義資料を使用する。
第9回標本調査の理論(1)多くの経済統計の作成の基礎となっている標本調査の理論を解説する。その基礎として,確率論の初歩について説明し,母集団と標本の関係について考察する。
【準備学習】テキストの第2章を予め通読しておくこと。
第10回標本調査の理論(2)標本調査の理論に関する解説の第2回として,推定結果の標本誤差の概念を解説し,実際の標本誤差計算について演習を行う。
【準備学習】テキストの第2章を予め通読しておくこと。
第11回家計統計(1)世帯に関する標本調査の代表例として,家計調査の統計を中心に,その概念,基準,見方などについて解説し,日本の家計の所得,消費,資産の状況について考察する。
【準備学習】テキストの第7章を予め通読しておくこと。
第12回家計統計(2)前回授業に続いて,家計調査等について学び,分析の演習を行う。
【準備学習】前回授業の内容を復習しておくこと。
第13回時系列分析時系列分析の基礎について解説し,簡単な事例により演習を行う。
【準備学習】テキストの第3章を通読しておくこと。
第14回理解度の確認これまでの要点のまとめ
第15回中間のまとめまとめ
第16回指数理論物価変動を測定するため指数理論及び消費者物価指数について解説し,基本的な指数算式の特徴及び我が国の物価動向について考察する。
【準備学習】テキストの第4章を通読しておくこと。
第17回国民経済計算(1)経済統計の体系の最も中核を成す国民経済計算について解説する。その第1回として,国内総生産及び勘定体系を中心に,その概念,意味,データの見方等について考察する。
【準備学習】テキストの第11章を通読しておくこと。
第18回国民経済計算(2)国民経済計算に関する講義の第2回として,実際に我が国で公表されている国民経済計算の統計表に即した解説を行い,そのデータを用いて分析を行う。
【準備学習】前回の講義内容をよく復習しておくこと。
第19回国民経済計算(3)国民経済計算の統計の国際比較に用いられる購買力平価について解説し,その意味や特徴について考察する。
【準備学習】前回の講義内容をよく復習しておくこと。
第20回金融統計通貨量,資金循環統計等の統計の概念,見方・使い方について解説し,我が国の金融情勢について考察する。
【準備学習】テキストの第9章(特に前半)を通読しておくこと。
第21回国際収支・貿易統計国際収支・貿易統計の作成方法,概念,見方等について解説し,その実際のデータを通じて我が国経済の対外関係の変化について考察する。
【準備学習】テキストの第9章(特に後半)を通読しておくこと。
第22回財政統計国及び地方の財政に関する統計の見方について解説し,その意味や特徴について考察する。
【準備学習】配布資料による。
第23回景気統計景気に関する統計として,日銀短観及び景気動向指数について解説し,景気循環について考察する。
【準備学習】テキストの第8章を通読しておくこと。
第24回エネルギー統計
エネルギー需給統計の概念,見方等について解説し,我が国のエネルギー事情について考察する。
【準備学習】特に必要はない。この回については,テキストには該当する記述がないため,独自の講義資料で講義を行う。
第25回産業連関分析(1)産業連関表の概念,構造,見方・使い方等について解説を行い,その応用の仕方に関して考察する。
【準備学習】テキストの第12章を通読しておくこと。
第26回産業連関分析(2)前回に続いて,産業連関表の応用例について解説し,簡単なデータにより演習を行う。
【準備学習】前回の講義内容をよく復習しておくこと。
第27回回帰モデル(1)回帰モデルの概念と方法について解説し,その応用の仕方について考察する。
【準備学習】第13章を通読しておくこと。
第28回回帰モデル(2)回帰モデルの応用を中心として,データ分析の総合的な演習を行う。
【準備学習】これまでの授業全体をよく復習しておくこと。
第29回理解度の確認16回以降の要点のまとめ
第30回まとめまとめ
授業形式 授業は,PC教室にて講義形式で行います。節目ごとに演習課題を与え,各自でExcelを用いたデータ分析等を行います。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 講義態度
(出席)
その他 合計
50% 0% 30% 20% 0% 100%
評価の特記事項 演習や小テストは評価にも使用します。欠かさず出席し,演習等の結果は必ず提出してください。演習・小テストでよい結果を出した場合,得点を加算する場合もあります。また,遅刻の場合,0点として扱います。
テキスト 授業では,下記のテキストと,別途作成する配布資料とを使用します。
中村隆英,新家健精,美添泰人,豊田敬著『経済統計入門(第2版)』東京大学出版会,2,900円+税
参考文献 上記のテキストでは,収録されているデータが古くなっているものがあるため,配布資料や下記のテキストなどで補う予定です。学習の過程で随時参照してください。
梅田雅信,宇都宮浄人著『経済統計の活用と論点【第3版】』東洋経済新報社,3,200円+税"
オフィスアワー(授業相談) 月曜日 13:30-15:30 (メールにより事前にアポイントメントを取って来室してください。)
事前学習の内容など,学生へのメッセージ 統計データを活用して,経済・社会の動きを読み解く能力は,社会人 として必須のものです。この授業を通じて,統計を身近なものとして活用できる人が一人でも多くなってほしいと思います。統計の基礎科目を履修していない人 でも受講可能です。数学や統計学の基礎については,授業内で簡単に解説します。Excelを用いた演習を行うので,入力,プリントなど最低限の操作方法は 予め習得しておいてください。受講に当たっては,特に復習に大切です。毎回の授業のあと,その日に学んだことを自分なりに整理して確実に理解しておくことを勧めます。