講義名 資源・エネルギー論 ≪□第一部≫
講義開講時期 通年
曜日・時限 土1
単位数 4

担当教員
氏名
花田 哲郎

学習目標(到達目標) 資源エネルギーについて、単にその概要と一般的知識を習得するだけでなく、政治や経済、社会、更には環境に与える影響などの複合的、有機的な視点からの見方を身につけることにより、資源エネルギーに関係する報道などの情報を的確に理解し、将来への課題など、それに対する判断を、自分で考え、議論し、発信出来る能力を身につける。
授業概要(教育目的) 資源エネルギーについては、今後、消費者として、また企業人として、もしくは研究者として、一人ひとりが選択を迫られることになると予想される。受講生一人ひとりが将来にわたり報道などの情報を咀嚼し、現状を認識するとともに、それに対する自分が判断できるような知識と考え方を身につけることを目標とする。そのために、資源エネルギーの概要だけでなく、歴史や政治、経済、社会とのかかわりについても説明する。
授業計画表
 
項目内容
第1回資源エネルギーの全般 授業の領域と全般的な概要、並びに受講に当たっての留意事項などを説明する。
 その後、資源エネルギーについて、日本と世界が置かれている現状についてその概要を鳥瞰的に説明する。
第2回石炭 (1) 概要と歴史 2回にわたって石炭について解説する。
 第1回目は、石炭の種類、石炭の成り立ち、その特徴などの基礎知識を説明するとともに、紀元前より現代までの石炭の利用の歴史を、主な産業や近代地質学との関連も含めて解説する。
第3回石炭 (2) 石炭の利用状況と将来 石油に比べて地域的偏在が少なく、埋蔵量も多く、廉価安定な特質をもつ石炭のメリットとデメリット、現在の利用状況や需給動向を説明する。
 また石炭利用の新しい技術や将来動向についても紹介する。
第4回石油 (1) 概要・現状・歴史 エネルギーの多様化が進む中で、いまだにエネルギーの中核に位置する石油について5回にわたり解説する。
 第1回目は、石油の概要と、現在の利用状況や歴史についての解説する。
石油の種類、有機説と無機説を含む石油の成り立ちやその特徴などの基礎知識を説明するとともに、石油の発見以降、政治、経済、社会に多大な影響を与えた石油の歴史を簡単に振り返る。
第5回石油 (2) 探鉱・開発 石油の探鉱や開発、生産の方法について説明する。
 また、世界の主な油田や埋蔵量についても開設する。
第6回石油 (3) 輸送 石油の生産地と消費地は必ずしも同じ場所とは限らない。そのため、多くの場合、石油の輸送が必要となる。輸送は、パイプライン、タンカー、トラックなどが考えられるか、そのメリットやデメリットを知るとともに、今後の新な輸送方法についても検討する。
第7回石油 (4) 精製 生産された石油、すなわち原油はそのまま燃焼されることは殆どない。精製することにより製造される石油製品として多様な用途で使用される。ここでは、原油の精製方法と製造される各石油製品について解説する。
第8回石油 (5) 販売・その他 石油は色々なところで利用されているが、販売方法や仕組みについて解説する。具体的なトレーディング、先物などについても触れる。
 また石油に係る備蓄や、税金についても説明する。
 さらに石油を扱う企業についてスーパーメジャーと呼ばれる世界企業と日本の主な元売についても紹介する。
第9回LPガス 石油や天然ガスの生産の際に随伴ガスとして、また原油の精製からも生産されるLPガスは、分散型エネルギー源として注目を集めているが、このエネルギーの概要、現在の利用状況、将来性について解説する。
第10回天然ガス 日本では、発電だけでなく、ガス事業の原料としても利用されている天然ガスについて、その探鉱、開発、輸送などについて解説する。
第11回都市ガス事業

 日本の都市ガス事業の歴史と現状を資料とデータをもとに学ぶとともに、その都市ガスの将来像を考える。
第12回シェールガス
 人類が利用可能なエネルギー量が増大するという量的影響にとどまらず、企業のあり方や国の将来像にまで影響を与えることから「革命」とまでいわれるシェールガスについて、その概要、需給見通しを説明する。
 またシェールガスが影響を与える将来のエネルギーのあり方や問題点を明らかにする。

第13回メタンハイドレード
 日本の近海にも相当な埋蔵量があると予想されるメタンハイドレードについて、利用可能なデータをもとにその具体像に迫る。またその影響についても、検討する。

第14回理解度の確認
これまでの要点のまとめ
第15回まとめまとめ
第16回電力 (1) 概要・現状・歴史










 日本の重要なライフラインであり、今後、大幅な政策変更の可能性もある電力について、エジソンの発明から現在までの歴史を紹介するとともに、日本の現状を主要各国との対比も含め説明する。

第17回電力 (2) 様々な発電方法 日本で採用されている石炭、石油、天然ガスなどの火力発電や、環境問題との関連で問題視されることもある水力発電、また今後どのように取り扱うかが議論されている原子力発電などについて、その仕組みとメリットやデメリットを解説する。
第18回電力 (3) 送電と配電 電力の議論の中で、忘れ去られがちな、しかし重要な役割を持つ送電や配電について、そのシステムと現状、問題点などを解説する。
第19回電力 (4) 再生可能エネルギー 水力や地熱などの現在使われている再生可能エネルギーだけでなく、導入開始間もない太陽光や風力、近い将来の導入が期待される海洋発電などについて、現在の技術動向、問題点や課題なども含めて解説する。

第20回電力 (5) 電力制度改革と将来 日本の電力制度の問題点を抽出した上で、主要国での電力制度改革の概要を紹介し、日本で行うべき電力制度改革を検討する。
 また、現在進められている電力制度改革についても現状を解説する。
第21回新エネルギー
 いまだ商業化に至っていない新エネルギーや、バイオマスなど電力というアウトプット形態ではないエネルギーについて現状を解説し、その方向性を探る。




第22回エネルギー政策 日本と世界 これまでに紹介し、解説し、検討した資源エネルギーに関し、現在の日本の政策を解説するとともに、世界各国の政策にも触れ、その妥当性を検討し、そのあるべき将来像を考える。
第23回金属資源 鉄鋼や非鉄金属について概観し、その中でも特にレアメタルとかレアアースと呼ばれる鉱物について、現在の生産、消費状況を把握するとともに、内在するリスクや問題点について学ぶ。
第24回森林資源 (1)  木材の生産としてだけでなく生物多様性の保全や災害対策のためにも利用されている森林資源の概要を解説するとともに、その中で、木材、林業についてその現状と問題点を解説する。
第25回
森林資源 (2)
 森林資源の機能としての一つである生物多様性を軸とした森林資源の機能や役割を解説する。
第26回
農林資源
 世界の人口増加への対応に限界のある農林資源の内外の現状と日本における問題点について解説するとともに、その将来像を考える。



第27回水産資源 人口増加と農業や牧畜の生産の限界から期待される水産資源に関して、世界と日本双方のデータをもとに現状を理解し、今後の管理や養殖などの施策について検討する。
第28回海洋資源 現時点ではほとんど未利用、未開発の海洋資源について、色々な資源の観点、およびエネルギーの観点から概要を紹介し、今後のあり方を検討する。
第29回理解度の確認
16回以降の要点のまとめ
第30回まとめまとめ
授業形式 基本的には、資料などを配布した上での、パワーポイントを利用した講義形式での授業となるが、授業の最後に、なるべく双方向コニュニケーションとなるよう、簡単な議論の場を設けたいと考えている。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 講義態度
(出席)
その他 合計
60% 0% 20% 20% 0% 100%
テキスト 授業で取り上げる資源エネルギーの範囲が広いことから、特定のテキストは利用しない。
参考文献 都度、授業で紹介する。
オフィスアワー(授業相談) 基本的には、授業内で紹介するメールアドレスに連絡下さい。次の授業で回答します。
尚、本授業終了後、本館2階講師室に30分程度はおりますので、その時間にも対応します。(ただし、事前に連絡し時間を確認のこと。)
事前学習の内容など,学生へのメッセージ 毎回、授業の最後に、次回の授業の内容や参考文献などを知らせるので、自分の理解度に応じて対応すること。また、配布資料については、必ず読んでおくこと。