講義名 流通経済論 ≪□第一部≫
講義開講時期 通年
曜日・時限 金1
単位数 4

担当教員
氏名
沼野 敏

学習目標(到達目標)  本講座は,流通のしくみを研究する学問であることから,生産と消費を結合する流通の基礎理論を理解し,動向を習得し,将来を考察できるようになる。
 1.流通の社会的成立と必要性を説明できる。
 2.流通を機構・システム的に説明できる。
 3.身近な流通問題を経済学的視点からとらえることができる。
 4.流通業の経営戦略を表現できる。
 5.特定の商品の流通問題を自ら考察できるようになる。
 6.流通に関する統計データ・図表を読み取り、分析し、問題発見力を高め   ることができる。
 7.板書課題に取り組むことによって、発想力を豊かにすることができる。
授業概要(教育目的)  流通は,商品の流通,貨幣の流通,人の流通の如く日常的に用いられる行為である。しかし,商品の流通を支配する者が時の権力者であり,今日では有力企業であるように,流通は経済部門で大きな比重を占めているにも拘わらず,その実態が余り知られていない。こうしたことから,流通は経済の暗黒大陸ともいわれる。そこで、どんな生産者も商業者も消費者も流通に係わって接点があることから,流通に光を当てて解説する。
 流通に関する歴史、概念や専門用語、考え方、業界動向等を身につけることで、流通により一層興味が高まるようになることを目標としている。
 
授業計画表
 
項目内容
第1回総説本講座で何を学ぼうとしているか,それがどう役立つのか共に考えたい。
商学の概念,経済と流通,学問のすすめ,日本永代蔵
第2回流通の歴史流通はどのようにして発生してきたのだろうか,流通の歴史を考察する。
自給自足経済,物々交換経済,貨幣経済,市場・商人経済
第3回流通の概念流通とは何かを探る。いろいろな学説を挙げ,その妥当性について考察する。
流通の学説,流通の研究方法,生産物の高度化と流通の複雑化
第4回消費財商品の流通流通の対象である商品の消費財には,どんな分類の仕方と流通特性があるのだろうか。
商品とは,品質,適合性,消費財商品の分類,流通特性
第5回産業財商品の流通流通する産業財は,どのように分類され,どんな流通特性をもっているか考察する。
資本財と生産財,流通特性,部品の下請発注,海外調達がもたらす影響
第6回主要な流通機能生産と消費の間に,どんな分離があるのか解説し,流通機能の必要性を探る。
相互不認知と情報機能,人格的分離と商的流通機能,場所的分離と運送機能,時間的分離と倉庫機能,物的流通機能の効率化
第7回補助的流通機能前回に続いて,生産と消費の分離を埋め合わせる機能を考察する。
量的分離と集荷・仲継・分散機能,質的分離と標準化機能や品揃え機能,資金利用上の分離と金融機能,危険負担上の分離と保険機能
第8回流通機構生産と消費を連結する社会的な流通組織を考察する。
基本型,日本の流通組織・機構の特徴
第9回流通システム流通をシステム的に捉えてる必要性を挙げ,どのように構築されているか解説する。
システム,システム化の目的,システム分析,システム設計,システム改善
第10回卸売市場生鮮食品などの流通を体系的に担っている卸売市場の仕組みや機能を理解しよう。
新聞の相場欄の見方,卸売市場の仕組み,取引原則,機能,問題点
第11回卸売業卸売業,卸売商,問屋等の意義や分類を解説し,動向を探る。
卸売業の商業統計上の定義,実態,減少原因,産業分類基準,機能基準
第12回卸売業の無用・有用論卸売業・問屋は,無用か有用か考察する。
流通革命論の主張,取引総数最少化の原理,集中貯蔵の原理,投機延期の原理,社会的分業の原理
第13回卸売業の革新卸売業ではどんな流通革新が起きているのか,またその対応策を探る。
卸売業を取り巻く環境変化,対応策や今後の方向性
第14回小売業小売業がどんな仕事をして生存しているか,またその動向について考察する。
付加価値,実態,減少原因,産業分類と業態分類
第15回中間のまとめまとめ
第16回小売業の革新性代表的な小売業態を取り挙げ,初期の革新性と経営特徴を考察する。
初期のDS,SC,CVS,VC,FC
第17回業態開発論1次から次へ,新しい小売業態が開発されるのはなぜか,その理論的仮説を考察する。
小売の輪の論,小売アコーディオン論,小売サイクル論
第18回業態開発論2引き続き,小売業態開発論の代表的な仮説論を考察する。
弁証法的過程論,コア・フリンジ論,進化論,真空地帯論,危機変化論
第19回小売業の経営環境今後の小売経営に影響するものは何か,そのキーワートとインパクトを考察する。
流通自由化,流通情報化,高齢化
第20回小売業の経営戦略1小売業の経営に当って,どんな戦略が必要か考える。
5つのP,経営者の個性,商品戦略,価格戦略
第21回小売業の経営戦略2引き続き,小売経営に当っての戦略を考察する。
売場戦略,促進戦略
第22回流通経路の構築商品,情報,金が流通する経路・道筋はどのように構築され,管理されているのか。
伝統的経路,管理的流通システム,契約的流通システム,企業的流通システム,流通系列化
第23回流通経路の事例1米,衣料品の流通経路を事例的に考察する。
各商品特性と流通特性
第24回流通経路の事例2化粧品,電気製品の流通経路を事例的に考察する。
各商品特性と流通特性
第25回流通政策1政府が公共政策として,流通部門にどんな形で介入しているか解説する。
流通政策とは,流通競争促進政策,独占禁止法,私的独占の禁止,不当な取引制限の禁止,不公正な取引方法の禁止
第26回流通政策2引き続き,代表的な流通政策を取り挙げて解説する。
流通振興政策,流通促進政策,大規模小売店舗立地法,流通ピジョン政策
第27回商・取引慣行国の法律や政策ではなく,流通上の慣行・慣習として行われているもののメリット,デメリットを考察する。
日本の取引慣行の特徴,建値制,リベート制,返品制,派遣店員制,多頻度小口配送,協賛金
第28回これからの流通流通構造の変化・改革は,なぜ起こるのかその原因について検討する。また流通主導権者の変遷と今後の方向について考察する。
第29回理解度の確認要点のまとめ
第30回まとめまとめ
授業形式 講義形式,板書課題(毎回),小テスト(8回)
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 講義態度
(出席)
その他 合計
50% 10% 32% 0% 8% 100%
評価の特記事項 レポートはテーマ「前期の講義内容に関して(千字以上)」後期の最初の授業時に提出を求める。その他は板書課題の解答者に与える。
テキスト 毎回,レジュメを配布する。
オフィスアワー(授業相談) 授業時間の前後
事前学習の内容など,学生へのメッセージ 新聞,雑誌など流通に関するマスコミ報道にも関心を持ってほしい。