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学習目標(到達目標) |
不完全競争の原因の1つである、不確実性や不完全情報下の経済主体の行動を分析し、経済主体間の情報の非対称性を前提にした契約の経済理論のエッセンスを理解することを通して、現実の経済で数多く観察される市場の失敗を克服するための制度や組織、取引関係といった多様な仕組みの特徴を、理論的に習得すること目標とする。 |
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授業概要(教育目的) |
本講義の目的は、契約の経済理論の基礎と応用を学習することである。契約の経済理論のエッセンスを習得するために、ゲーム理論、不確実性と情報の非対称性およびプリンシパル・エイジェントモデルを平易に説明し、モデル分析の練習問題を行いながら、分析手法の技術などを使用する力をつける。以上の過程では、ミクロ経済学Ⅱで学んだ図による表現を数式によって置き換える力や,ミクロ経済学の直感的理解を一歩進めて、より進んだ経済学で求められる、厳密な論理性をスムーズに身につけて行く。なお,本講義では少なくとも高校レベルの微分・積分の理解を前提とするのであらかじめ、数学の復習をしておくことが望ましい。 |
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授業計画表 |
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回 | 項目 | 内容 |
第1回 | ミクロ経済学Ⅱの復習 | ①授業計画,授業方針の説明。中級ミクロ経済学Ⅱで学ぶ内容と対象を説明する。
②ミクロ経済学Ⅱで学んだ不確実性とリスクについて、期待効用理論を復習する。 | 第2回 | ゲーム理論の基礎① | 戦略型ゲームとクールノー・ナッシュ均衡
| 第3回 | ゲーム理論の基礎②
| 展開型ゲームとサブゲーム完全均衡 | 第4回 | 情報の非対称性の基礎 | 隠された情報と隠された行動 | 第5回 | 不確実性と情報の非対称性① | 逆選択とシグナリング | 第6回 | 不確実性と情報の非対称性②
第1回小テスト | モラル・ハザード | 第7回 | 情報の非対称性と契約の経済理論の基礎 | 情報の非対称性と契約の経済理論の関係 | 第8回 | プリンシパル・エイジェントモデル① | プリンシパル・エイジェントモデルの基礎 | 第9回 | プリンシパル・エイジェントモデル②
第2回小テスト | プリンシパル・エイジェントモデルの応用 | 第10回 | 契約の経済理論① | アドバースセレクション(逆選択)の基本モデル
| 第11回 | 契約の経済理論②
第3回小テスト | アドバースセレクションの応用:企業の規制と独占、最適課税 | 第12回 | 契約の経済理論③ | モラルハザードの基本モデル | 第13回 | 契約の経済理論④
第4回小テスト | モラルハザードの応用:保険、賃金の決定 | 第14回 | 契約の経済理論の展開 | ①中級ミクロ経済学Ⅱの講義内容の総復習
②契約の経済理論の新展開 | 第15回 | まとめ | まとめ |
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授業形式 |
PowerPointおよび板書による講義形式。1回20分程度の小テスト5回と練習問題提出5回。PowerPoint資料は、講義資料としてエコリンクで配付する。 |
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評価方法 |
定期試験
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レポート
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小テスト
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講義態度
(出席)
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その他
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合計
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50% |
0% |
20% |
10% |
20% |
100% |
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評価の特記事項 |
少人数クラスですから、講義形式とゼミナール形式を併用した授業を行います。したがって授業での発言等は授業態度の加点評価となります。練習問題を一度も提出していない者は評価の対象としません。 |
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テキスト |
伊藤秀史,『契約の経済理論』,有斐閣。 |
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参考文献 |
渡辺隆裕,『ゼミナールゲーム理論入門』,日本経済新聞出版社。ジャン-ジャック・ラフォン,『不確実性と情報の経済学』,東洋経済新報社。 |
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オフィスアワー(授業相談) |
水曜日2時限。事前にアポイントを取って下さい。 |
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事前学習の内容など,学生へのメッセージ |
中級ミクロ経済学Ⅱであつかう内容は、主流となりつつある新しい経済理論です。だからといって、難しいものでは無く『与えられた状況下での最適な選択とは何か』を分析する点では他のミクロ経済学の科目と同じです。理解が難しいところを残さずにじっくり学習すれば。身近な我々の日常の行動を論理的に説明する最強のツールを身につけられます。ミクロ経済学は理論の段階的学習が不可欠です。特に中級ミクロ経済学では数学的論理性が求められます。講義を欠席しないこと、問題演習を必ず提出することが重要です。講義の進捗状況や受講学生の理解度によって、配付資料や授業順序が変わる場合には、エコリンクで最新の資料を配付します。 |