講義名 交通経済論Ⅰ ≪□第一部≫
講義開講時期 前期
曜日・時限 金1
単位数 2

担当教員
氏名
加藤 一誠

学習目標(到達目標) この講義の目的は,主にミクロ経済学の道具を用いて交通産業や交通機関の経済的特徴を体系的に理解し,自分の言葉で説明できることにあります。いわゆる「マニア」向けの講義ではありませんから,鉄道や飛行機の型式や性能を記憶することを目的とはしていません。どうか,この点だけは間違えないようにしてください。
授業概要(教育目的) まず,交通サービスの経済財としての特徴を解説します。そして交通需要,交通の供給面の特徴および運賃理論を説明します。ミクロ経済学の復習をしながら,丁寧に講義を進めていきたいと思います。
授業計画表
 
項目内容
第1回はじめに(1)講義の進め方,指定図書の紹介
(2)効率と公正の考え方からみた交通とは?
第2回交通を考えるための基本概念(1)(1)交通における機会費用と時間価値~サラリーマンと高齢者の時間価値は違うはず
(2) 交通と都市のかたちの関係は~交通が都市に及ぼす影響。
【準備学習】教科書1-16ページ,参考書第6章を読むこと。
第3回交通を考えるための基本概念(2)(1) 交通における市場の失敗
(2) 交通の便益とは(割引現在価値)
【準備学習】教科書16-27,178-183ページを読むこと。
第4回交通サービスの基本的な考え方(1) なぜ,人は移動するのか
(2) 交通の特殊な単位をはじめ,必需性,即時性・即地性といった交通サービスの基本的な考え方
【準備学習】教科書31-39ページ,第3章を読むこと。
第5回本源的需要と派生需要,価格弾力性(1)「オタク」の経済学
(2) ビジネス客と観光客の違い
(3) ガソリン価格が上がれば,自動車に乗らなくなるか?
【準備学習】教科書38-39ページを読むこと。
第6回都市と過疎地の交通,交通機関の選択(1) 過疎地の交通の赤字は維持できるのか?
(2) バスに乗らずタクシーに乗る理由,船とトラックのコスト
【準備学習】教科書38-45ページを読むこと。また,担当者のエッセイを配布します。
第7回交通サービスの生産と費用(1)(1) 交通サービスの費用とは
(2) 鉄道運賃や高速道路料金はどうやって決まるのか。
(3) 交通産業に規模の経済は働くのか。
(4) 廃線のコスト
【準備学習】教科書67-73ページを読むこと。
第8回交通サービスの生産と費用(2)(1) 費用の劣加法性とは
(2) 輸送密度の経済とは~ハブ・アンド・スポークの効率性
(3) 範囲の経済性~貨物輸送は旅客輸送から分離すべきか
【準備学習】教科書72-79ページを読むこと。
第9回まとめと中間チェック復習のために試験を実施します。
第10回運賃の理論的な枠組み(1) 運賃に差別はあるのか?
(2) 限界費用や平均費用にもとづく運賃とは?
(3) 交通の赤字をどう考えるのか?
【準備学習】教科書85-95ページを読むこと。
第11回混雑料金とピークロードプライシング(1) なぜ,混雑が発生するのか?,
(2) どうすれば混雑は緩和されるのか?
(3) 世界で実施されている色々な課金方法
【準備学習】教科書95-107ページ,参考書第10章を読むこと。
第12回身近なところにある運賃を考える(1)高速道路の無料化は何故おかしいの
(2)初乗り運賃がある理由
(3)ラムゼイ運賃とは何のこと?
(4)都会のJRの運賃は安い!?
【準備学習】教科書108-119ページを読むこと。
第13回規制は必要か?(1) コンテスタブル市場とは?
(2) 交渉によって公害を解決できるのか?
(3) 交通取締りは必要か?
【準備学習】教科書143-171ページを読むこと。
第14回理解度の確認要点のまとめ
第15回まとめまとめ
授業形式 基本的に板書講義です。ハンドアウトを配布し,そこに関連図書を紹介しておきますので,関心のある人はさらに高い目標に向かって勉強してください。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 講義態度
(出席)
その他 合計
80% 0% 20% 0% 0% 100%
テキスト 竹内健蔵『交通経済学入門』有斐閣,2008.
参考文献 竹内健蔵『なぜタクシーは動かなくてもメーターが上がるのか』NTT出版,2013.
オフィスアワー(授業相談) 火曜日13時半から14時半(必ずメイルで予約すること)。