講義名 現代企業論 ≪□第一部≫
講義開講時期 通年
曜日・時限 金3
単位数 4

担当教員
氏名
糟谷 崇

学習目標(到達目標) 1. グローバル化と情報通信技術の進展によって生じた企業の競争環境の変化について説明できる。
2. 企業がアウトソーシングを通じて、組織をフラット化させ、脱垂直統合へと向かっている状況を説明できる。
3. こうした現実の世界で生じている現象を説明するために、必要となる見方や尺度を提供してくれる観点や理論を修得する。
4. 新制度派経済学について理解し、市場や組織という制度が存在する理由とはたすべき役割を説明できる。
5. 市場で取引をするには費用(取引費用)が必要であるという考え方にもとづいて企業活動を説明できる。
6. 市場と企業の間には境界が存在するという観点を身につける。
授業概要(教育目的)  組織のフラット化による脱垂直的統合や競争企業間での協力的な提携、取引のネットワーク化という、近年の企業環境を観察するにあたって、重要なことは、特定の取引が企業の内部(組織)で行われるのか、外部(市場)で行われるのかといった企業と市場の境界についての観点である。どのような基準で、企業は組織の境界を決定するのかについて、合理的な説明を行うために、本講義では、主に新制度派経済学(主に契約論・ケイパビリティ論)といわれる企業を組織とみなし、企業や市場を制度と捉える研究を解説する。そうした概念をもとに企業がはたすべき役割がどのようなものであるかを考える事ができるようになることを目的としている。
授業計画表
 
項目内容
第1回イントロダクション現代の企業環境の解説
本講義の目的・到達目標
講義の進め方・評価方法の詳細説明
第2回企業とは何か(1)
ミクロ経済学における伝統的企業の概念とその問題点
【準備学習】
テキストの第1章を読んでおくこと。
第3回企業とは何か(2)企業の本質、組織内取引と市場取引
【準備学習】
テキストの第1章を読んでおくこと。
第4回新制度派経済学とは新制度派経済学の3つの柱。
取引コスト理論、エージェンシー理論、所有権理論
【準備学習】
テキストの第1章を読んでおくこと。
第5回取引コスト理論(1)取引コスト理論の基本原理
取引コストと組織デザイン
【準備学習】
テキストの第2章を読んでおくこと。
第6回取引コスト理論(2)取引コストと経営戦略
取引コストとコーポレート・ファイナンス
【準備学習】
テキストの第2章を読んでおくこと。
第7回取引コスト理論(3)取引コスト論からみた現実の企業
【準備学習】
テキストの第2章を読んでおくこと。
第8回エージェンシー理論(1)エージェンシー理論の基本原理
プリンシパル・エージェンシー問題
【準備学習】
テキストの第3章を読んでおくこと。
第9回エージェンシー理論(2)エージェンシー理論と組織形態
エージェンシー理論と人事労務
【準備学習】
テキストの第3章を読んでおくこと。
第10回エージェンシー理論(3)エージェンシー理論からみた現実の企業
【準備学習】
テキストの第3章を読んでおくこと。
第11回所有権理論(1)所有権理論の基本原理
所有と経営
【準備学習】
テキストの第4章を読んでおくこと。
第12回所有権理論(2)所有権理論と企業組織
所有権理論と経営戦略
【準備学習】
テキストの第4章を読んでおくこと。
第13回所有権理論(3)所有権理論からみた現実の企業
【準備学習】
テキストの第4章を読んでおくこと。
第14回まとめ(1)新制度派からみた企業の境界問題
第15回新たな企業の境界これまでの企業の境界にたいする問題
新たな企業境界の設定基準
第16回新制度派経済学と企業各理論(取引コスト理論、エージェンシー理論、取引コスト理論)からみた企業
第17回中間テスト第15回までの内容についてテストを授業内でテストを行います。
第18回ケイパビリティ論とは何か(1)ケイパビリティ論の方法と系譜
戦略論とケイパビリティ論
組織の経済学とケイパビリティ論
【準備学習】
参考文献など経営戦略論に関わる文献に目を通しておくこと。
第19回ケイパビリティ論とは何か(2)進化経済学とケイパビリティ論
【準備学習】
参考文献など経営戦略論に関わる文献に目を通しておくこと。
第20回新制度派経済学とケイパビリティ論2つの企業観
企業の境界の決定要因
第21回ケイパビリティ論と企業境界ケイパビリティ論による企業の境界決定
第22回ダイナミック・ケイパビリティとは(1)ダイナミック・ケイパビリティの誕生
ダイナミック・ケイパビリティの基本原理
第23回ダイナミック・ケイパビリティとは(2)ダイナミック・ケイパビリティの解明
第24回ダイナミック・ケイパビリティとは(3)企業のパフォーマンスの性質の解明
第25回アーキテクチャと企業境界(1)情報化と企業の境界問題
第26回アーキテクチャと企業境界(2)アーキテクチャとケイパビリティ
第27回企業進化とケイパビリティ進化経済学からみるケイパビリティ
第28回ケーススタディ(1)これまでの企業境界の再解釈
第29回ケーススタディ(2)新たな企業境界
情報化と企業境界
第30回まとめ(2)ケイパビリティ論からみた企業の境界問題
授業形式 テキスト・参考文献の内容の解説を中心とした講義をおこなう。
半期に一度ないし二度、内容の理解を確認するために授業内に小テストあるいはレポートを実施する。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 講義態度
(出席)
その他 合計
70% 0% 30% 0% 0% 100%
評価の特記事項 前期の内容について中間テストを行います。
テキスト 菊澤研宗『組織の経済学入門-新制度派経済学アプローチ』有斐閣, 2625円.
参考文献 渡部直樹、デビット・J・ティース『ケイパビリティの組織論・戦略論』中央経済社, 3150円.
オフィスアワー(授業相談) 講義終了後に時間をとります。
事前学習の内容など,学生へのメッセージ 一般に、経営学というと、ビジネスや組織管理に直結したイメージを持つ人が多いように思う。現代企業は上述したようにある種の制度であり、単純な家業や実業とは異なる。本講義を通じて制度・システムとして企業のあるべき姿が何であるかということを理解をしてほしい。なお比較的、板書を多くするので一生懸命、ノートを取っていただきたい。