講義名 広告コミュニケーション論 ≪□第一部≫
講義開講時期 通年
曜日・時限 金4
単位数 4

担当教員
氏名
樋口 紀男

学習目標(到達目標) マーケティング論や広告論は、市場の変化よってテストされてきたが、そのレベルは高くなってきている。資源・環境問題やグローバル化、インターネット、格差等々の進展、卑近なところでは食品偽装問題。市場の変化は複雑化している。いま、これらの変化に対応した新しい知が求められている。そのためには、<どう効くか>といった方法論の前提となる<なぜ効くか>といった原理の再考が求められる。以上の視点より、現実のマーケティングや広告の現象を読み解き、説明できる能力を身につける。さらに、新しい視点からの戦略立案の基本的方向付けができるようにしていく。
授業概要(教育目的) 本講義は、広告は<どうに効くか>といった方法論から<なぜ効くか>の原理までを、「生活」概念を中心に説明する。マーケティングや広告は、企業活動の中で「生活」に最も近く、かつ影響の大きい活動と言える。しかし、「生活」は多義的で包括的な概念であるため、マーケティング論や広告論を越えて経済学、社会学、哲学などの幅広い知識が求められる。従って、講義も幅広くなる。本講義では、マーケティングや広告を「生活」との関連で説明し、マーケティングや広告などの企業の市場活動をより身近なものとして感じ、理解できるようになることを目標とする。
授業計画表
 
項目内容
第1回ガイダンス
広告とは何か
広告は<なぜ・どのように効くのか>を、価値、欲望、臨床の知といった視点から説明する。特に、広告を見る視点・視野・視座とはどのようなことかについて講義する。教科書と下記に挙げた参考文献などから、関連の言葉や概念を呼んでおくこと。
第2回広告と社会社会における広告の性格を、マーケティングの範囲を超えて広告の本質的な意味を説明する。同時に、広告を取り巻く世界から見た広告の性格や価値創造としての広告、社会制度としての広告など幅広い視点から広告を見ていく。
第3回広告の機能広告の機能を、社会、経済、経営、そして生活の視点から見ていく。また、市場における広告の機能をマクロ・ミクロから説明する。
第4回広告と時代性広告と時代意識や広告と生活、社会の連接構造を明らかにしていく。
1,2年次での経済学や社会学などの教養科目と教科書の関連箇所をリンクさせて見るようにすること。
第5回広告コミュニケーション広告におけるコミュニケーションの意味と重要性。コミュニケーションの原初的な形態から今日のコミュニケーションまでを説明する。特に、コミュニケーションを軸に広告と人びとの日常的な関わりを説明する。
コミュニケーション論固有の言葉が出てきますので、事典・辞書で前もって学習すること。
第6回広告戦略の立案広告戦略立案の基本形と手順、さらに基本的要素について説明する。
戦略とは何か、といったことについて予め調べておくこと。
第7回表現戦略の立案広告表現とは何かを中心課題として、広告のテクスト性、メッセージ性や表現の読み方を説明する。
第8回媒体戦略の立案広告戦略における媒体戦略策定の基本形と手順、さらに基本的要素について講義する。また、いわゆる一般的な意味での媒体(メディア)と広告媒体の違いについても触れていく。
第9回広告予算の策定広告費の性格をはじめとして予算策定の方法に関して説明する。
第10回広告業界と広告ビジネス広告業界とは誰によって構成されているのかといったことから業界の日本的特徴、広告会社のビジネス領域について述べる。
第11回広告規制について広告規制は何のためにあるのか、規制と企業、消費者・生活者との関係。また、どのような規制があるのかといった規制の種類・体形・意味について説明する。
第12回理解度の確認以上11回までは、伝統的な(従来からの)広告論を軸に講義するが、これまでの要点をまとめる。
第13回広告の新たな可能性(1)いわゆる近代経済学的な考えから、新たな方向に踏み出すための視点を、近代経済学の中の広告論を批判的に超えることによって広告の新たな視点を開く。
第14回広告の新たな可能性(2)広告の新たな可能性を、<欲求・欲望><生活・社会>の視点から、現在の消費社会の状況を踏まえて仮説的に展開する。
第15回中間まとめ14回までの要点を<広告の新たな可能性(1)(2)>を中心にしたまとめ。
第16回広告の新たな展開17回以降の講義のガイダンス。17回以降の講義の全体的構図と目標。
第17回マーケティング・広告の商学的展開マーケティング、広告と経済学、商学との関連を明らかにし、マーケティング・広告の新たな社会的役割について述べる。マーケティング・コミュニケーションの基本的理解を深めることを目指す。
第18回マーケティング・広告のコミュニケーション的転回マーケティングの問題圏域を供給と需要の連接構造から明らかにしていく。現代のマーケティングや広告が、本質的にコミュニケーションによって作動されていることを説明する。
第19回コミュニケーション再考メディア・メッセージ・情報の諸概念を再考し、そこからコミュニケーション(メディア・メッセージ・情報)とマーケティング・広告の関連を説明ていく。
第20回価値の所在とマーケティングマーケティングにおける価値創造の推移をコミュニケーションとの関連で明らかにし、マーケティングがコミュニケーションによって作動されている状況を説明していく。
第21回統合型マーケティング・コミュニケーショ(IMC)マーケティングがコミュニケーションによって稼動されることに関して、ドン・シュルツ(イリノイ大学ケロッグ)の理論モデルを通して説明する。
第22回ブランド・コミュニケーションマーケティング活動の基本をなすブランド・コミュニケーションついて、ブランドの定義からブランド戦略までを説明する。
ブランドは身近な問題である上に、ビジネスの根幹を成すため事前に学習しておくこと。
第23回グローバリゼーションとマーケティング・コミュニケーショングローバリゼーションの意味、そこでのマーケティング・コミュニケーションの特徴などについて説明する。
第24回グローバル・コミュニケーション戦略グローバルコミュニケーション戦略のくずを文明・文化の視点から説明。
他の履修科目におけるグローバリゼーションに関するところに目を通しておくこと。
第25回インターネット・コミュニケーションへの視点インターネットの特質を<私><偶有性>の視点から説明していく。
事前に言葉の意味、概念を予習しておくと講義の内容が理解しやすくなる。
第26回インターネットとマーケティング・コミュニケーションマーケティングにおけるインターネットの特質と可能性を<デザイン>概念を軸に展開する。
第27回戦後日本のマーケティング戦後のわが国の社会・経済・消費の視点を軸にマーケティングン推移を見る。特に、わが国にとってマーケティングは何であったかを考える。
教科書の当該箇所をしっかり読んでおくこと。
第28回マーケティングのメタ構想への視座世界の変化、特に3・11以降の科学観の変化を考え、そこからマーケティングンお新たな課題を明らかにし、マーケティングのメタ構想への視点を提示していく。
第29回マーケティングと価値創造のデザイン生活価値を起点としてマーケティング・コミュニケーションのあり方と情報による価値創造のあり方を説明。
第30回まとめ17回以降の要点のまとめ。
授業形式 授業は、講義形式で進めるが、マーケティングや広告の実際のケースを随所で紹介していく。また、受講姿勢や理解度をチェックため授業中に小テスト、またはリポートを実施する。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 講義態度
(出席)
その他 合計
60% 20% 20% 0% 0% 100%
評価の特記事項 評価の基本は「定期試験」にしているが、「レポート」と「小テスト」で受講姿勢と理解度をチェックし40%のウエイトで考える。
テキスト 樋口紀男『改訂 広告コミュニケーション』楼門書房。
参考文献 北田暁大『広告の誕生』岩波現代新書。
中山  元『高校生のための評論文キーワード100』ちくま新書。
できるだけ、社会学、思想系の事典・辞書を持つようにすること。
オフィスアワー(授業相談) 授業終了後、本館2回講師室にて20分間は対応します。
事前学習の内容など,学生へのメッセージ まず、授業前に教科書に目を通し、はじめての言葉や自分にとって曖昧な言葉は事典・辞書で調べるようにすること。講義内容は必ずノートにとり、教科書とチェックすること。また、企業の市場活動に関する新聞・雑誌記事に日頃から目を通すように心掛けること。