講義名 金融ビジネス論 ≪□第一部≫
講義開講時期 後期
曜日・時限 木3
単位数 2

担当教員
氏名
柴田 宏樹

学習目標(到達目標) 本講義では、「ファイナンス理論が金融ビジネスでどう活用されているのか?」、「格付け会社は、事業会社の事業戦略や財務指標をどのように分析して、『クレジット・ストーリー』を作成しているのか?」、「日本企業と海外企業の事業戦略や財務特性ではどのような相違点があるのか?」 等を考察し、経済・金融理論をベースに企業の信用力(クレジット)分析の基本を取得することが学習目標です。
本授業を受講した学生が、将来、金融関(銀行、証券、保険など)や事業会社の財務・営業部門で働いたり、個人で資産運用を行う場合に、最低限必要な金融知識や分析手法をみにつけ、論理的な説明ができるようになることが到達目標です。
授業概要(教育目的) 本講義では、金融ビジネスの全体像(市場の概略、金融ビジネスの内容、主要プレーヤーの特性等)を学んだ上で、事業会社の格付け(クレジット)分析手法を解説します。
 カントリーリスク、産業リスク、競争力、収益性、キャッシュフロー、経営陣とコーポレートガバナンス等の項目に関して実例を踏まえて解説します。また、株式と債券市場における分析視点の違い、日本と海外との主要企業の比較なども行い、財務指標の見通しのたて方の基本も解説します。
 特定の事業セクターを取り上げ実践的な分析手法を解説予定です。また、応用編として、M&Aなどのイベントによる影響、プロジェクト・ファイナンスの分析手法等も解説予定です
授業計画表
 
項目内容
第1回イントロダクション:金融ビジネスの概要金融市場の概略、金融ビジネスの内容、主要プレーヤーの特性などを解説します。
第2回事業会社の信用力(クレジット)分析の枠組みと主なリスク項目企業の信用リスク(クレジット)分析の意義、具体的な活用方法、分析手法の概要などを解説します。
第3回事業リスクプロフィールの評価 (その1)カントリーリスク、産業固有のリスク、(同一産業内での)競争力、収益性の評価を中心に、事業面の主な評価項目を体系的に解説します。
第4回事業リスクプロフィールの評価 (その2)上記の続きです。
第5回財務リスクプロフィールの評価キャッシュフロー分析、財務指標分析上の調整項目をまじえて、財務面での分析上重視している項目やその計算方法、数値の背景にある考え方などを解説します。
第6回最近のトピックとセクター別の分析手法(1)特定の事業セクターを取り上げて、セクター固有の分析項目、同一業種内での相対比較などを解説します。
第7回経営陣とコーポレート・ガバナンス事業リスクプロフィール、財務リスクプロフィールの評価以外で、事業会社の信用力分析上で重要な経営陣とコーポレートガバナンスの評価項目を体系的に解説します。
第8回多角化とポートフォリオ効果、資本構成、財務方針、流動性事業リスクプロフィール、財務リスクプロフィールの評価以外で、事業会社の信用力分析上で重要な経営陣とコーポレートガバナンスの評価項目を体系的に解説します。
第9回日本企業と海外企業の比較これまで学んだことをベースに、日本企業と欧米・アジア地域の企業において、類似点と相違点を考察し、グローバルでの分析の一貫性をどのように行っているのか解説していきます。
第10回セクター別の分析手法(2)特定の事業セクターを取り上げて、セクター固有の分析項目、同一業種内での相対比較などを解説します。
第11回親会社・子会社のグループ支援、政府による支援、会計上の調整等事業会社の単独での信用力をサポートする、外部からの支援項目を解説します。
第12回M&A、大型投資や増資などのイベントにおける信用力(クレジット)評価への影響、最近のトピック 応用編として、イベント発生時の企業の信用力(クレジット)評価や企業分析上の影響をどのように考えるのかを解説します。
第13回プロジェクト・ファイナンスの分析手法応用編として、コーポレート・ファイナンス以外のプロジェクト・ファイナンスの分析手法(海外の発電所、有料道路、石油・ガスターミナルなど多く活用されているものです)を解説します。
第14回理解度の確認要点のまとめ
第15回まとめまとめ
授業形式 基本的に講義形式を予定しています。ただし、受講学生数が少ない場合には、学生との対話を重視した質疑応答形式を多く取り入れる予定です。
講義中にも質問時間を設定する予定なので、学生からの積極的な意見や質問を期待します。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 講義態度
(出席)
その他 合計
0% 60% 0% 40% 0% 100%
評価の特記事項 レポート(中間と期末の2回)を予定しています。
テキスト 本授業では、金融ビジネスで使用する知識や考え方、市場データや財務指標を使用するためテキストや参考文献は予定していません。各回の授業前に掲示板の掲載資料(一部英語)を各自印刷して持参してください。
参考文献 同上
オフィスアワー(授業相談) 本授業終了後、教室にて20分程度質問に回答します(非常勤講師のため、極力授業終了後に質問してください)。場合によっては、回答は次回授業後とします。
事前学習の内容など,学生へのメッセージ 講義者は、国内信託銀行にて事業会社融資、機関投資家として債券ファンドマネジャー/クレジットアナリストを約13年経験した後、米国格付け会社スタンダード&プアーズ・レーティング・ジャパン㈱(S&P)の格付けアナリスト(電力・ガス、空港・鉄道等のインフラ、電機メーカー、重工業、プロジェクト・ファイナンス)を約8年間務めています。

本講義では、これまでの講義者の経験を踏まえて行うため、金融ビジネスの実務色が濃い内容となる予定です。日頃から経済記事をよく読んで、世の中の動きをとらえるように心がけてください。