講義名 ミクロ経済学Ⅰ ≪□第一部≫
講義開講時期 前期
曜日・時限 月3・金3
単位数 4

担当教員
氏名
宮川 大介

学習目標(到達目標) 「ミクロ経済学Ⅰ」では,市場を構成する経済主体の選択行動の基礎理論と市場メカニズムについて説明する。この講義では,ミクロ経済学における最低限必要な「基礎知識」,「経済学的な考え方」,「分析手法」を習得することが目標となる。
授業概要(教育目的) 主に完全競争市場における経済主体の行動,市場メカニズム,資源配分の効率性に関する問題である。

定期試験で実施される共通試験が,評価の50%となる。
共通試験は,下記の共通テキストの1章~3章,5章~7章を範囲とする。
但し,除く部分
① 各Column,Case study,Close Up,
② 2.5節
③ P.94~97,P.198~202
④ 図2.10~2.13
⑤ 微分の計算

なお,ミクロ経済学Ⅱの履修はミクロ経済学Ⅰの単位取得を前提としている。また,他の経済系科目と基礎となるため早期に単位取得が望ましい。
授業計画表
 
項目内容
第1回イントロダクション講義計画と成績評価に関する説明を行った上で,ミクロ経済学を学ぶ目的とミクロ経済学の対象である「家計(消費)・企業(生産)・市場(均衡)」の基本的な定義について解説します。

【準備学習】シラバスを事前に熟読しておくこと。

【目標】ミクロ経済学Ⅰを学ぶ動機と対象を平易な言葉を用いて説明できること。
第2回ミクロ経済学の基本概念(1)講義1で解説した内容のうち、家計に関する基本的な概念を図と簡単な数式を用いて再度解説します。併せて数学的なツールの復習も行います。

【準備学習】グラフの描き方(縦軸・横軸)と一次関数・二次関数に関する基本的な概念を復習しておくこと。

【目標】図を用いて家計の消費行動の基本原理を説明できること,消費行動の事例を用いて弾力性の概念と限界概念を平易に説明できること,家計の消費行動に関する簡単な計算問題が解けること。
第3回ミクロ経済学の基本概念(2)講義1で解説した内容のうち,企業に関する基本的な概念を図と簡単な数式を用いて再度解説します。併せて数学的なツールの復習も行います。

【準備学習】前回の講義で学んだ家計(消費)に関する議論を復習しておくこと。

【目標】図を用いて企業の生産活動の基本原理を説明できること,生産活動の事例を用いて弾力性の概念と限界概念を平易に説明できること,企業の生産行動に関する簡単な計算問題が解けること。
第4回ミクロ経済学の基本概念(3)講義1で解説した内容のうち,市場メカニズムに関する基本的な概念を図と簡単な数式を用いて再度解説します。併せて数学的なツールの復習も行います。

【準備学習】連立方程式の解法について復習しておくこと。

【目標】図を用いて市場メカニズムの機能を説明できること,市場均衡の決定に関する簡単な計算問題が解けること。
第5回家計(消費)のモデル(1)これまでの議論で概観した家計の消費行動を,条件付最適化問題(効用関数・予算制約)として定義しなおします。

【準備学習】微分の基本的なルールと関数の最大値・最小値を求める方法について確認しておくこと。

【目標】家計の消費行動の背景にあるモデルを定式化できること。
第6回家計(消費)のモデル(2)前回の講義で取り扱った家計(消費)のモデルと無差別曲線との関係を解説します。

【準備学習】三次元のグラフ(X-Y-Z軸)の描き方,またそのグラフを各方向から見るとどういった形に見えるかについて復習しておくこと。

【目標】以下の用語について平易に説明できること(効用最大化,無差別曲線,限界代替率,効用関数,予算制約,効用最大化,代替効果と所得効果,スルツキー分解)
第7回家計(消費)のモデル(3)家計(消費)のモデルについて、発展的な内容を解説します。

【準備学習】これまでの学習内容について再度復習しておくこと(今回の講義はそれらの内容を前提としています)。

【目標】以下の用語について平易に説明できること(個人の需要曲線,市場の需要曲線,代替財と補完財,所得消費曲線,上級財・下級財・ギッフェン財)
第8回需要曲線の導出(1)具体的なモデルを用いて,需要関数を導出します。

【準備学習】再度,微分の基本的なルールと関数の最大値・最小値を求める方法について確認しておくこと。

【目標】モデルの構築から需要関数の導出までを独力で出来ること。
第9回需要曲線の導出(2)具体的なモデルを用いて,「補償」需要関数を導出した上で,前回の講義で導出した需要関数との違いを解説します。

【準備学習】前回の講義内容を確実にマスターしておくこと。今回の講義は前回の内容との比較が重要なポイントになります。

【目標】モデルの構築から補償需要関数の導出までを独力で出来ること。前回の講義で導出した需要関数との違いを平易に説明できること。
第10回需要曲線を用いた分析(1)価格や所得が変化した場合の需要の変化について,主として図を用いて解説します。

【準備学習】無差別曲線と予算制約線の描画方法と,それらを用いた最適な消費パターンの求め方を復習しておくこと。

【目標】説明に当たって必要となる図を独力で構築できること。
第11回需要曲線を用いた分析(2)前回の講義に続いて,価格や所得が変化した場合の需要の変化について、主として数式を用いて解説します。

【準備学習】偏微分とチェーンルールについて,EcoLinkで配布するレジュメを事前に読んでおくこと。

【目標】図を用いた説明と数式での説明を関連付けて説明できること。
第12回家計(消費)に関する進んだ議論これまでの議論の応用例として,消費と余暇の選択・異時点間の最適化について解説します。また,後半の講義で取り扱う余剰概念についても簡単に解説します。

【準備学習】次回の講義で小テストが行われますので,第11回までの内容については,ここまでの間に十分復習しておくようにしてください。

【目標】家計(消費)のモデルについて,その応用例を口頭で平易に説明できること。
第13回小テスト第12回までの講義内容を範囲とする小テストを行います。
第14回小テストの解説(+必要に応じて追加の問題演習)小テストの解説を行うと共に,理解度が不足していると認められる箇所について,追加的な問題演習を行います。

【準備学習】小テストで取り扱った内容は,期末試験の範囲でもあります。十分に復習しておくようにしてください。
第15回企業(生産)のモデル(1)これまでの議論で取り扱った企業の生産活動を,条件付最適化問題として再度定義しなおします。また,この過程で費用関数の定義についても解説します。

【準備学習】再度,微分の基本的なルールと関数の最大値・最小値を求める方法について確認しておくこと。

【目標】企業の生産行動の背景にあるモデルを定式化できること,生産関数・利潤関数・費用関数の関係について平易に説明できること。
第16回企業(生産)のモデル(2)前回の講義で取り扱ったモデルと等生産量曲線・等費用曲線との関係を解説します。

【準備学習】再度,三次元のグラフ(X-Y-Z軸)の描き方,またそのグラフを各方向から見るとどういった形に見えるかについて復習しておくこと。

【目標】以下の用語について平易に説明できること(利潤最大化,費用最小化,等生産量曲線,等費用曲線,費用関数,費用曲線)
第17回企業(生産)のモデル(3)特に費用関数と生産活動の関係について詳しく解説します。

【準備学習】第15回の講義で導出した費用関数の定義について復習しておくこと。

【目標】以下の用語について平易に説明できること(短期・長期,限界費用と平均費用,損益分岐点・操業中止点)
第18回供給曲線の導出(1)具体的なモデルを前提として,供給関数を導出します。

【準備学習】前回の講義内容を確実にマスターしておくこと。

【目標】モデルの構築から需要関数の導出までを独力で出来ること。
第19回供給曲線の導出(2)前回の内容を復習すると共に,生産関数・利潤関数・費用関数・要素需要関数などの関係について整理します。

【準備学習】前回の講義内容を確実にマスターしておくこと。特に,どの関数を用いてどういった手順を踏んでどの関数が得られたかを確実に理解しておくこと。

【目標】各関数の関係について,平易に説明できること。
第20回長期・短期における企業と市場の生産活動ここまでの内容に長期・短期の概念,企業・市場の概念を加えた場合,議論がどの様に拡張されるかを解説します。

【準備学習】前回までの講義内容を確実にマスターしておくこと。

【目標】上記の四概念について,平易に説明できること。
第21回完全競争市場と市場均衡(1)完全競争市場の定義を解説した上で,市場均衡の性質を簡単に説明します。

【準備学習】これまでの家計と企業に関する問題で,何が所与(モデルの外から与えられる情報)として取り扱われていたかを各自考えておくこと。

【目標】以下の用語について平易に説明できること(プライステーカー,完全均衡市場,市場均衡)
第22回完全競争市場と市場均衡(2)市場均衡について,追加的な概念を用いて補足します。

【準備学習】これまでの議論で,市場均衡がどの様に得られると考えてきた(or考えてこなかった)かを各自考えておくこと。

【目標】以下の用語について平易に説明できること(ワルラス的調整,マーシャル的調整,くもの巣調整過程)
第23回完全競争市場と市場均衡(3)余剰概念を用いた市場均衡の評価(課税の影響,その他の歪み)を解説します。

【準備学習】需要関数と供給関数の導出プロセスを再度復習しておくこと。

【目標】市場均衡がどういった意味で経済的に望ましいかを平易に説明できること。
第24回効率性の観点から見た市場均衡の評価(1)パレート効率性の定義を解説した上で,市場均衡が効率性の観点からどのように評価されるかを,エッジワースボックスダイアグラムなどを用いて説明します。

【準備学習】「効率的である」とはどういう意味かを各自考えておくこと。

【目標】資源配分の効率性,効用フロンティアについて図を用いて説明できること。
第25回効率性の観点から見た市場均衡の評価(2)厚生経済学の基本定理について解説します。

【準備学習】これまでの議論で価格がどの様な役割を果たしてきたかについて各自考えておくこと。

【目標】エッジワースボックスを用いて,厚生経済学の基本定理について平易に説明できること。講義終了時に次回及び次々回講義で用いる演習問題を配布します。
第26回問題演習(1)第25回の講義終了時に配布した問題の演習を通して,主として前期の講義内容を復習します。

【事前学習】事前に配布された問題を各自解いておくこと。
第27回問題演習(2)第25回の講義終了時に配布した問題の演習を通して,主として後期の講義内容を復習します。

【事前学習】事前に配布された問題を各自解いておくこと。
第28回問題演習(3)第25回の講義終了時に配布した問題の演習を通して,主として後期の講義内容を復習します。

【事前学習】事前に配布された問題を各自解いておくこと。
第29回理解度の確認これまでの要点のまとめ
第30回まとめまとめ
授業形式 講義形式
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 講義態度
(出席)
その他 合計
80% 0% 20% 0% 0% 100%
評価の特記事項 期末の定期試験(60分)では共通試験と個別試験が同時に行われます。成績評価のウェイトは,共通試験が50%,個別試験30%,前期に行われる小テストが残り20%です。
テキスト 井堀利宏『入門ミクロ経済学』第2版,新世社,2004
参考文献 井堀利宏『ミクロ経済学演習』第2版,新世社,2001
オフィスアワー(授業相談) 講義に関する質問は,金曜日2限(10:40~12:10)に研究室で受け付けます。必ず前日までにメール(第一回目の講義でアドレスを公開します)でアポイントメントを取ってから来てください。
事前学習の内容など,学生へのメッセージ ミクロ経済学Ⅰで学ぶ内容は,今後皆さんが学ぶ殆ど全ての経済学関連科目の基礎的な知識となるものです。数式や図を沢山取り扱うために,一見すると難解なように見えるかもしれませんが,コアとなる考え方は非常にシンプルです。毎回の講義で分からなかった点をそのままにせず,しっかりと予習・復習をして講義に参加するようにしてください。

尚,講義の進行を妨げる行為を繰り返す学生については厳しい態度で臨みます。真面目に勉強しようとする学生の邪魔になる可能性のある学生は本講義の受講をお勧めしません。