講義名 商法(総則等) ≪□第一部≫
講義開講時期 通年
曜日・時限 木1
単位数 4

担当教員
氏名
小菅 成一

学習目標(到達目標)  本授業では、商法について取り上げます。具体的には、商業登記(取引相手の会社を確認する方法は?)や商業使用人の権限(従業員の権限外の行為について会社がどのように責任を負うのか?)、商事売買(企業間で取引する場合どのようなルールに従うべきか?)、企業間取引の決済(手形や小切手の仕組みはどのようになっているか?)、消費者取引(消費者をいかに企業の活動から保護するか?)等の規制の概要を把握するとともに、そこで生じる法律問題にはどのようなものがあり、それがどのように解決されるのかを勉強していきます。

授業概要(教育目的)  現代社会は、企業の存在なくして成り立ちません。皆さんの日常生活も企業との取引からはじまり、そして、多くの人が将来企業に就職することでしょう。この授業では、企業に関わる法律のうち、商法を中心に、消費者法や手形・小切手法について取り上げます。具体的には、商人の意義、商号、商業登記、商業使用人、商事売買、商事担保、企業取引の決済制度(手形や小切手等)、消費者取引、物品・旅客運送取引、フランチャイズ取引等です。こうした制度について、判例や事例を使って、わかりやすい講義をしていきたいと思います。企業活動と法律との関係に関心のある学生の受講を歓迎します。
授業計画表
 
項目内容
第1回授業の概要企業に関わる法律=商法を学ぶ意義、成績評価の方法等。
第2回商法とは何か商法の特徴(企業の種類、商法の歴史等)、商法と他の法律(民法や労働法等)との違い。
第3回営業活動・商人のいろいろ①商行為の種類と特徴(どういう活動をすると商行為として商法が適用されるのか?)。
第4回営業活動・商人のいろいろ②商人とは何か(会社と個人商人の違い。商人の資格取得時期はいつから?)。
第5回企業の情報開示システム①取引先企業の情報を調査するために必要な「商業登記制度」の意義や手続等。
第6回企業の情報開示システム②商業登記の効力(登記の有無により取引の効力が変わる?)。
第7回商人・会社の名称①商人や会社の名称である「商号」の意義、有名な会社の名称を使用した場合の問題点(不正競争防止法との関係等)。
第8回商人・会社の名称②他人に自己の商号を貸した場合、貸手にはどのような責任が生じるか(名板貸し責任について)。
第9回商業使用人①従業員(使用人)の役割とその権限の特徴、代表取締役等との権限の違いについて。
第10回商業使用人②商法に規定される支配人、部長・課長、店舗における使用人等の権限外の行為について、どのような規制がなされるのか。
第11回取引法としてのM&A①商人や会社の組織を譲渡する「事業譲渡」について、どのような規制がなされるのか。
第12回取引法としてのM&A②事業譲渡における債権者保護(詐害的な事業譲渡をいかに防止するか。過去の判例を取り上げながら検討する)。
第13回企業の財産状況商人がその資産状況を把握するためにはどのような制度があるか。そうした資産状況をどのように開示するか。
第14回理解度の確認これまでの要点のまとめ
第15回まとめまとめ
第16回商取引の特徴①企業取引における契約締結の問題点(契約自由の原則とは何か?)。
第17回商取引の特徴②企業間売買における注意点(商品の受領、受け入れた商品の検査等の必要性等。取引における民法と商法との違いはあるのか?)
第18回商取引の特徴③企業間取引における担保制度にはどのようなものがあるのか(保証人、先取特権、所有権留保等)。
第19回企業取引の決済①企業間取引における決済方法の種類・特徴(手形や小切手等を使って決済方法はどのようになされるのか?)
第20回企業取引の決済②企業間決済で頻繁に利用される約束手形をめぐる法的諸問題について(裏書譲渡、人的抗弁等)。
第21回企業取引の決済③手形取引をめぐる諸問題(不渡り、他人による手形行為)、小切手を使った問題点。
第22回消費者取引①企業からの不当な取引(契約)に対し消費者をいかに保護するのか(普通取引約款に対する規制、消費者契約法)。
第23回消費者取引②訪問販売や通信販売等における問題点、クーリング・オフ制度の特徴(特定商取引法)。クレジット取引における問題点(割賦販売法)。
第24回消費者取引③金融機関による商品の販売と投資者保護に関わる規制について(金融商品取引法・金融商品販売法)。
第25回運送取引と法物品・旅客運送業者の運送依頼人に対する義務と責任にはどのような規制があるか。
第26回施設を利用した取引宿泊施設、映画館、ゴルフ場を営む場屋営業者、倉庫業者の施設利用者等に対する義務と責任。
第27回企業取引の補助者他の商人の活動を補助する商人(代理商、問屋、仲立人)の機能と法的規制にはどのようなものがあるのか。
第28回新しい企業取引システム新しい企業取引システムであるフランチャイズやリースの特徴や法的諸問題について概観する(紛争解決の方法は?)。
第29回理解度の確認16回以降の要点のまとめ
第30回まとめまとめ
授業形式  担当教員の作成したプリントを中心に講義形式で行います。このプリントは、EcoLinkを通じて入手できますので、履修者は毎授業時に必ず当該プリントをご持参ください。また、春学期と秋学期の最終授業時に試験を行います。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 講義態度
(出席)
その他 合計
50% 0% 50% 0% 0% 100%
評価の特記事項  評価方法の「小テスト」ですが、中間試験を行います。したがって、本授業を履修した場合には、必ず中間・定期の両試験を受けてください(就職活動と重なった場合でも、試験を優先してください)。
テキスト  授業は、担当教員の作成したプリントを中心に話しを進めていきます。ただし、2014年版の『ポケット六法』(有斐閣)等は各自で必ず購入しておいてください(判例の掲載された六法は避けてください)。
参考文献  本授業のテーマについて、より詳しく勉強してみたいと考える受講生は、図書館(日本大学法学部図書館の方が望ましい)等にある商法総則・商行為法、手形・小切手法、消費者法等に関する文献を読んでみてください。
オフィスアワー(授業相談)  授業に関する質問等がある場合には、経済学部本館の講師控室までお気軽にどうぞ(ただし、担当教員は木曜日しか来校しません)。
事前学習の内容など,学生へのメッセージ  商法をはじめて勉強する学生を念頭に話しを進めていきますが、商法は民法の特別法ですので、本授業の受講希望者は、民法をすでに履修しているか、あるいは並行履修していることが要求されます。
 なお、本授業を履修した際には、事前に授業内で使用するプリント等をよく読み、予習してきてください。
 中間・定期の両試験ともプリントやノート、参考書等の「持込不可」で行います(レポート等による救済措置は一切ありません)。