講義名 国際経済論 ≪昼夜共通≫
講義開講時期 通年
曜日・時限 火5
単位数 4

担当教員
氏名
井尻 直彦

学習目標(到達目標) 本講義は,受講生が国境を越える経済取引によって発生する諸問題を理解するために必要な基礎的理論を身につけることを目的にします。主なテーマとして国際貿易、海外直接投資およぼ多国籍企業を取り上げ,受講生はこれらの発生要因や経済効果に関して理論的な理解を深め,各国経済の相互依存関係を分析する力を養うことを期待しています。
授業概要(教育目的)  グローバル化の進展のなかで複雑化する各国の相互依存関係を知り,その上で国際的経済取引の重要性の高まりの意義を解説します。
授業計画表
 
項目内容
第1回初回;はじめに


講義全体の概要の説明
統計データを用いて国際経済が長期的にどのような経済発展をとげてきたかを知り、経済の国際化の意義を考察する。
第2回第1クール:大戦後の世界経済体制 大恐慌、第2次世界大戦の経験をふまえ、主要国が成立に努力したブレトンウッズ体制の意義を考察する。
【準備学習】
講義までに参考書でプレトンウッズ体制を学習しておくこと。
第3回第1クール:大戦後の世界経済体制 GATT, WTOの機能と今日のFTAの現状を解説する。
【準備学習】
講義までに参考書でGATT,WTOの機能を学習しておくこと。
第4回第2クール:国際経済取引の基礎理論:リカードモデル国際貿易の基礎理論: リカードモデル1(技術格差)
国際貿易発生のパターンを絶対生産費差(絶対優位説)に基づいて考察し、この考え方の問題点を解説する。
【準備学習】
講義までに参考書で絶対優位を学習しておくこと。
第5回第2クール:国際経済取引の基礎理論:リカードモデル国際貿易の基礎理論: リカードモデル2(技術格差)
国際貿易発生のパターンをリーカードの比較生産費差(比較優位説)に基づいて考察し、国際貿易が経済厚生に与える効果を解説する。
【準備学習】
講義までに参考書でリカードモデル(比較優位説)を学習しておくこと。
第6回第2クール:国際経済取引の基礎理論:ヘクシャー=オリーンモデル 国際貿易の基礎理論:ヘクシャー=オリーンモデル1(要素賦存度と要素集約度)
国際貿易発生のパターンをヘクシャー=オリーンモデルに基づいて考察し、リカードモデルとの違いを解説する。
【準備学習】
講義までに参考書でヘクシャー=オリーンモデルの概要を学習しておくこと。
第7回第2クール:国際経済取引の基礎理論:ヘクシャー=オリーンモデル国際貿易の基礎理論:ヘクシャー=オリーンモデル2
ヘクシャー=オリーンモデルにおける重要なインプリケーションの一つである要素価格均等化を解説する。
【準備学習】
講義までに参考書でヘクシャー=オリーンモデルの要素価格均等化を学習しておくこと。
第8回第2クール:国際経済取引の基礎理論:ヘクシャー=オリーンモデル国際貿易の基礎理論:ヘクシャー=オリーンモデル3
ヘクシャー=オリーンモデルにおけるその他インプリケーションであるリプチンスキー定理とストルパー・サミュエルソン定理を解説する。
【準備学習】
講義までに参考書でリプチンスキー定理とストルパー・サミュエルソン定理を学習しておくこと。
第9回第2クール:国際経済取引の基礎理論:ヘクシャー=オリーンモデル再考国際貿易の基礎理論:レオンティエフ・パラドックス
これまで解説してきたヘクシャー=オリーンモデルが予測する貿易パターンを実証的に否定してレオンティエフの分析結果(レオンティエフ・パラドックス)を検討し、ヘクシャー=オリーンモデルの有効性を再考する。
第10回第3クール:不完全競争下の国際経済取引:クルーグマンモデル 新貿易理論:独占的競争モデルと国際貿易(製品差別化と規模の経済)
これまでの完全競争モデルとは異なり、製品差別化と規模の経済を貿易パターンの決定要因として考慮した不完全競争基づいて、貿易の発生およびその利益に関して解説をする。まずはクルーグマンモデルにおける製品差別化の概念および役割を説明していく。
【準備学習】
講義までに参考書でクルーグマンモデルを学習しておくこと。またミクロ経済学等の教科書で製品差別化の概念を学習しておくこと。
第11回第3クール:不完全競争下の国際経済取引:クルーグマンモデル 新貿易理論:独占的競争モデルと国際貿易(製品差別化と規模の経済)
次に、クルーグマンモデルにおける規模の経済の概念および役割を説明していく。
【準備学習】
講義までに参考書でクルーグマンモデルを学習しておくこと。またミクロ経済学等の教科書で規模の経済の概念を学習しておくこと。
第12回第3クール:不完全競争下の国際経済取引:クルーグマンモデル 新貿易理論:独占的競争モデルと国際貿易(製品差別化と規模の経済)
クルーグマンモデルに基づいて国際貿易の発生が経済厚生に与える影響を解説していく。
【準備学習】
講義までに参考書でクルーグマンモデルを学習しておくこと。
第13回第3クール:不完全競争下の国際経済取引:クルーグマンモデル再考 新貿易理論:独占的競争モデルと国際貿易(製品差別化と規模の経済)
クルーグマンモデルの議論を代替するモデルを紹介し、他のモデルでも同様の結論が得られることを解説する。
【準備学習】
前回までの講義で指定する参考書等で不完全競争貿易モデルを学習しておくこと。
第14回理解度の確認これまでの要点のまとめ
第15回中間のまとめまとめ
第16回第4クール: 海外直接投資と多国籍企業の理解
国際収支統計上の取り扱い
海外直接投資、多国籍企業の定義と実際
データででみる海外直接投資の現状およぼその意義を解説します。まずは国際収支統計上でどのように海外直接投資が取り扱われており、それがこれまでに日本および世界でどのような変化を遂げてきているかを解説します。
【準備学習】
マクロ経済学等の教科書で国際収支統計に関して予習をしておくこと。
第17回第4クール: 海外直接投資と多国籍企業の理解
理論的な考察
海外直接投資の理論:水平的海外直接投資

海外直接投資は主に投資目的によっていつかの形態に分けられています。まずはもっとも一般的な形態と言われている水平的海外直接投資の発生とその経済効果を解説します。
【準備学習】
事前に指定する参考書等で予習しておく事。


第18回第4クール: 海外直接投資と多国籍企業の理解
理論的な考察
海外直接投資の理論:垂直的海外直接投資
次に、先進国と途上国間で一般的な垂直的海外直接投資の発生とその経済効果を解説します。
【準備学習】
事前に指定する参考書等で予習しておく事。
第19回第4クール: 海外直接投資と多国籍企業の理解
理論的な考察
海外直接投資と国際貿易の理論
海外直接投資の発生が国際貿易のパターンに及ぼす影響を国際貿易理論に基づいて解説します。
【準備学習】
事前に指定する参考書等で予習しておく事。
第20回第4クール: 海外直接投資と多国籍企業の理解多国籍企業の理論
ここからは企業の視点からみた企業の海外進出活動を考察します。従来国際経営において扱われていた論点をミクロ経済学により分析を進められ、経済学における多国籍企業理論が確立されてきました。今回はその理論的な系譜を解説します。
【準備学習】
参考書(ヘルプマン著第5,第6章)で予習しておく事。
第21回第4クール: 海外直接投資と多国籍企業の理解多国籍企業の理論
企業が多国籍化する要因をミクロ経済学的視点から解説します。
【準備学習】
参考書(ヘルプマン著第5,第6章)で予習しておく事。
第22回第4クール: 海外直接投資と多国籍企業の理解新「新貿易理論」と多国籍企業の理論
企業の異質性が企業のグローバルな進出戦略に影響を及ぼすという新しい貿易理論を解説します。
【準備学習】
参考書(ヘルプマン著第6章)で予習しておく事。
第23回第5クール: 国際経済取引の実証分析

これから先は、実証的な研究成果を基に、これまで講義で説明した理論モデルがどのように検証されているかを解説します。
レオティエフパラドックス再考
第9回講義で取り扱ったレオンティエフ・パラドックスを新たに実正分析をした研究報告に基づき、本当にパラドックスが生じているのかを解説する。
【準備学習】
事前に指定する参考書等で予習しておく事。
第24回第5クール: 国際経済取引の実証分析
国際経済取引の障壁:国境効果、非関税障壁
GATT・WTOの長年の取り組みによって主要国の関税率が大幅に低下し、関税障壁が小さくなってきたと考えられるが、貿易障壁としての非関税障壁がどの程度存在しているのかを解説する。
【準備学習】
事前に指定する参考書等で予習しておく事。
第25回第5クール: 国際経済取引の実証分析
WTO/TBT協定と国際貿易促進効果
非関税障壁の一要因である技術的貿易障壁に関する協定が1995年に成立した。この協定が非関税障壁削減にどの程度寄与したかを実証分s系結果を踏まえて解説する。
【準備学習】
事前に指定する参考書等で予習しておく事。
第26回第5クール: 国際経済取引の実証分析
FTAの国際貿易促進効果
世界各国で活発に結ばれてきた二国間、地域間自由貿易協定の現状とその経済効果を実証分析結果を踏まえて解説する。
【準備学習】
事前に指定する参考書等で予習しておく事。
第27回第5クール: 国際経済取引の実証分析
海外直接投資の国際的な立地パターン
主に先進国から海外直接投資が発生して来たが、その直接投資の立地パターンを実証的に概観する。
【準備学習】
事前に指定する参考書等で予習しておく事。
第28回第5クール: 国際経済取引の実証分析
海外直接投資の地域的な立地パターン
海外直接投資の特定地域(例えばアジア地域)内における立地パターンを実証的に概観する。
【準備学習】
事前に指定する参考書等で予習しておく事。
第29回理解度の確認16回以降の要点のまとめ
第30回まとめまとめ
授業形式 講義形式により講義を進めていきます。毎回,授業の最後に質問を受ける時間をとる予定にしていますので,積極的に質問をするようにしてください。できるかぎり各講義テーマを90分で完結できるように講義します。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 講義態度
(出席)
その他 合計
50% 0% 40% 10% 0% 100%
テキスト 教科書を指定しないが、以下にあげる参考文献を適宜利用すること。
また関連する論文を講義で適宜指示します。
参考文献 1.若杉隆平著『国際経済学(第3版)』岩波書店,2730円.
2.ケイブス,フランケル,ジョーンズ著『国際経済学入門①国際貿易編』日本経済新聞社,3780円.
3.浦田秀次郎『国際経済学入門』日経文庫,903円.
4.ヘルプマン著『グローバル貿易の針路をよむ』文眞堂,2730円
オフィスアワー(授業相談) 水曜2時限目
必ずメール等で事前に予約をとること
事前学習の内容など,学生へのメッセージ 講義は,ただ聞いているだけでは退屈です。ですから,積極的に質問をするようにしてください。講義に「出席する」というのではなく,「参加する」という意識,姿勢を期待しています。ただし、私語は慎んでください。