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学習目標(到達目標) |
このところずつとアベノミツクスと云ふ言葉がテレビや新聞を賑はし續けてゐる。その中身はと云へば、かなりの部分が日銀に遮二無二政府の云ふことをきかせるー具體的には物價が年率2%上昇し、雇傭や賃金が目に見えて増加するまで無制限に金融を緩和させるーといふことで占められてゐるやうである。政府が日銀の尻を叩けば、デフレ脱却や雇用・賃金の増加などが實現するものなのか。政府は中央銀行の政策に干渉してよいのか。本講義はかうした問題への手がかりとなる分析道具を提供する。學生諸君は、個々の事實を丸暗記するのではなく、これらの道具を使つて自分の頭で考へる習慣をつけて貰ひたい。 |
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授業概要(教育目的) |
金融論は大別すると、①マネーや金利などが生産、雇傭、物價などにどういふ影響を及すかーひらたく云へば金融政策は景氣や物價のコントロールにいかなる效果があるのかーを分析するマクロ金融政策論と、②銀行預金はなぜ存在するのか、銀行破綻のメカニズムは何かなどを檢討する金融システム論の二つに分れる。本講義は時間の制約なども考慮し、①のマクロ金融政策中心の金融論を扱ふ。ここでマクロ金融政策といふのは個々の企業、産業を越えて經濟全體を考へるといふ意味であつて、マクロ經濟學のみを利用するといふ意味ではない。金融論を考へるにあたり、學生諸君にマクロ・ミクロ兩經濟學を自由に使へるやうになつて貰ふことを目的としたい。 |
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授業計画表 |
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回 | 項目 | 内容 |
第1回 | ガイダンス | 本講義の狙ひ(モデル的思考方法の習得)、本講義受講に當つての效果的な學習方法、ホームページの説明、成績評價の仕方、出席に關する注意事項などについて説明。本講義に占めるカレントトピツクスの役割についても言及。なほ、ホームページを有效に活用する上で必要となるパスワードも開示。本講義を履修する塲合、このガイダンスを必ず聴くこと。 | 第2回 | 自國マネーと外國マネーの關係(爲替レートの決定メカニズム) | 過去における円ドルレートの足取り、外國爲替に關する初等的事柄の説明 | 第3回 | 同上 | Uncovered interest rate parity (UIP)の説明 | 第4回 | 同上 | 同上 | 第5回 | 國内マネーマーケツト金利の決定メカニズム | 日本のマネーマーケツトについての制度論的説明 | 第6回 | 同上 | 中央銀行當座預金、コール市塲、債券の價格(price)と利回り(yield)の關係 | 第7回 | 同上 | 同上 | 第8回 | 同上 | マネー需要の説明 | 第9回 | 同上 | マネー供給の説明 | 第10回 | 同上 | 日銀買ひオペ等のマーケツト・オペレーシヨンの説明 | 第11回 | 同上 | いはゆる「貨幣乘數假説」の批判的檢討 | 第12回 | 金融政策運営の實際 | 日銀の金融政策の意思決定過程の説明、金融政策變更や景氣變動のマネーマーケツトに及す影響などについて、これまでに學んだことを應用しつつ分析 | 第13回 | 量的緩和政策について | 量的緩和政策とは何か、それの孕(はら)む問題點等について説明 | 第14回 | 理解度の確認 | これまでの要點のまとめ | 第15回 | 中間のまとめ | まとめ |
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授業形式 |
當日の講義内容の槪要をスクリーンに映し出し、それに基づいて口頭で説明を行ふ。黒板への板書は補足的なものに止める。講義は、上記授業計畫に示したいはゆる講義properを主とすることは勿論であるが、それだけだとモデルの組立てや(中學・高校數學のレベルとは云へ)數式の展開などもあり神經が疲れるであらう。そこで每回ではないにせよ、適宜カレントトピツクスの平易な解説も交へるなどして、氣分轉換につとめるとともに、講義と現實の問題との橋渡しを行ふ。 |
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評価方法 |
定期試験
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レポート
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小テスト
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講義態度
(出席)
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その他
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合計
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95% |
0% |
0% |
5% |
0% |
100% |
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評価の特記事項 |
前期、後期の各最終授業時に試驗を實施(各50%のウエート)。それに所定の成績を修めれば文句なく合格。適宜出席も勘案。評價方法の數字はごく便宜的なものと考へること。 |
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テキスト |
中島善太(2012)『金融政策とオープンマクロ經濟學』第6刷 東洋經濟新報社 |
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参考文献 |
日銀ホームページ http://www.boj.or.jp このホームページに馴れ親しめば、この講義に關する限り、上記テキスト以外の文獻を一切讀む必要はない。 |
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オフィスアワー(授業相談) |
事前(土曜日の授業終了後)にアポイントメントを取ること(日時、塲所はアポ申込み時に適宜申し渡す) |
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事前学習の内容など,学生へのメッセージ |
ジヤーナリステイツクな、塲當(ばあた)り的な知識ではなく、きちんと經濟學に立脚した金融論を第一歩から身につけたいと思つてゐる受講生が報はれるやうな講義を行ふ心算(つもり)。その意味で最初のガイダンスは是非聽講して欲しい。また、講義に皆出席ないしそれに準ずるやうな出席が難しい人には前期末、後期末の試驗が手強(てごわ)く感じられるかもしれない。 |
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授業用URL |
http://www.eco.nihon-u.ac.jp/~nakajima |