講義名 地方財政論 ≪昼夜共通≫
講義開講時期 通年
曜日・時限 火5
単位数 4

担当教員
氏名
沼尾 波子

学習目標(到達目標)  この講義では,地方財政の理論や制度,ならびにその運営実態について取りあげる.自分たちの暮らしに身近な地方自治体の財政に関する知識を習得し,地方財政とそれを取り巻くさまざまな問題について,自分自身で考えることができるようになることが目標である.

授業概要(教育目的)  この講義で取り上げるのは,都道府県や市町村などの地方自治体の財政である.地方財政の特質を踏まえつつ,地方予算,地方経費,地方収入(地方税・国庫支出金・地方交付税),地方債などの制度と運営実態について考察するとともに,戦後日本の自治体を取り巻く経済・財政の変化と運営実態について取り上げる.

授業計画表
 
項目内容
第1回イントロダクション講義の進め方について説明を行う。また地方財政論で取り上げる事柄について,国家財政や地域経済との関係から解説を行う。
第2回国と地方の役割分担国と地方の役割分担論について,諸外国の地方制度を紹介しながら解説を行う。
第3回地方公共財の理論地方公共財の理論を学ぶ。
第4回国と地方の財政関係(1)国と地方の財政関係について役割分担との関係から整理する。
第5回国と地方の財政関係(2)日本における国と地方の財政関係について学ぶ。具体的には地方財政計画や地方財政対策を紹介する。
第6回地方自治体の予算制度自治体の予算編成過程について学ぶ。
第7回地方自治体の歳出地方の歳出構造について学ぶ。
第8回補助金制度補助金の理論、歴史、制度について学ぶ。
第9回財政調整制度財政調整制度の理論、歴史、制度について学ぶ。
第10回地方税原則地方税原則について学ぶ。
第11回地方税の現状と課題日本の地方税の現状と課題について学ぶ。
第12回自治体の独自課税地方自治体の独自課税の動向について学ぶ。
第13回地方債地方債の理論、歴史、制度について学ぶ。
第14回地方財政の悪化と財政健全化日本の地方財政の悪化の実態と,財政健全化に向けた取り組みについて学ぶ
第15回前期のまとめ前期のまとめを行う。
第16回戦後日本の財政運営と自治体(1)戦後日本の財政運営について,国と地方の間の政府間関係の変容を踏まえて概観する。
第17回戦後日本の財政運営と自治体(2)1980年代後半以降の国と地方の財政関係の変容について学ぶ。
第18回市町村合併と地方財政市町村合併の動向と,それが地方財政の運営に与えた影響について学ぶ。
第19回大都市自治体の財政大都市自治体の財政の特質と,その運営実態について学ぶ。
第20回過疎地域の財政過疎地域の財政の特質と,その運営実態について学ぶ。
第21回生活保護制度と地方財政日本の生活保護制度が自治体の行財政運営に与えた影響について学ぶ。
第22回国民健康保険制度と地方財政国民健康保険制度の運営実態と,自治体財政への影響について学ぶ。
第23回介護保険制度と地方財政介護保険制度の運営実態と,自治体財政への影響について学ぶ。
第24回公共事業と地方財政公共事業の推進が地方財政に与えた影響について学ぶ。
第25回地方公営企業と第三セクター地方公営企業や第三セクターの動向と,自治体財政への影響について学ぶ。
第26回諸外国の地方財政制度(1)欧米諸国の地方財政制度について学ぶ。
第27回諸外国の地方財政制度(2)中国や韓国など東アジア諸国の地方財政制度について学ぶ。
第28回行政改革と自治体財政のこれから近年の行政改革の動向と,地方財政への影響について考える。
第29回「参加型財政」の模索とローカル・ガバナンス地域独自の財政運営を住民参加型で実践する事例を取り上げながら、これからの地方財政のあり方について考える。
第30回後期のまとめ後期のまとめを行う。
授業形式 配布資料を用いて,各回のテーマに沿って解説を行う.講義の終了時に,簡単な課題の提出を求めることがある.
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 講義態度
(出席)
その他 合計
65% 15% 0% 15% 5% 100%
評価の特記事項 回答の記載されたリアクションペーパーの提出をもって出席とみなす.ただ座っているだけでは出席したものとはみなさないので注意されたい.
テキスト テキストは使用せず,授業中に配布する資料を用いて講義を行う.
参考文献 林健久編『地方財政読本(第5版)』東洋経済新報社,2003年,2600円+税.
小西砂千夫『基本から学ぶ地方財政』学陽書房,2009年,2600円+税.
平谷英明『一番やさしい地方自治の本(第1次改訂版)』学陽書房,2012年,1900円+税.
オフィスアワー(授業相談) 火曜日15時~16時。事前に連絡をとること.
事前学習の内容など,学生へのメッセージ  自分の暮らしに密接にかかわる都道府県や市町村の行政サービスや,その費用負担のあり方について,主体的に考える機会としてほしい.
 講義の進め方や課題提出のマナーについて初回の授業で説明を行うので、受講を希望する者は,必ず出席すること.