講義名 産業組織論Ⅰ ≪大学院≫
講義開講時期 前期
曜日・時限 木3
単位数 2

担当教員
氏名
三宅 忠和

学習目標(到達目標) 「産業組織論」とは、どのような学問であるかを理解することを目標とする。産業組織のあり方が実際の産業社会の中で、どのような役割を果たしているか、現代の産業・市場の状況を分析していくとともに、市場は自由競争であるべきか、産業政策などによる規制は必要か、などについても考える。企業は生き残りのための合併,技術革新などによって、産業再編成も進展している。こうした問題を産業組織論がどのようにして形成され発展してきたかを学ぶことを通じて、現代の市場・産業のあり方を考え、ひいては現代資本主義経済社会について理解を深めることができる。
授業概要(教育目的) 市場経済は自由な競争によって資源が効率的に配分されることを特徴とするが、経済が発展するにつれ競争の過程で大企業が市場を支配し独占的・寡占的市場が形成される。すなわち、市場において、例えば自動車産業や携帯電話産業など少数の企業が多くのシェアを占めるため、市場の資源配分の機能を阻害し、健全な経済社会を形成しない状況が出現する。「産業組織論Ⅰ」においては、こうした問題を産業組織論の成立過程から掘り起こして、日本の産業・企業とも関連させながら、産業組織論の役割と市場のあり方について述べる。
授業計画表
 
項目内容
第1回現代経済社会の特徴と産業組織   市場経済における産業の重要性と産業組織の意味するもの
第2回産業組織論の概要、


産業組織論とは何か 産業組織論の研究対象,課題,基本性格など
第3回
産業組織論の概要
理論と実証研究について 産業組織論の分析方法・枠組み及び特徴、市場構造、市場行市場行動、市場成果とその相互関連について
第4回産業構造と産業組織 産業構造と産業組織の概念、その相互関連
第5回産業構造の変化と産業組織の変化 経済発展と産業構造の変化及び産業組織の変化、
第6回市場の競争メカニズムと国家の産業政策 市場の原理(市場経済システム)か政策(経済計画)か、
第7回産業組織論はどのようにして形成されたか 産業組織論の源泉と考え方を、その形成過程の諸理論と歴史的実態を関連させて論じる。
第8回産業組織論はどのように発展してきたか 伝統的理論体系の確立か、
イギリス的産業組織論とアメリカ的産業組織論の新しい展開
第9回規制と規制緩和の考え方 ハーバード学派とシカゴ学派の争いと基本理念の違い
第10回市場構造の諸問題、
市場構造が産業組織の成果に関係する。企業のシェア争いと市場支配力
第11回市場構造の形成要因、
経済力集中、企業集団と財閥、市場集中の諸問題 市場集中の意味するもの。
第12回市場集中の決定要因と規模の経済 シェア争いは激烈だ、市場における競争と独占
第13回市場集中の測定と実態 、 市場集中について,測定方法とハーフィンダール指数、市場支配力の要因、
第14回市場集中の測定方法と戦後日本の市場寡占化の実態
産業別集中度をみる
第15回産業組織論における市場構造の位置づけ、市場行動、市場成果の分析の特徴前期のまとめと「産業組織論Ⅱ」への案内
授業形式 少人数の特長を生かして院生の産業組織に関する興味や学習レベルに応じて、授業の形式を考えたい。
 また、理論的な問題と産業の具体的な事例を取り合わせながら講義を進める予定である。可能な限り新しいデータや講義内容についての補助用のプリントを配布して理解を深めるようにしたい。上に述べたような問題に関して産業組織論の研究の現在の到達点を示しながら、皆さんが興味を持つ産業の組織に関連する課題をどのように分析するか、情報と方法論を提供しながら理論的・実証的分析と政策的含意について皆さんと一緒に考えたい。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 講義態度
(出席)
その他 合計
0% 60% 0% 30% 10% 100%
テキスト 三宅忠和著『産業組織論の形成』桜井書店,2010年

参考文献 新庄 浩二 編『現代産業組織論』[新版]有斐閣ブックス,2003年
オフィスアワー(授業相談) 授業時間の前後、あるいは、メールにてアポイントを
事前学習の内容など,学生へのメッセージ 新聞等を読み、市場経済と現代産業の在り方興味を持つこと