講義名 ベンチャービジネス論Ⅱ ≪大学院≫
講義開講時期 後期
曜日・時限 木6
単位数 2

担当教員
氏名
池田 光男

学習目標(到達目標) まずべンチャー企業の成長ステージごとの資金需要と資金調達を関連付けることにより、多くの知識が修得できる。次いで、資金調達については公的金融機関、民間金融機関、リスクキャピタルなどを多角的に解説するので、実際に創業する際に活用できる。さらに、ベンチャー企業にとって実務でも混乱が起きがちな資金繰りについて、論理的、実践的の両側面からの解説により、実務での活用レベルにまで近づけることができる。
授業概要(教育目的) 本講義では、ベンチャー企業の財務戦略を主体に解説する。内容は論理的な面に加え、実務で活用できるように配慮した。特にベンチャーの創業期においては、資金調達が困難であり、また資金繰りも容易でない企業が多いので、創業時の資金調達や資金の運用に重点を置く説明とした。
授業計画表
 
項目内容
第1回事業計画と創業に関する資金計画との関連創業に必要な資金とその資金をいかに調達するかを演習により理解し、実務に応用できるようにする。
・自己資金(法人なら資本金)の重要性を解説する。
【演習】バーチャルの創業計画書に基づき、必要資金と調達方法を記入し、必要資金の確保が可能か検討する。
第2回べンチャー企業の成長ステージごとの資金需要と資金調達べンチャー企業の成長段階5ステージごとの資金需要と資金調達の方法について解説する。
・成長ステージとは下記を指す。
創業準備段階→創業期→成長初期→急成長期→安定成長期
第3回資金調達戦略の策定と資金供給源の評価各ステージ別に資金調達戦略の策定が、資金需要の内容に適合しているか、一方資金供給源は返済などの条件に無理がないかなどの評価方法を解説する。
・ベンチャー企業の資金調達方法の解説
間接金融-金融機関、自治体の制度融資など
直接金融-ベンチャーキャピタル、エンジェルなど
第4回ベンチャー企業の各ステージに共通した最重要課題の検討共通した最重要課題である今後の資金需要予測について解説し、実務で活用できるようにする。
・予想資金繰り表の作成方法を習得する。
・短期的な資金不足と資金手当ての方法を学ぶ。
第5回金融機関との関係構築と管理ベンチャー企業の金融機関との接触方法について具体的な手段を説明する。
・金融機関との良好な関係構築面で留意すべき点
・金融機関側が゙知りたい情報の提供とは何か
・預金・融資などの取引だけでなく、付加価値を提供してくれる金融機関の選択方法
第6回金融機関の与信金融機関の与信について理解を深める。
・金融機関の与信の基本的な条件
・与信の定義と前提
・貸し手に存在する情報の非対称性
・直ぐに間に合わない借り入れへの対応方法
・創造性を理解させるためにはプレゼンテーションが
必要
第7回シードおよびスタートアップ期の金融機関からの資金調達方法開業率の低下に伴い、政府では日本政策金融公庫の窓口を通じて、創業者向け融資に積極的に取り組んでいる。同公庫の創業支援のための融資制度を解説する。
・新規開業資金
・女性・若者・シニア起業家資金
第8回ビジネス・エンジェルシードおよびスタートアップ期の資金調達方法の一手段であるビジネス・エンジェルによる投資を解説する。
・投資と融資の違い
・ビジネス・エンジェルの正体と出会い
・ビジネス・エンジェルのタイプ
・わが国のビジネス・エンジェルの現状
第9回ベンチャーキャピタルの投資戦略投資先の企業価値を高めることを目的に、投資を行うベンチャーキャピタルについて解説する。
・ベンチャーキャピタルの概要
・ベンチャーキャピタルの投資先の候補となる条件
・ベンチャーキャピタルの投資の回収方法
・わが国のベンチャーキャピタルの現状
第10回飛躍を果たすための資金確保に最適の新規株式公開(IPO)安定成長期を過ぎ、さらに飛躍する場合の株式公開について解説する。
・新規株式公開とは何か
・新規株式公開のメリット、デメリット
【事例研究】株式公開で得た資金で工場を拡張し、生産 能力増強の工場製ねぎとろメーカー
第11回ベンチャー企業の資金繰り資金繰りは企業の生命線であるガ、円滑な資金繰りについて基本から学ぶ。
・資金繰りの基本的な考え方
・資金繰りの実務を円滑に行う手法
・ベンチャー企業の資金繰りの特性
第12回資金繰り表の作成(短期的視点)ベンチャー企業の目先の資金不足を十分にチェックするための資金繰り表について説明し、実例を用いて資金繰り表を作成する。
・短期的な資金繰り表の作成による資金過不足の測定
第13回貸借対照表から資金繰りを判定する方法(長期的視点)貸借対照表を用いて簡単に資金繰りが判定できる方法を解説し、実務に応用できるようにする。
・資金繰り面から見る貸借対照表の借方と貸方の意味
・貸借対照表の構図から資金繰りの良否を判定する方法
・正味運転資本の論理と実務面への応用
・創業期には比率分析よりも実数分析が効果的
第14回企業間信用の取引条件と資金繰り資金繰りに齟齬を来す要因である回収・支払条件について解説する。
・受取債権・支払債務の説明
・取引条件と回転期間との関連性
・経常運転資金の説明
第15回まとめ要点のまとめ
授業形式 講義形式による。場合に応じて、討議を行う。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 講義態度
(出席)
その他 合計
0% 0% 0% 70% 30% 100%
評価の特記事項 出席数を重んじる。その他として、授業中の理解度や小論文を評価に含める。
テキスト 使用しない。授業時間ごとにプリントを配布する。
参考文献 VBS研究会編『ベンチャー成功の資金づくり』日本評論社,1800円.
広島中央監査法人・広島事務所編『ベンチャー企業の資金繰り実務』中央経済社,3600円.
ジェフリー・ティモンズ著,千本倖生・金井信次訳『ベンチャー創造の理論と実際』ダイヤモンド社,7800円.
オフィスアワー(授業相談) 起業、資金調達、資金繰りなどの相談に応じます。特に古巣の日本政策金融公庫(旧国民生活金融公庫)の創業支援策については、資料などを取り寄せることができます。相談は授業終了後のほかE-mailでも結構です。アドレスは次のとおりです。mtoikeda@nifty.com
事前学習の内容など,学生へのメッセージ 新聞、経済雑誌などで、ベンチャービジネスについて関心をもって読むようにしてください。