講義名 金融論AⅠ ≪大学院≫
講義開講時期 前期
曜日・時限 金5
単位数 2

担当教員
氏名
中島 善太

学習目標(到達目標) 本講義は金融論のうちマクロ金融政策論(monetary policy analysis)の分野について、受講生が今後の研究テーマを設定し、それに即して獨力でリサーチを行つていくに必要な基礎知識を習得することを目標とする。前提として受講生は微分(特にLagrange 乘數による最適化)及び積分、線型代數, 統計学に關する入門的知識を持つてゐるものとする。マクロ・ミクロ經濟學に關する學部程度の知識も當然不可缺。なほ、金融論AI と金融論AII はセツトで組立てられてゐるため、どちらか一方の聽講は金融論として全く意味をなさず、受講者は兩方を履習することが必須要件となる。
授業概要(教育目的) 現代のマクロ的金融政策論は dynamic stochastic general equilibrium (DSGE) モデルを基本的プラツトフオームとして構築されてゐる。金融論AIでは、まづこのDSGE モデルのもとになつてゐる Solow-Ramsey モデルについて平易、かつ嚴密な解説を行ふ。ここでは實物セクターのみが取上げられ、マネーは話題にもならない。金融論AII では、金融論AI で習得したDSGE モデルにマネーを導入して種々のマネタリー分析を行ふ。要するに、受講者はAI、AII の兩方をセツトとして履習しないと完結した金融論を學べない構成になつてゐる。
授業計画表
 
項目内容
第1回金融政策論(monetary policy analysis)のプラツトフオームとしてのDSGEモデルへのイントロダクシヨンガイダンス並びに現代マクロ經濟學とDSGEモデルの槪要説明
第2回同上Lucas' critique とマクロ經濟學のミクロ的基礎附けに關する解説
第3回合理的豫想(期待)について合理的豫想モデルの解き方の解説(初歩的入門)
第4回Solow-Ramsey or Real Business Cycle (RBC) モデルの分析的枠組Representative agent 經濟モデルの解説
第5回同上Competitive equilibrium 經濟モデルの解説
第6回Hansen タイプの RBC モデルHansen's basic RBC model の解説
第7回同上Hansen's basic RBC model を修正した Hansen's indivisible-labour model の解説 ⇨ このモデルこそが今後の本講義における分析の基本型となる
第8回同上Hansen's indivisible-labour model の更なる説明
第9回Matlab 演習Matlab による一般的 DSGE モデルや Hanssen タイプのモデル (basic model 及び indivisible-labour model) のシミユレーシヨン計算の練習。ここに Matlab とは計算ソフトウエアのことであるが、經濟學で動學的體系の解を求める塲合に多用される。受講生はこれを入手することが必須。
第10回同上同上
第11回同上同上
第12回同上同上
第13回同上同上
第14回理解度の確認要點のまとめ
第15回まとめまとめ
授業形式 講義は要點をスクリーン上に映し出し、それについて口頭で説明を加へる。全體として(初等的ではあるが)數式の展開とその經濟學的解釈が講義の大部分を占める。下記の私の website に講義で用ゐる material の全貌が出てゐるので、事前にダウンロードしておいて、講義中それに必要事項を適宜メモしていけば、效率的な聽講が可能とならう。學期の後半は Matlab の使ひ方にかなりの時間を割く豫定。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 講義態度
(出席)
その他 合計
0% 80% 0% 20% 0% 100%
評価の特記事項 上述のやうな内容であるから、講義に出席しないとレポートは書けないであらう。その意味で講義皆出席が合格の必須條件となる。評價方法のパーセンテージはごく便宜的なものと理解されたい。
テキスト 特になし。しいて云へば、下記の私の website がそれに相當する。
参考文献 (1) McCandless, George (2008), The ABCs of RBCs, Havard University Press
(2) Walsh, Carl E (2010), Monetary Theory and Policy, Third edition, MIT Press
オフィスアワー(授業相談) 金曜日の講義終了後にアポイントメントを取ることが必須。日時、塲所はそのときに指定。
事前学習の内容など,学生へのメッセージ 受講生の人數が極く少數に止まると講義形式は非能率なことが多いので、その塲合は、上記參考文獻(1)をテキストとして輪讀する形式に切替へる。その場合でも、受講生に前提として要求される數學的、經濟學的、統計学的知識は冒頭述べたことと少しも變らないことに留意されたい。また、Matlab の入手も必須である(学生用の比較的廉價な版が Amazon.co.jp から入手可能)。いづれにせよ、AI、AII の兩方を履習しないと金融論を學んだことにならないことに呉々も留意すること。
授業用URL http://www.eco.nihon-u.ac.jp/~nakajima