講義名 特殊講義Ⅰ(会計実務) ≪大学院≫
講義開講時期 前期
曜日・時限 水6
単位数 2

担当教員
氏名
小澤 元秀

学習目標(到達目標) (到達目標) 
本講義は、会計基準の国際化の意味を正しく理解することを目的とする。

(学習目標)
企業の経済活動の国際化、証券市場の国際的連携・統合が進む現在、投資家からは標準的な会計ルールのニーズが高まっている。
日本の会計実務は、IFRSの導入によりどのように変貌するのか、それは企業経営にいかなる影響を及ぼすのかを検討することを通じて、会計基準の国際化の意味を正しく理解することを学習(到達)目標としている。

 
授業概要(教育目的) (教育目的)
変貌する会計基準を形式的に学習するのではなく、まず現在の会計実務における問題点を分析・理解することを通じて、今後のあるべき会計の方向を模索する。そして新たな会計基準が現在の会計問題にどのような解決を与えるのかを検討すること、さらに会計理論、会計基準、会計実務の関係を総合的に理解することを目的とする。

(授業概要)
授業では、大手監査法人のパートナーとしての講師の監査経験から得た会計の現場で生じているホットな問題を具体的に解説することを通じて、会計実務における現状を深く理解することから始め,今後のあるべき姿を検討する。
授業計画表
 
項目内容
第1回講義内容のガイダンス
本講義の目的や講義の進め方についてのオリエンテーション。
また、日本の会計実務はIFRSの導入によりどのように変貌するのか、それは企業経営にいかなる影響を及ぼすのかを検討することを通じて、会計基準の国際化の意味を正しく理解する。
第2回概念フレームワーク我が国とIFRSにおける概念フレームワークの意義を理解するとともに、概念フレームワークが会計基準の設定とどのような関係にあるかを考察する。
第3回財務諸表
日本の財務諸表の体系と、財政状態計算書、包括利益計算書、 持分変動計算書、キャッシュ・フロー計算書、 重要な会計方針の要約から構成されるIFRSの財務諸表の体系を比較し理解する。
第4回収益認識IAS第18号「収益」のさらなる検討、その改訂作業として公表されている「討議資料」を学習する。
第5回棚卸資産棚卸資産に関する会計基準として、IAS2号「棚卸資産」と我が国の企業会計基準第9号「棚卸資産の評価に関する会計基準」を比較検討する。
第6回有形固定資産有形固定資産に関して、特に影響が大きいと想定される減価償却費計算を中心に、IFRSが適用された場合の会計・税務(法人税確定申告書)への影響及び検討課題について考察する。
第7回無形固定資産
コンピュータのソフトウェア、特許、 著作権、 映画フィルム、 顧客名簿などの無形固定資産について、IAS38号の内容を理解する。
第8回資産の減損
IAS36号は資産が減損している可能性を示す兆候がある場合に減損テストを要求しているが、有形固定資産および無形固定資産の減損会計に関するIFRSの取り扱いを取り上げる。
第9回金融商品金融商品の分類・測定を中心に、IAS32、IAS39、および改訂されたIFRS9等について理解する。
あわせて我が国における実務における影響も検討する。
第10回退職給付
我が国の退職給付会計基準と比較すると、IAS19号「従業員給付」の対象である有給休暇等の短期従業員給付、 長期勤続休暇のような長期従業員給付、解雇一時金などの解雇給付、および退職後給付について検討する。
第11回法人税
IAS12号「法人所得税」における当期税金負債および繰延税金資産・負債の会計処理を検討する。
第12回リースIAS17号「リース」の考え方、及び実務に適用された場合の会計処理および課題を検討するとともに、進行中の同基準の改訂について検討する。
第13回引当金及び偶発債務偶発事象及び引当金の会計処理を包括的に取扱ったIAS37号「引当金,偶発負債及び偶発資産」について学習する。
また、企業会計原則注18における引当金の考え方とIAS37の考え方の差異も検討する。
第14回企業結合
企業結合会計の概要、取得法を理解するとともに、改訂IAS27号の内容についても検討するとともに、我が国の企業結合会計基準と比較もする。
第15回まとめ講義全体の総括として、我が国の会計基準と実務の有様を整理し、現在の我が国の会計実務(税務を含む)が国際財務報告基準(IFRS)の導入によりどのように変貌しようとしているかについて総括的な理解を確認するととともに、今後の各自の研究課題を明らかにする。今後の検討課題を明確化する。
授業形式 講師が作成するレジュメ(パワーポイント)を使用して,各章ごとの個別テーマを各回一ずつ深く掘り下げて研究する。事前にテーマが知らされるので,予習することにより講義では講師に対して疑問点を質問することができる。

毎回理解を確認するためのミニテストとその解説を行うとともに、期末には小論文(レポート)を作成して学習成果を確認する。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 講義態度
(出席)
その他 合計
0% 30% 30% 40% 0% 100%
評価の特記事項 理解を確認するためミニテスト、小論文(レポート)と講義における積極的な参加の姿勢を中心に評価を行う。
テキスト 特に定めない。
毎回講師がレジュメを配布する。
参考文献 『ゼミナール現代会計入門 第9版』伊藤邦男著 日本経済新聞出版社
オフィスアワー(授業相談) 原則 平日10時から18時(メールによる相談は随時)
事前学習の内容など,学生へのメッセージ 今、会計の現場は非常なスピードで変化しています。
日本の会計実務の基礎となる会計基準が大きく変貌しようとしているからです。

IFRS(日本版IFRS)が導入されるのは数年先ですが、今その流れを先取りして国際化する日本の会計基準の基本を学習・研究したい学生を対象に、会計監査の現場で問題となっている実務の状況を例に講義をすることで、臨場感を持たせたいと思います。

今後の我が国の会計の方向に興味のある方は、是非気楽に受講してください。