講義名 基礎統計 ≪□第一部≫
講義開講時期 通年
曜日・時限 火2
単位数 4

担当教員
氏名
大澤 秀雄

学習目標(到達目標) 統計調査を行う目的に対し収集データから信頼度高く,母集団に対する情報を得るための基本的な考え方を理解するために,本講では次の項目ついて達成することを目標とする。
1. 統計調査の目的が母集団の情報を得ることにあることを理解し説明できる。
2. そのための正しい統計処理を選択し,実行できる。
3. 統計処理の結果から母集団に対する信頼度高い推測法を理解し説明できる。
4. 母集団に対する推定および検定の基本的な考え方を理解し説明できる。
5. 基本的な統計分析の概念を理解し,さらに高度な分析法への足掛かりとすることができる。
授業概要(教育目的) 主たる大学の経済・経営系の学部では統計学が低学年のうちに学ぶべき専門科目として必須となっている。それだけ,現在の経済・経営分析には統計分析が必需とされている状況を鑑みこの講義では,基礎統計の根幹をなす母集団に対する推測への信頼度を如何に捉えられるかを理解させることを主眼とする。同時に,統計調査の目的に応じ必要な基本的統計手法を見極め,次年度以降に専門・教養ゼミでの研究に対応できる分析力につなげることを目的とする。
授業計画表
 
項目内容
第1回基礎統計で学ぶ内容と意義基礎統計における基本的な考え方を解説する。また,本講義に対するガイダンスを行う。
 [準備学習] 統計に対して持っているイメージをまとめておくこと。
第2回統計資料 -- データの整理 統計調査の目的を解説し,そのために収集されたデータの処理法を概説する。
[講義項目] 母集団/統計データの処理/度数分布の特徴
 [準備学習] レジュメのデータの整理を考えておくこと。
第3回統計資料 -- 基本統計値収集されたデータ系列から必要な統計指標の求め方とその意義を概説する。
[講義項目] 量的データの特性/中心的位置を表す指標/バラツキの様相を表す指標
[準備学習] レジュメのデータの基本的な統計値を計算しておくこと。
第4回統計資料 -- 分布の特性データ系列の特性を見極める統計手法を概説する。
[講義項目] データのバラツキを視覚化/度数分布表の統計値
[準備学習] レジュメのデータに対して,前回学習した統計値をすべて計算しておくこと。
第5回統計変量 -- 確率分布データ処理された結果から母集団の統計情報を正しくとらえる基本的な考え方を概説する。
[講義項目] 母集団分布の理論的扱い/変量と確率分布/離散変量と連続変量 
[準備学習] レジュメのデータに対して,度数分布を把握し説明できるようにしておくこと。
第6回統計変量 -- 正規分布統計学上最も重要な正規分布をグラフ利用により概説する。
[講義項目] 平均と分散(標準偏差)の役割/正規分布の確率計算  
[準備学習] レジュメのデータの度数分布をグラフ化して確率を表現できるようにしておくこと。
第7回統計資料と変量のまとめ前期前半の内容をレジュメ演習を題材として概説する。
[講義項目] 6 回目までのまとめ 
[準備学習] レジュメ演習の解答をすべて作成しておくこと。
第8回まとめ 1(第1回試験)前期前半内容の確認と復習を兼ねて試験を実施する。 
 [準備学習] 予め配布する準備表のデータを統計処理し,前期前半の内容をまとめておくこと。
第9回母集団と標本 -- 推定量母集団推測のための基本的な考え方を概説する。
 [講義項目] 推定の方法/母集団の平均と分散を推定/標本平均の確率分布 
 [準備学習] レジュメのデータに対して,基本統計値を計算しておくこと。
第10回母集団と標本 -- 信頼度母集団の平均を信頼度を付して推定する考え方を概説する。
[講義項目] 変量和の分布/母集団の種類/母平均推定の精度(信頼度)/中心極限定理 
[準備学習] レジュメのデータに対して,母平均および母分散の推定値を計算しておくこと。
第11回推定と検定 -- 母平均の推定(1)母集団の代表的な特性量である母平均の区間推定法を概説する。
[講義項目] 母分散既知の場合の母平均の推定/正規分布による信頼度/標本数の決定 
 [準備学習] 正規分布のグラフとその形状の意味合いを確認しておくこと。
第12回推定と検定 -- 母平均の推定(2) t 分布による母平均の推定と仮説検定法の考え方を概説する。
[講義項目] 母分散未知の場合の推定/t 分布による信頼度/仮説検定の考え方 
[準備学習] 標本平均の確率分布について十分に理解しておくこと。
第13回推定と検定 -- 母平均の検定 母平均の検定法についての 3 つのタイプを概説する。
[講義項目] t 分布による母平均の検定/検定法のタイプ 
[準備学習] t 分布の役割を理解し,t 分布表を利用できるようにしておくこと。
第14回推定・検定の理解度の確認前期後半部分の内容をレジュメの演習を題材として概説する。
[講義項目] 推定と検定の演習  
[準備学習] 9回目から13回目までのレジュメ演習の解答をすべて作成しておくこと。
第15回まとめ 2 --- 前期試験(第2回試験)前期内容の確認試験 
[準備学習] 予め配布する準備表のデータを統計処理し,前期の内容をまとめておくこと。
第16回母集団の推測 -- 検定方法と検定の誤り仮説検定における検定結果の誤りとその危険度について概説する。
[講義項目] 検定方法/検定の誤り/P値
[準備学習] 仮説検定法の手順とその考え方を説明できるようにしておくこと。
第17回母集団の推測 -- P値検定P値による母平均の検定法の考え方を概説する。   [講義項目] 両側検定のP値/t 検定におけるP値/ P値による検定
 [準備学習] 片側検定における P 値を十分に理解しておくこと。
第18回母集団の推測 -- 母分散カイ2乗分布を用いた母分散の推定と仮説検定法の考え方を概説する。
[講義項目] カイ2乗分布/母分散と母標準偏差の検定 
 [準備学習] 母分散の推定量(不偏分散)について十分に理解しておくこと。
第19回母集団の推測 -- 母比率母比率の捉え方とその統計分析を概説する。
[講義項目] 母比率の推定と検定/ 比率の分布 
 [準備学習] レジュメのデータに対して,母比率の推定値を計算しておくこと。
第20回社会における統計分析(1)社会データを基礎統計の範疇で分析する例を概説する。
[講義項目] 現状データの分析 
 [準備学習] レジュメの例題の解答を作成しておくこと。
第21回母集団推測の演習後期前半の内容をレジュメ演習を題材として概説する。
[講義項目] 16 回目から 20 回目までのまとめ 
 [準備学習] 16 回目から 20 回目までのレジュメ演習の解答をすべて作成しておくこと。
第22回まとめ 3 (第3回試験)後期前半内容の確認と復習を兼ねて試験を実施する。 
 [準備学習] 予め配布する準備表のデータを統計処理し,後期前半の内容をまとめておくこと。
第23回相関・回帰 -- 2 変量の関連性
2 変量の関連性の捉え方を概説する。
[講義項目] 相関の分類/相関の強弱/相関係数 
[準備学習] 互いに影響を持ち合うと考えられる 2 変量の例を説明できるようにしておくこと。
第24回相関・回帰 -- 相関の強弱
2 変量データから母集団における相関の強弱の程度を分析する手法を概説する。
[講義項目] 相関の強弱の分析/相関の検定 
 [準備学習] レジュメの2変量データに対して,相関係数を計算できるようにしておくこと。
第25回相関・回帰 -- 回帰モデル
相関の認められる 2 変量に対する回帰モデルの考え方を概説する。
[講義項目] 単回帰モデルの利用  
 [準備学習] レジュメの演習データについて相関表を作成しておくこと。
第26回相関・回帰 -- モデルの精度
回帰モデルの精度分析により,モデルの有効性を判断する考え方を概説する。
[講義項目] 回帰モデルの有効性/決定係数/推測の信頼性 
 [準備学習] レジュメの演習データについて回帰モデルを作成しておくこと。
第27回相関・回帰 -- 回帰モデルの利用
回帰モデルによる現象の説明および予測の信頼性に対する考え方を概説する。
[講義項目] 予測平均と予測量/相関・回帰分析の流れ  
 [準備学習] レジュメの演習データの回帰モデルに対する有効性を説明できるようにしておくこと。
第28回社会における統計分析(2)

社会データへの応用として相関・回帰分析例を概説する。
[講義項目] 現状データの相関・回帰分析 
[準備学習] レジュメの例題の解答を作成しておくこと。
第29回社会における統計分析(3)社会データへの応用として母集団の推測例ならびに相関・回帰分析例を概説する。
[講義項目] 現状データの基礎統計的分析 
[準備学習] レジュメの例題の解答を作成しておくこと。
第30回まとめ 4 --- 後期試験(第4回試験)後期内容の確認試験 
 [準備学習] 予め配布する準備表のデータを統計処理し,後期の内容をまとめておくこと。
授業形式 基本的に講義形式で進める。統計学は実際にデータ処理を行うことにより,理解が深まるものなので,毎時限の最後に時間の許す限り問題演習を行い,提出させる予定である。そのために,少なくとも根号計算の性能をもつ電卓を必要とするので毎回必携のこと。また, EcoLink から講義のレジュメを必ず準備しておくこと。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 講義態度
(出席)
その他 合計
50% 0% 45% 5% 0% 100%
評価の特記事項 定期試験は第2,4回試験のこと、小テストは第1,3回試験のことである。そのほか学んだ統計手法を用いたレポート(任意)を提出した場合、内容を評価して加点する。
テキスト 大澤秀雄著『新・基礎から学ぶ統計学』梓出版,2,625円
参考文献 安藤豊他著『電気・電子・情報系の基礎数学Ⅱ』東京電機大学出版局,3,045円
オフィスアワー(授業相談) 火曜日13時から16時まで, 8号館受付で守衛の方を通じて連絡を取ること。
事前学習の内容など,学生へのメッセージ 当然のことであるが,私語は厳禁。きちんとした態度で,講義に臨んでいただきたい。
高校程度の数学の知識があることが望ましいが,大部分は中学数学の知識をもとに講義する。問題演習も重要なのでテキストの類題等をよくやること。
テキスト巻末の統計表は必需であり, その使用法にも十分精通することが大切である。
任意にレポートを提出する場合は、その内容について前もって相談すること。
基礎統計で学んだことをもとに,さらに統計学I,IIや経済統計学などで学ぶ多変量解析に興味を持ってもらいたい。