講義名 歴史学 ≪□第一部≫
講義開講時期 通年
曜日・時限 水5
単位数 4

担当教員
氏名
坂口 太助

学習目標(到達目標) 本講義は,日本の近代史,すなわち明治・大正から昭和20年(1945年,太平洋戦争終戦)頃までの歴史を,特に戦争に関する問題を中心に考えていく。
「歴史」というと,「暗記」というイメージを持たれることが少なくないが,本来の「歴史学」は覚えるだけではなく,考えることが重要な学問である。この講義でも,単なる歴史事象の暗記を目指すのではなく,近代史の各場面において,その当時の日本や日本人が,どのような理由に基づいて,どのような判断を下していったのか,その「過程」や「理由」を「考える」ことを中心に置き,歴史を学ぶことの意味や面白さに触れてほしいと考えている。
授業概要(教育目的) 前期は,歴史を学ぶことの意味や面白さ,あるいは近代と現代とのつながりを意識しながら,江戸時代末期のペリー来航(1853年)頃から満州事変(1931年)頃までの日本の近代史を概観していく。後期は,前期の内容を踏まえて,重要と思われるいくつかの出来事に注目して満州事変以後の日本の近代史を詳細・具体的に考えていく。この講義を通じて,現代にも関連する様々な問題についての知識,また「考える学問」としての歴史学の意味や面白さを把握し,ひいては問題解決のための「考える力」を獲得してほしいと考えている。
授業計画表
 
項目内容
第1回ガイダンスこの講義の内容・目的,授業の進め方,評価方法等について解説する。
第2回日本の「近代」とは①日本の「近代」とはどういう時代なのか,その特徴や現代との類似点・相違点などを考えていく。
第3回日本の「近代」とは②近代の日本人の「戦争」に対する見方・認識などを考えていく。
【学習準備】
歴史的な出来事には前後のつながりがあり,その把握が重要となる。前回の授業で使用したプリントの内容を確認しておくこと。
第4回日本の軍隊制度①日本の軍隊の成り立ちや制度について考えていく。
【学習準備】
前回の授業で使用したプリントの内容を確認しておくこと。
第5回日本の軍隊制度②軍隊のうち,特に海軍に注目してその実態や特徴についての考察を深め,日本の軍隊制度についての問題点などを考えていく。
【学習準備】
前回の授業で使用したプリントの内容を確認しておくこと。
第6回近代の始まり①江戸時代末期(ペリー来航前後)の日本を取り巻く国際的な環境を考えていく。
【学習準備】
第2回・第3回の授業で使用したプリントの内容を確認しておくこと。また,テキストの9~14頁を読んでおくこと。
第7回近代の始まり②国際的な環境を踏まえ,どのような状況の中で日本の近代が始まったのかを考えていく。
【学習準備】
前回の授業で使用したプリントの内容を確認しておくこと。
第8回明治時代の日本の概観①日清戦争に注目して明治時代の日本を考えていく。
【学習準備】
前回の授業で使用したプリントの内容を確認しておくこと。また,テキストの86~92頁を読んでおくこと。
第9回明治時代の日本の概観②日露戦争に注目して明治時代の日本を考えていく。
【学習準備】
前回の授業で使用したプリントの内容を確認しておくこと。また,テキストの93~106頁を読んでおくこと。
第10回明治時代の日本の概観③日露戦争の結果と,その後の日本の進路や国際関係への影響などについて考えていく。
【学習準備】
前回の授業で使用したプリントの内容を確認しておくこと。また,テキストの106~111頁を読んでおくこと。
第11回大正時代の日本の概観①第一次世界大戦に注目して大正時代の日本を考えていく。
【学習準備】
前回の授業で使用したプリントの内容を確認しておくこと。また,テキストの151~160頁を読んでおくこと。
第12回大正時代の日本の概観②国際連盟などに注目して第一次世界大戦後の世界と日本との関係を考えていく。
【学習準備】
前回の授業で使用したプリントの内容を確認しておくこと。また,テキストの167~175頁を読んでおくこと。
第13回昭和初期の日本の概観①第一次世界大戦の結果生じた「総力戦」認識と関連付け,大正~昭和初期の日本の資源問題について考えていく。
【学習準備】
前回の授業で使用したプリントの内容を確認しておくこと。
第14回昭和初期の日本の概観②世界恐慌への対応を中心に昭和初期の世界や日本の状況を考えていく。
【学習準備】
前回の授業で使用したプリントの内容を確認しておくこと。
第15回中間のまとめ前期のまとめを行う。
第16回張作霖爆殺事件と満州事変①満州事変について知るための前提として,20世紀前半の中国国内の状況と日中関係を考えていく。
【学習準備】
テキストの196~207頁を読んでおくこと。
第17回張作霖爆殺事件と満州事変②日本国内の世論や日本陸軍(関東軍)の動向に注目しながら,張作霖爆殺事件発生の過程と事件のその後への影響を考えていく。
【学習準備】
前回の授業で使用したプリントの内容を確認しておくこと。
第18回張作霖爆殺事件と満州事変③張作霖爆殺事件後の日中関係や日本陸軍の動向に注目しながら,満州事変勃発の過程を考えていく。
【学習準備】
前回の授業で使用したプリントの内容を確認しておくこと。また,テキストの208~213頁を読んでおくこと。
第19回張作霖爆殺事件と満州事変④満州事変の結果と,その後の日本の進路や国際関係への影響などについて考えていく。
【学習準備】
前回の授業で使用したプリントの内容を確認しておくこと。
第20回昭和戦前期日本の政治と社会①満州事変から日中戦争までの日本国内の状況を知るための前提として,当時の政治的な制度・仕組みを考えていく。
【学習準備】
テキストの213~221頁を読んでおくこと。
第21回昭和戦前期日本の政治と社会②満州事変から日中戦争までの日本国内の状況を,5・15事件を中心に考えていく。
【学習準備】
前回の授業で使用したプリントの内容を確認しておくこと。
第22回昭和戦前期日本の政治と社会③満州事変から日中戦争までの日本国内の状況を,2・26事件を中心に考えていく。
【学習準備】
前回の授業で使用したプリントの内容を確認しておくこと。
第23回日中戦争の勃発と拡大①日中戦争の勃発とその拡大の過程などを考えていく。
【学習準備】
テキストの226~236頁を読んでおくこと。
第24回日中戦争の勃発と拡大②中国との和平交渉,欧米諸国との関係など,日中戦争勃発後の国際関係を考えていく。
【学習準備】
前回の授業で使用したプリントの内容を確認しておくこと。
第25回日中戦争の勃発と拡大③日中戦争勃発後,ドイツ・イタリアと提携を深めていく過程を考えていく。
【学習準備】
前回の授業で使用したプリントの内容を確認しておくこと。
第26回太平洋戦争①太平洋戦争について知るための前提として,当時の日本の陸海軍が想定していた「戦争」の姿を考えていく。
【学習準備】
前期の第4回・第5回で使用したプリントの内容を確認しておくこと。
第27回太平洋戦争②日中戦争勃発後の国際関係を,特にアメリカとの関係を中心に考えていく。
【学習準備】
テキストの236~245頁を読んでおくこと。
第28回太平洋戦争③日中戦争が長期化する中,ヨーロッパでの戦争(第二次世界大戦)勃発によって日本国内に生じた認識の変化を考えていく。
【学習準備】
前回の授業で使用したプリントの内容を確認しておくこと。
第29回太平洋戦争④太平洋戦争開戦に至る過程を,主に日本海軍の動向に注目して考えていく。
【学習準備】
前回の授業で使用したプリントの内容を確認しておくこと。
第30回まとめ後期(16回以降)のまとめを行う。
授業形式 プリントを配布して講義形式で行い,要点については板書する。また,映像資料も使用したいと考えている。授業内でアンケートなども行う予定である。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 講義態度
(出席)
その他 合計
80% 0% 0% 20% 0% 100%
評価の特記事項 定期試験として中間試験・学年末試験を行う。試験・講義態度(アンケートの内容等)から総合的に評価する。
テキスト 鳥海靖著『もういちど読む山川日本近代史』山川出版社,1500円(+税).
参考文献 授業内で紹介する。
オフィスアワー(授業相談) 授業実施日の4限の時間,本館2階講師室にて相談・質問を受け付ける。
また,授業内でアンケートなども行う予定。
事前学習の内容など,学生へのメッセージ 特に事前学習は課さない。ただし,日本近代史,特に戦争に関する問題は,現在の日本とも関連する点が様々にある。授業内で時事問題に言及する場合もあるので,日本近代史や戦争の問題についてのテレビ・新聞の報道等については注意しておいてほしい。また,初回の授業時に評価方法などについて説明するので,受講を希望する学生は可能な限り出席すること。
なお,本年度は昨年度と試験の方法を大幅に変更し,試験時の持ち込みは一切不可とし,試験問題も論述のみとするので注意すること。内容も戦争や軍隊に関連した専門的なテーマにも踏み込んでいくので,受講する学生は真剣かつ熱心に授業に取り組むよう期待します。