講義名 文学A ≪□第一部≫
講義開講時期 通年
曜日・時限 木4
単位数 4

担当教員
氏名
楜沢 健

学習目標(到達目標)  ネットに押されているとはいえ、まだまだ日本は新聞が生活の隅々まで行き渡った新聞大国である。長く文学は新聞とともに、新聞は文学とともに読み継がれ、発展してきた。新聞は今なお小説から詩、短歌、俳句、川柳、批評にいたるまで、ひととおりすべての文学ジャンルに触れることのできる、ほとんど唯一のメディアである。本や文芸誌では敷居が高い詩や短歌も、新聞なら身近だ。しかも新聞ほど無名の読者が投稿を通じて、読むだけでなく、創作し書く場を提供し確保してきたメディアは、他にない。新聞の情報は一方通行ではない。無名の読者の参加なしには成立しない相互交通的な創作のありようこそ、新聞と文学の生命であることを理解する。 
授業概要(教育目的)  この講義では、新聞と文学の歴史をふりかえり、新聞を通して様々な文学ジャンル―小説、詩、俳句、短歌、川柳、エッセイに出会い、親しむことを目指す。それを踏まえたうえで、日本の近代文学の歴史を、「貧困」「病気」「家」「余計者」「自殺」「戦争」といったテーマに即して整理し、そもそも「文学」とは何なのか、明治以来「文学」はいったいどのような人々の想いと問題とを引き受けてきたのか、を考える。
授業計画表
 
項目内容
第1回はじめにオリエンテーション
第2回新聞と文学新聞の詩、川柳、短歌、俳句、エッセイは、すべて無名の読者が書いて投稿したもの。あなたも投稿できます。 そのことを学ぶ。
「準備学習」新聞を持参のこと。
第3回新聞と詩99歳のアマチュア詩人、詩集『くじけないで』が大評判の柴田トヨさんの詩作も、新聞に投稿することからはじまった。そのことを学ぶ。
「準備学習」新聞を持参のこと。
第4回新聞小説①夏目漱石は新聞小説作家だった。そのことを学ぶ。

「準備学習」新聞を持参のこと。
第5回新聞小説②新聞で小説を読むのと、本で読むのと、何がどう違うのか。それについて学ぶ。
「準備学習」新聞を持参のこと。
第6回新聞小説③新聞小説には挿絵がついている。 そのことを学ぶ。
「準備学習」新聞を持参のこと。
第7回新聞小説④映画にもなった吉田修一の『悪人』も新聞に連載された小説だった。そのことを学ぶ。
「準備学習」新聞を持参のこと。
第8回川柳①
川柳という文学ジャンルを知っていますか?川柳は文芸誌では読めない、新聞ならば読める。そのことを学ぶ。
「準備学習」新聞を持参のこと。
第9回川柳②川柳は、流行や世相を諷刺し、時代の盲点をちくりと刺すニクイ奴。 そのことを学ぶ。
「準備学習」新聞を持参のこと。
第10回川柳③川柳を知りたければ鶴彬(つるあきら)という川柳作家を読め!そのことを学ぶ。
「準備学習」教科書に指定した楜沢健『だから、鶴彬』を読んでくること。
第11回短歌と俳句①朝日新聞の短歌欄(歌壇)に住所不定のホームレス歌人が登場した。 そのことを学ぶ。
「準備学習」新聞を持参のこと。
第12回短歌と俳句②ホームレス歌人と読者にあいだで歌のやりとり=対話がはじまった。 そのことを学ぶ。
「準備学習」新聞を持参のこと。
第13回新聞は読者が書くものコラム。投書、エッセイの面白さを学ぶ。

「準備学習」新聞を持参のこと。
第14回理解度の確認これまでの要点のまとめ
第15回まとめまとめ
第16回後期開始にあたって前期のおさらい
第17回「文学」とは?「読者」の視点から文学」とは何なのか、明治以来「文学」はいったいどのような人々の想いと問題とを引き受けてきたのか、を学ぶ。
「準備学習」教科書、参考書を読んでくること。
第18回貧困・病気・家の争い近代文学の3つの主題を学ぶ。

「準備学習」教科書、参考書を読んでくること。
第19回貧困①五千円札の肖像―貧困と病気(結核)と家を背負い死んだ樋口一葉について学ぶ。

「準備学習」教科書、参考書を読んでくること。
第20回貧困②「富国強兵」と貧困、の関係について学ぶ。

「準備学習」教科書、参考書を読んでくること。
第21回自殺①自殺した文学者、殺された文学者、について学ぶ。

「準備学習」教科書、参考書を読んでくること。
第22回自殺②自殺大国日本の過去と現在、について学ぶ。

「準備学習」教科書、参考書を読んでくること。
第23回病気①
梶井基次郎「檸檬」と堀辰雄「風立ちぬ」について考え、学ぶ。

「準備学習」教科書、参考書を読んでくること。
第24回病気②「富国強兵」と病気、の関係について学ぶ。

「準備学習」教科書、参考書を読んでくること。
第25回家の争い①家と女性と差別、の関係について学ぶ。

「準備学習」教科書、参考書を読んでくること。
第26回家の争い②恋愛と結婚と天皇制、の関係について学ぶ。

「準備学習」教科書、参考書を読んでくること。
第27回労働と貧困①プロレタリア文学を学ぶ。

「準備学習」教科書、参考書を読んでくること。
第28回労働と貧困②プロレタリア文学を学ぶ

「準備学習」教科書、参考書を読んでくること。
第29回理解度の確認16回以降の要点のまとめ
第30回まとめまとめ
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 講義態度
(出席)
その他 合計
40% 0% 20% 40% 0% 100%
評価の特記事項 講義。感想やレポートを随時書いてもらう。
参考文献 楜沢健『だからプロレタリア文学―名文・名場面で「いま」を照らしだす17の傑作』勉誠出版
同『だから、鶴彬―抵抗する17文字』春陽堂書店
同『川柳は乱調にあり―嗤う17音字』春陽堂書店 
井上ひさし・小森陽一編『座談会昭和文学史』全6巻(集英社)
その他は授業で紹介します。
オフィスアワー(授業相談) 本授業終了後、教室または本館2階講師室にて対応。
事前学習の内容など,学生へのメッセージ 新聞を持参すること、読むこと。