講義名 政治学 ≪昼夜共通≫
講義開講時期 通年
曜日・時限 月5
単位数 4

担当教員
氏名
金田 耕一

学習目標(到達目標) 1.身近な問題を政治学的視点でとらえることができる。
2.政治権力の成り立ちと特質について学び,権力の意義と問題点を説明できる。
3.デモクラシーの歴史を理解し,現代のデモクラシーが抱える諸問題について説明できる。
4.リベラリズムの歴史を理解し,現代のリベラリズムの多様な側面について説明できる。
5.現代政治の諸問題について理解し,その背景と課題を説明できる。
授業概要(教育目的) 政治に特有な事象について,現代の政治理論を基にして解説する。政治について適切な判断を下せるようにするためには,市民のあいだにいわゆる政治的教養(ポリティカル・リテラシー)がなければならない。政治的事象とそれを判断する政治的市民とのあいだには,単なる主観的・イデオロギー的ではなく,客観的で知的な関係が存在する。この関係は,リベラルでデモクラティックな社会を他の社会とを区別する最も大きな特徴である。このことを現代政治理論のさまざまな成果をつうじて考察できるようにすることを目標とする。
授業計画表
 
項目内容
第1回政治学入門政治学という学問の特徴を経済学と比較する.また政治学固有のアプローチについて説明する。
第2回政治とは何か政治的営みの人間的特質を,動物のとの比較から考察する。ここでは,政治を二つの暴力と対比することによって特徴づける。テキスト第1章を読んでおくこと。
第3回暴力から権力へ権力論に立ち入る前に,いかにして権力が発生するかについて考える。テキスト第1章を読んでおくこと。
第4回権力と権威権力がどのようにして権威を獲得するにいたるか,また権威と同意のメカニズムについて考察する。テキスト第2章を読んでおくこと。
第5回二つの権力非対称的権力観と共同的権力観を説明し,マキアヴェリの議論を参考にしながら権力の性格について理解を深める。テキスト第2章を読んでおくこと。
第6回暴力、権力、権威の小括これまでの議論を振り返り、暴力、権力、権威の関係について理解を深める。第3回から第5回のノートを読み返しておくこと。
第7回自由の理論消極的自由・積極的自由の概念という二つの自由の議論を中心にして,自由とは何かを考える。テキスト第4章を読んでおくこと。
第8回現代のデモクラシー(1)デモクラシー論のギリシア的起源と近代における発展を,二つのデモクラシーの観点から考察する。テキスト第6章1を読んでおくこと。
第9回現代のデモクラシー(2)さまざまなデモクラシー批判を取り上げながら,デモクラシーの何が問題なのかについて考察する。テキスト第6章2を読んでおくこと。
第10回現代のデモクラシー(3)現代デモクラシーのモデルとして、利益集団リベラリズムとネオ・コーポラティズムについて説明する。テキスト第6章3を読んでおくこと。
第11回ネーションとエスニシティ(1)ネーションを単位とするデモクラシーとナショナリズムの関係について,近代国民意識の成立を背景としながら考察する.テキスト第7章1を読んでおくこと。
第12回ネーションとエスニシティ(2)東西冷戦後の噴出したエスニシティの要求が引き起こした,新しいナショナリズムについて説明する.テキスト第7章1を読んでおくこと。
第13回ネーションとエスニシティ(3)社会が多文化するなかでわき上がる承認の要求とデモクラシーの関係について考察する。テキスト第7章2を読んでおくこと。
第14回ナショナリズムとエスニシティの小括これまでの議論を振り返り,現代のデモクラシーの課題と新しいナショナリズムについてまとめる.第11回から第13回のノートを読みかえしておくこと。
第15回中間のまとめまとめ
第16回リベラリズムの思想史(1)リベラリズムの思想を歴史的に振り返ることによって,リベラリズムについて理解を深める.ホッブズ,ロック,スミスについて説明する。テキスト第3章1を読んでおくこと。
第17回リベラリズムの思想史(2)リベラリズムの理論を歴史的に振り返ることによって,リベラリズムについて理解を深める.ベンサム,ミル,グリーンについて説明する。テキスト第3章2を読んでおくこと。
第18回リベラリズムの思想史(3)リベラリズムの理論を歴史的に振り返ることによって,リベラリズムについて理解を深める.社会有機体論の展開、スペンサーとフェビアニズムについて説明する。テキスト第3章3を読んでおくこと。
第19回リベラリズムの思想史(4)リベラリズムの理論を歴史的に振り返ることによって,リベラリズムについて理解を深める.ニューリベラリズムの議論,ホブハウス,ケインズ,について説明する。テキスト第3章4を読んでおくこと。
第20回リベラリズムの思想史(5)リベラリズムの理論を歴史的に振り返ることによって,リベラリズムについて理解を深める.ハイエクの議論について説明する。テキスト第3章4を読んでおくこと。
第21回リベラリズムの思想史の小括これまでの議論を振り返って、理解を深める。第16回から第20回のノートを読み返しておくこと。
第22回現代のリベラリズム(1)アメリカにおけるリベラリズムの特殊な性格を,アメリカ社会の歴史的背景を見ながら説明する。テキスト第5章1を読んでおくこと。
第23回現代のリベラリズム(2)ジョン・ロールズの『正義論』における正義の二原理について,原初状態論,無知のヴェール,マキシミン・ルールなどをつうじて説明する。テキスト第5章2を読んでおくこと。
第24回現代のリベラリズム(3)『正義論』への批判として,ノージックのリバタリアニズムの議論を説明する。テキスト第5章3を読んでおくこと。
第25回現代のリベラリズム(4)ドゥオーキンとセンの議論を説明する。テキスト第5章4および5を読んでおくこと。
第26回現代のリベラリズムの小括これまでの議論を振り返って,理解を深める.
第27回公共性と市民社会(1)公共性をめぐる思考を,古代ギリシア、近代(ルソー,スミス,ヘーゲル)とたどる。テキスト第9章1および2を読んでおくこと。
第28回公共性と市民社会(2)ハーバーマスにおける市民的公共性の概念を手がかりにして,現代国家と市民社会の関係について考える。テキスト第9章3を読んでおくこと。
第29回公共性と市民社会(3)新しい市民社会の関係について説明する。テキスト第9章4および5を読んでおくこと。
第30回まとめ16回以降の要点のまとめ.
授業形式 講義を中心とし、テーマの区切りで理解度を確認するための小テストをおこなう。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 講義態度
(出席)
その他 合計
80% 0% 20% 0% 0% 100%
評価の特記事項 試験はテキスト・ノートの持ち込みを一切認めない。
テキスト 川崎・杉田編『現代政治理論』新版 有斐閣,2000円。
参考文献 バーナード・クリック『現代政治学入門』講談社文庫。
オフィスアワー(授業相談) 月曜日3:00〜4:00。 事前にメールでアポイントメントをとることが望ましい。
事前学習の内容など,学生へのメッセージ 私語は厳禁とし、私語をした者には退出を求めます。内容は理論と現実、過去と現在の多岐にわたります。幅広い関心をもつ学生に向いています。