講義名 心理学 ≪□第一部≫
講義開講時期 通年
曜日・時限 水2
単位数 4

担当教員
氏名
野村 康治

学習目標(到達目標) 心理学の基礎的知識を習得することで人間理解における科学的態度を身につける。
1.研究から明らかになっている心の諸特性を理解し,説明できるようになる。
2.研究結果から論理的な結論を導くことができるようになる。
3.心に関する素人理論を排することができるようになる。
授業概要(教育目的) 「心」の理解はともすれば主観的なものになりがちであり,主観的解釈は思い込みや誤解を生むことがある。この授業では心理学が「心」に関する問題にいかに取り組み,どのようなことを見い出してきたかを説明する。そして「心」の問題を客観的にとらえることの意味と重要性を理解できるようになることを目標とする。
授業計画表
 
項目内容
第1回ガイダンス授業の進め方と「心理学」という学問について説明する。
第2回心とからだ心の働きを支えるからだのしくみ,特に神経系の働きについて説明する。
【準備学習】
テキスト第13講を予め読んでおくことが望ましい。
第3回脳と心脳の構造とその働きに関して,特に心理学的に重要と思われるポイントを説明する。
【準備学習】
テキスト第13講を予め読んでおくことが望ましい。
第4回感覚のメカニズム比較的単純な感性経験といわれる感覚について,その種類や発生のメカニズムを説明する。
【準備学習】
テキスト第2講(1~3章)を予め読んでおくことが望ましい。
第5回刺激と感覚の関係刺激があれば必ず感覚が生じるわけではない。人間がどのような刺激を感じ取るのかを説明し,人間の感覚の特徴を明らかにする。
【準備学習】
テキスト第2講(1~3章)を予め読んでおくことが望ましい。
第6回物理的世界と知覚世界比較的複雑な感性経験といわれる知覚について説明する。特に物理的な刺激と知覚の関係について明らかにする。
【準備学習】
テキスト第2講(4章)を予め読んでおくことが望ましい。
第7回人間の知覚の特性
人間がどのように外界を知覚しているのかを説明し,人間の知覚の特性を明らかにする。
【準備学習】
テキスト第2講(4章)を予め読んでおくことが望ましい。

第8回初期認知心の働きを情報処理にたとえ,「意味をとらえる」ということを文字認知の問題を中心に説明し,人間がどのような情報の処理を行っていると考えられているか解説する。
第9回注意の特性人間の注意にはどのような特徴があるのか,さらに注意に関する実験を紹介し,注意を向けるとはどういうことなのかを明らかにする。また,注意とヒューマンエラーとの関わりを説明する。
第10回記憶の過程



記憶の過程を説明し,記憶のメカニズムに関する情報処理モデルを紹介する。
【準備学習】
テキスト第4講を予め読んでおくことが望ましい。
第11回記憶の特性1
前述の情報処理モデルに沿って,人間がどのように物事を記憶するのかについて説明する。
【準備学習】
テキスト第4講を予め読んでおくことが望ましい。
第12回記憶の特性2記憶の過程のうち忘却に関わる問題を取り上げ,人間の記憶の不確かさについて述べる。
【準備学習】
テキスト第7講を予め読んでおくことが望ましい。
第13回人間の思考の特性1
思考研究で取り上げられるクイズ問題を通して,人間の思考にはどのような特徴があるのかを説明する。
第14回人間の思考の特性2前回に引き続き人間の思考の特徴について説明するともに、思考の種類についても述べる。
【準備学習】
テキスト第5講(1章)を予め読んでおくことが望ましい。
第15回理解度の確認1回~14回の授業のまとめ
第16回行動の生起と欲求心理学は行動の科学とよばれる。その行動を生起させる心理的メカニズムを説明する。特に欲求に関わる問題を取り上げる。
【準備学習】
テキスト第8講(3,4章)を予め読んでおくことが望ましい。
第17回欲求不満と葛藤行動の生起には欲求が深く関わっているが,欲求はいつも満たされるものではない。ここでは欲求不満や葛藤といった不適応行動を生じさせうる心的問題について取り上げる。
【準備学習】
テキスト第8講(3,4章),第14講を予め読んでおくことが望ましい。
第18回適応行動と不適応行動心の健康を考える上で欠かせない概念である適応と不適応の問題を取り上げる。またストレスについても説明する。
【準備学習】
テキスト第8講(3,4章),第14講を予め読んでおくことが望ましい。
第19回動機づけ人間的成長を促すとされる種々の動機づけを取り上げ,それらの動機づけに影響を与える諸要因について論じる。
【準備学習】
テキスト第8講(3,4章)を予め読んでおくことが望ましい。
第20回学習理論1(古典的条件づけ理論)学習とは何かを説明し,数回にわたり学習成立に関する諸理論を紹介する。まずは古典的条件づけについて,その理論と実験研究を取り上げる。
【準備学習】
テキスト第3講(1,2章)を予め読んでおくことが望ましい。
第21回学習理論2(道具的条件づけ理論)道具的条件づけ理論について,その理論と実験研究を述べる。また,道具的条件づけ理論の応用なども紹介する。
【準備学習】
テキスト第3講(3章)を予め読んでおくことが望ましい。
第22回学習理論3(認知理論)認知説に基づく学習理論とその実験を取り上げ,連合説理論(条件づけ理論)との違いを明らかにする。
第23回社会的学習観察学習や認知的過程が大きく関与する学習について取り上げ,学習に関わる社会的問題について考える。
【準備学習】
テキスト第3講(4章)を予め読んでおくことが望ましい。
第24回発達とは何か生涯発達の観点に立ち,発達の概念を説明し,発達に関する諸理論を概観する。
第25回発達の規定因発達の規定因(遺伝と環境)に関する諸研究を取り上げ,心理学における要因統制の重要性を解説する。
第26回知能の測定知能の定義について論じ,知能研究の歴史を知能測定の観点から説明する。
【準備学習】
テキスト第11講を予め読んでおくことが望ましい。
第27回知能の構造知能の構造に関する諸理論を紹介し,知能とは何かを考察する。
【準備学習】
テキスト第11講を予め読んでおくことが望ましい。
第28回性格の諸理論「性格」の概念を説明し,性格に関する諸理論,特に類型論と特性論に基づく性格理論を紹介する。
【準備学習】
テキスト第10講を予め読んでおくことが望ましい。
第29回性格の測定個人の性格をとらえる種々の性格検査(心理検査)を紹介する。
【準備学習】
テキスト第10講を予め読んでおくことが望ましい。
第30回理解度の確認16~29回の授業のまとめ
授業形式 授業は主に講義形式で行うが、授業中に意見を求めることもある。講義態度評価の指標ともなるので積極的に発言してほしい。また定期試験とは別に授業の理解度を確認するための小テストを4~6回程度行う予定である。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 講義態度
(出席)
その他 合計
80% 0% 10% 10% 0% 100%
テキスト 大山正監修,安齊順子編著『あたりまえの心理学』文化書房博文社,2300円.
参考文献 必要に応じて授業中に指示する。
オフィスアワー(授業相談) 講義終了後,本館2階講師室にて30分間対応する。
事前学習の内容など,学生へのメッセージ 科学は疑問を持つことから始まる。人間はありのままに世界をとらえ,気をつけてさえすれば重要な情報を見落とさず,大切なことは正確に記憶し,冷静なときは論理的に考えることができる,という生き物ではない。まず,自分自身も含め人間というものに疑問を持って欲しい。それが心理学を学ぶ第一歩である。そして,漫然と講義を聞くのではなく,「考えながら聴く」という態度で授業に臨んでほしい。