講義名 現代思想 ≪□第一部≫
講義開講時期 後期
曜日・時限 火2
単位数 2

担当教員
氏名
伊佐敷 隆弘

学習目標(到達目標)  現代は「脱神秘化」とその克服の試みが激しく交錯している時代である。「脱神秘化」とは,さまざまなものから神秘的な側面が次々に取り去られていくことである。
 受講者の到達すべき目標は以下の3点である。
(1)フロイト・ダーウィン・生命科学・脳科学・ロボット工学などによる「神」「人間」「生命」「心」「道徳」などの脱神秘化について理解する。
(2)現代の世界観や自然観を根底から批判し,「脱神秘化」の克服を試みたニーチェとハイデガーの主張について理解する。
(3)これらを踏まえて,現代という時代への理解を深める。
授業概要(教育目的)  現代思想を学ぶ上で最も重要なことは「自ら考えること」である。授業での説明を踏まえて,受講者も思想家たちが取り組んだ問題について自分自身で考えてみよう。思想家も受講者も同じ「現代」という時代を生きている以上,彼らの問題意識を理解することは可能である。「現代思想は自ら考えて初めて理解できるのだ」ということを常に忘れず授業を受けてほしい。
授業計画表
 
項目内容
第1回イントロダクション授業内容の概略を説明する。
【準備学習】シラバスに目を通しておく。
第2回19~20世紀の世界と日本現代という時代の歴史的な背景について説明する。
【準備学習】19~20世紀の世界と日本の歴史について年表などを見ておく。
第3回フロイトの宗教論フロイト(1856~1939)は「無意識」という概念を初めて唱え「精神分析」という治療法を創始した精神医学者である。彼は,「幼児にとっての父親」が「神」概念の起源だと主張した。(「神」の脱神秘化)
【準備学習】辞書などで「フロイト」「無意識」「精神分析」という用語を調べておく。
第4回ベンサムの功利主義ベンサム(1748~1832)は「人間は生まれつき快をもとめ苦を避ける。このことがすべての道徳の原理である」と主張した。(「道徳」の脱神秘化)
【準備学習】辞書などで「ベンサム」「功利主義」という用語を調べておく。
第5回ダーウィンの進化論ダーウィン(1809~1882)は「人間と猿の先祖は同じである」と主張した。(「人間」の脱神秘化)
【準備学習】辞書などで「ダーウィン」「進化論」という用語を調べておく。
第6回生気論からバイオテクノロジーへ19世紀には「生命現象は物理・化学の法則だけでは説明できない」という生気論(せいきろん)が力を持っていた。しかし,現代の分子生物学は生命現象を分子レベルで解明し,その工業的応用がバイオテクノロジーである。(「生命」の脱神秘化)
【準備学習】辞書などで「生気論」「分子生物学」「バイオテクノロジー」という用語を調べておく。
第7回論理実証主義による形而上学批判20世紀初頭,ウィーン大学の哲学者や科学者たちのグループは「経験的に検証できない命題を主張する形而上学は,偽である以前に意味をなさない」と主張した。(「哲学」の脱神秘化)
【準備学習】辞書などで「論理実証主義」「形而上学」「ウィーン学団」という用語を調べておく。
第8回脳科学と心現代の脳科学は「心とは脳のことだ」という前提にもとづき,脳の解明を通して人間の心を解明しようとしている。(「心」の脱神秘化)
【準備学習】辞書などで「脳科学」「心脳同一説(しんのうどういつせつ)」という用語を調べておく。
第9回ロボットと人間現代のロボット研究は,人間と交流できるロボットの製作を目指している。これにより,逆に「人間とロボットはどう違うのか」という問題が生じている。(「人間」の脱神秘化)
【準備学習】辞書などで「ロボット」「ロボット工学」という用語を調べておく。
第10回ニーチェの哲学(1)ニーチェ(1844~1900)は,キリスト教を批判し,新しい人間のあり方(超人,運命愛)を提唱した。(脱神秘化の克服の試み)
【準備学習】辞書などで「ニーチェ」「超人」「運命愛」という用語を調べておく。
第11回ニーチェの哲学(2)ニーチェは「認識とは解釈である」と主張し,近代科学の客観主義を批判した。(脱神秘化の克服の試み)
【準備学習】前回のノートを読み返しておく。
第12回ハイデガーの哲学(1)ハイデガー(1889~1966)は,人間の実存論的分析をおこなった。(脱神秘化の克服の試み)
【準備学習】辞書などで「ハイデガー(ハイデッガー)」「現存在(げんそんざい)」という用語を調べておく。
第13回ハイデガーの哲学(2)ハイデガーは,人間の実存論的分析に基づき,近代科学的な世界観を批判した。(脱神秘化の克服の試み)
【準備学習】前回のノートを読み返しておく。
第14回現代とはいかなる時代か現代は脱神秘化とその克服の試みが激しく交錯している時代である。
【準備学習】ここまでのノートを読み返しておく。
第15回まとめ全体のまとめ
授業形式 (1)講義形式で行う。しかし,受講者からの質問や感想を紹介したり,受講者に対して質問するなどして,なるべく双方向の授業にする。
(2)授業中の私語・携帯電話の使用・遅刻・早退は厳禁である。(私語は教室内の他の学生の授業を受ける権利を侵害する行為なので厳禁。万一,遅刻した場合は,他の学生の迷惑にならないように入り口近くの席に静かに座ること。)
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 講義態度
(出席)
その他 合計
80% 0% 0% 20% 0% 100%
評価の特記事項 毎回出席をとる。
テキスト 授業中にプリントを配布する。
参考文献 授業中に紹介する。
オフィスアワー(授業相談) 授業の前か後にアポイントメントを取り,指定された時間帯に本館2階講師室に来ること。
事前学習の内容など,学生へのメッセージ 毎回,前回のノートを読み返してから,授業に臨むこと。
出席票の裏に質問や感想を書くことができる。次週に回答・紹介する。