講義名 日本の社会A(留学生用) ≪□第一部≫
講義開講時期 前期
曜日・時限 水2
単位数 2

担当教員
氏名
石田 教子

学習目標(到達目標) 1. テキストを読み内容を十分に理解し,筆者の意見や論点を整理することができる。
2. 日本の社会の特徴を自分なりに評価し,自らの意見を積極的に発信できる。
3. 日本の社会の問題点を考察しながら,ある社会が抱える問題に通じることが,他の社会が直面する問題をより良く知るための手がかりになることを実感することができる。
授業概要(教育目的) 2011年3月11日に起きた大地震が引き金となり,福島第一原子力発電所で大事故が発生してから,日本は経済成長のあり方に関して根本的な思考転換を求められています。この授業では,日本の社会を小さな窓(テーマ)から覗くことによって,さまざまな国の社会が抱える問題についての知識を深めることを目指します。本年度の「窓」は,“定常経済” です。本年度は、この「定常経済」という小さな「窓」を設定してみることによって,日本の社会の将来について考えながら,世界各国それぞれの社会が直面せざるをえない課題について客観的に考察する力を養います。
授業計画表
 
項目内容
第1回イントロダクション定常経済というコンセプトに関連して,日本の社会の現在についてお話しします。この授業の進め方について説明します。
第2回読解①
なぜ「定常経済」が必要なのか
経済成長に妄信的に頼って問題解決をしようとしてきた経済学の基本的問題点について,筆者の意見を検討します。
【事前学習】
テキストの範囲(pp.1-16)を読んでくること。分からない言葉はすべて調べてくること。
第3回問題抽出①
なぜ「定常経済」が必要なのか
経済成長と環境問題の関係について考察します。
【事前学習】
テキストの範囲(pp.1-16)をよく理解し,現代において「定常経済」という考え方が必要とされつつある理由について書き出してくること。
第4回ディスカッション①
なぜ「定常経済」が必要なのか
参加者同士のディスカッションを通じて,定常経済論の現代的意義について考察します。
【事前学習】
「定常経済」という考え方が必要であるとする立場とそうでない立場の両方について,どのような主張が可能かを考えてくること。また,事前学習をふまえて,円滑にディスカッションが進められるように,自分の考えをまとめてくること。
第5回読解②
「定常経済」とは何か - 定常経済論の系譜
定常経済という考え方がどのようにして生じてきたのかについて,筆者の見解を検討します。
【事前学習】
テキストの範囲(pp.17-31)を読んでくること。分からない言葉は調べてくること。
第6回問題抽出②
「定常経済」とは何か - 定常経済論の系譜
定常経済という着想の歴史に触れながら,なぜ経済学が「成長」という考え方に固執してきたのかという問題を考えます。
【事前学習】
テキストの範囲(pp.17-31)をよく理解し,定常経済について論じた経済学者をリストアップし,それぞれの論者の視点について調べてくること。
第7回ディスカッション②
「定常経済」とは何か - 定常経済論の系譜
参加者同士のディスカッションを通じて,定常経済という考え方にはどのような論点が含まれるかを考察します。
【事前学習】
定常経済に関する議論の特徴をまとめてくること。また,事前学習をふまえて,円滑にディスカッションが進められるように,自分の考えをまとめてくること。
第8回読解③
「定常経済」とは何か - 定常経済論への反論
定常経済と技術や雇用の関係について,筆者の立場を検討します。
【事前学習】
テキストの範囲(pp.32-45)を読んでくること。分からない言葉は調べてくること。
第9回問題抽出③
「定常経済」とは何か - 定常経済論への反論
定常経済という考え方がどのような反論を受けてきたのかについて見ていきます。
【事前学習】
テキストの範囲(pp.32-45)をよく理解し,定常経済論に対する反対論をリストアップしてくること。
第10回ブレイクこの日はこれまでの授業について,そして今後の授業の進行に関して自由に質問できる回です。
第11回ディスカッション③
「定常経済」とは何か - 定常経済論への反論
参加者同士のディスカッションを通じて,定常経済という考え方に関する誤解について考察します。
【事前学習】
定常経済論に対する誤解について論点をリストアップしてくること。また,事前学習をふまえて,円滑にディスカッションが進められるように,自分の考えをまとめてくること。
第12回読解④
どのようにして「定常経済」へシフトするのか
定常経済へシフトするにはどのような政策提言が可能か,筆者の見解を検討します。
【事前学習】
テキストの範囲(pp.46-63)を読んでくること。分からない言葉は調べてくること。
第13回問題抽出④
どのようにして「定常経済」へシフトするのか
持続可能な経済への移行について考えます。
【事前学習】
テキストの範囲(pp.46-63)をよく理解し,持続可能な経済に移行するための条件をリストアップしてくること。
第14回ディスカッション④
どのようにして「定常経済」へシフトするのか
参加者同士のディスカッションを通じて,定常経済という考え方の将来的可能性について考察します。
【事前学習】
定常経済へシフトするために必要な政策について考察してくること。また,事前学習をふまえて,円滑にディスカッションが進められるように,自分の考えをまとめてくること。
第15回フォローアップまとめ
授業形式 講義,グループワークおよびディスカッション
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 講義態度
(出席)
その他 合計
0% 0% 40% 40% 20% 100%
評価の特記事項 小テスト:授業の最後に提出します(不定期)。講義態度:積極的な発言には高い評価を与えます(人数によってはグループワーク)。その他:事前学習の成果が見られる学生にはボーナス点を加点します。
テキスト ハーマン・デイリー著,枝廣淳子(聞き手)『『定常経済』は可能だ!』(岩波ブックレットNo.914)岩波書店,2014年。
参考文献 必要があれば適宜紹介します。
オフィスアワー(授業相談) 水曜4限(14:40-16:10)
ただし,メール(ishida.noriko@nihon-u.ac.jp)で事前に予約する必要があります。名前の書き忘れに注意。
事前学習の内容など,学生へのメッセージ テキストは授業開始までに必ず準備すること。毎回、テキストの指定された範囲を必ず読んでくること。
積極的に講義に参加する受講生を望みます。理由のない遅刻,授業中の私語および途中退出は講義に出席する意思がないものと見なします。授業中,授業後の質問は大歓迎です。