講義名 流通経済論 ≪昼夜共通≫
講義開講時期 通年
曜日・時限 木5
単位数 4

担当教員
氏名
河田 祐也

学習目標(到達目標) 「商業の社会性=売買集中の原理」などの流通経済論の基礎的な理論を修得し,現代流通の全体像や諸矛盾を理解することができる。また,それによって社会的な問題意識を持てるようになる。本講義は、流通経済を通して社会を見る眼を養い,豊かな現実感覚を身につけることが最終目標となる。
授業概要(教育目的) 流通は財の交換・取引に関わる活動である。流通はわれわれの消費生活に密着した存在ではあるが,必ずしも理解しやすいものではない。それは、ルールに内属する者は,そのルールが何たるかを知ることはないからである。現代の流通は企業のマーケティング活動のなかに組み込まれており,「便利」で「快適」な消費生活はそのような働きかけによって可能になっている。しかし、われわれはそのことを見落としがちである。流通経済を学ぶ第一歩は,そのような企業の働きかけや身近な消費生活を観察することから始まる。本講義では、流通経済論の基礎理論を修得し,社会経済的な視点から流通の全体像を理解することを目的とする。
授業計画表
 
項目内容
第1回流通経済論で何を学ぶのか流通経済論の概略について説明する。
第2回経済社会のなかでの流通と商業交換の成立,商業を媒介にした市場の成立過程を講義する。
【準備学習】
教科書の第1章~第4章に目を通しておくこと。
第3回商業の市場形成機能商業の多段階構成から市場形成機能を説明する。
【準備学習】
教科書の第1章~第4章に目を通しておくこと。
第4回商業における品揃え形成ロー・オルダースンの品揃え形成論をもとに,個別・集積レベルの品揃え形成を講義する。
【準備学習】
教科書の第1章~第4章に目を通しておくこと。
第5回商業の社会性と売買集中の原理商業の存立根拠を,「商業の社会性」,「売買集中の原理」から説明する。
【準備学習】
教科書や参考書で「商業の社会性」や「売買集中の原理」を学習しておくこと。
第6回マーケティングの登場と商業マーケティング(=巨大製造企業の対市場活動)によって,商業の活動が質的にどのように変化するのかを,「商業の社会性」を軸に説明する。
【準備学習】
第5回の「商業の社会性」を復習し,教科書の第15章に目を通しておくこと。
第7回流通における組織間関係①流通系列化(=垂直的統合)による閉鎖的体系の構築とその限界について講義する。
【準備学習】
教科書の第17章に目を通しておくこと。
第8回流通における組織間関係②チャネルの組織化とパワー関係について解説する。
【準備学習】
教科書の第14章、第17章に目を通しておくこと。
第9回製販連携と延期型流通の展開大規模小売商の成長によって,急速に発展している製販連携と,延期型流通について講義する。
【準備学習】
授業で指示した参考書に目を通しておくこと。
第10回SCMの展開情報通信技術の発展によって,物流の管理に関するコンセプトは大きく変化している。ここでは,それをSCM(サプライ・チェーン・マネジメント)というコンセプトによって説明する。
【準備学習】
授業で指示した参考書と教科書の第7章に目を通しておくこと。
第11回小売商業論① 小売商業の機能と諸形態小売商業の機能と諸形態について講義を行う。
【準備学習】
教科書の第6章に目を通しておくこと。
第12回小売商業論② 小売業態の発展と競争業種・業態論、小売ミックス,小売業態の発展理論などの解説を行う。
【準備学習】
授業で指示した参考書と教科書の第6章に目を通しておくこと。
第13回小売商業論③ 小売主導の製品開発とPB小売主導の製品開発が行われる理由や小売事業のブランド化について解説する。
【準備学習】
授業で指示した参考書に目を通し、コンビニエンスストアの商品構成がどのようになっているのかを観察しておくこと。
第14回消費社会の発展と買物行動消費社会の成立(都市化による集中市場,消費主体化と快楽原則),買物行動の理論などについて講義を行う。
【準備学習】
授業で指示した参考書と教科書の第1章に目を通しておくこと。
第15回中間のまとめまとめ
第16回卸売商業論① 卸売商業の機能と諸形態卸売商業の機能と諸形態について講義を行う。
【準備学習】
教科書の第5章に目を通しておくこと。
第17回卸売商業論② 流通再編と卸売商業の対応大規模小売商の成長や上位集中化による流通再編によって,卸売商の存在意義が問われていることを確認したうえで,卸売商の機能強化などの戦略的対応について解説する。
【準備学習】
教科書の第5章に目を通しておくこと。
第18回日本型取引慣行「建値制」や「リベート制」などの日本型取引慣行が,「オープン価格制」への改定などによって,どのように変化しているのかを解説する。
【準備学習】
授業で指示した参考書に目を通しておくこと。
第19回現代企業のマーケティングマーケティングのネットワーク・モードによる流通システムの変化,ブランド・マーケティングの有効性などについて講義を行う。
【準備学習】
教科書の第15章~第18章に目を通しておくこと。
第20回理論から現象を読み解く①:百貨店と総合スーパーこれまで学んだ基礎理論をもとに,百貨店と総合スーパーが誕生した歴史的背景や,販売の仕組みなどを検討する。
【準備学習】
教科書の第8章に目を通しておくこと。
第21回理論から現象を読み解く②:食品スーパーとCVSこれまで学んだ基礎理論をもとに,食品スーパーとCVS(コンビニエンスストア)が誕生した歴史的背景や,販売の仕組みなどを検討する。
【準備学習】
教科書の第9章に目を通しておくこと。
第22回理論から現象を読み解く③:商店街とショッピングセンターこれまで学んだ基礎理論をもとに,商店街とショッピングセンターが誕生した歴史的背景や,販売の仕組みなどを検討する。
【準備学習】
教科書の第11章に目を通しておくこと。
第23回流通における情報化の進展流通におけるICTの活用と展開について講義を行う。
【準備学習】
教科書の第13章に目を通しておくこと。
第24回インターネット販売の可能性インターネット販売の基本的な特徴を確認したうえで,それが流通にどのような影響を与えているかを解説する。
【準備学習】
教科書の第10章に目を通しておくこと。
第25回情報商業論と商業の社会性協働型・関係性マーケティングの展開によって,商業の社会的機能である「商品の比較評価(=比較情報)」がどのように変化しているのかを,「商業の社会性」を軸に講義する。
【準備学習】
第5回の「商業の社会性」を復習し、授業で指示した参考書に目を通しておくこと。
第26回流通の国際化小売企業の国際化を中心に,日本小売業の海外出店,外資小売業の日本市場参入などの講義を行う。
【準備学習】
教科書の第12章に目を通しておくこと。
第27回中小商業論零細小売業,商店街の分類と景況などについて講義を行う。
【準備学習】
教科書の第11章に目を通しておくこと。
第28回流通政策とまちづくり地域商業とまちづくり三法の改正,フードデザート問題について講義を行う。
【準備学習】
教科書の第23章~第26章に目を通しておくこと。
第29回理解度の確認要点のまとめ
第30回まとめまとめ
授業形式 PowerPointと板書による講義形式。また、映像資料や配布資料なども適宜使用する。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 講義態度
(出席)
その他 合計
70% 0% 30% 0% 0% 100%
評価の特記事項 定期試験70%,授業中に不定期に行う小テスト(※受講者が多数の場合は,課題レポート)30%などによって総合的に評価を行う。1回目の講義で本科目のガイダンスを実施するので履修希望者は必ず出席すること。
テキスト 番場博之編『基礎から学ぶ流通の理論と政策』八千代出版,2400円+税.
※配布資料がある場合は,エコリンクで配布する。
参考文献 阿部真也ほか編『流通経済から見る現代:消費生活者本位の流通機構』ミネルヴァ書房,3800円+税.
加藤義忠・齋藤雅通・佐々木保幸編『現代流通入門』有斐閣,2400円+税.
大阪市立大学商学部編『ビジネス・エッセンシャルズ⑤ 流通』有斐閣,2600円+税.
オフィスアワー(授業相談) 木曜6限。事前に予約すること。
事前学習の内容など,学生へのメッセージ 答えられる問題だけを問題にしてもあまり意味がありません。日頃から、新聞の経済面だけでなく、社会面にも目を通しておいてください。