講義名 経営学 ≪□第一部≫
講義開講時期 通年
曜日・時限 月3
単位数 4

担当教員
氏名
平野 文彦

学習目標(到達目標) この講義では、現代社会の重要な機関としての「企業」に焦点をあて、その社会的な役割・目的・責任などを学ぶとともに、その存続と発展にとって不可欠な「経営」という機能について、基礎理論や事例等を通じて体系的に学習することを目的とする。
授業概要(教育目的) この講義では、企業や経営についての基本的知識や理論を学習すると共に、現代社会におけるその役割と意味について考え、受講生一人ひとりが社会における経営の問題に興味を抱き、より上級の専門学習へと展開していかれるような力を育成することを目的とする。
授業計画表
 
項目内容
第1回 経営学の意義と目的経営学は英語ではMANAGEMENTという。ここでは「組織を、本来の目的の達成に向けて動かす(マネジメントを行う)こと」の意義を、高度に発達を遂げている現代の自由主義社会とそこで特徴的となっている「組織社会」との関連において理解させる。加えてこれを理論化していくことの意義について理解を深めていただく。
[準備学習]
 経営学を学ぶにあたっ、自己の関心」や、「学ぶ目的」を、思いつくままに簡潔に整理してくること。

第2回「経営学」の歴史にみる方法の多様性経営学の史的概観として、経営学の出発点となったF.W.テーラーの『科学的管理法』から、H. ファヨールの「管理原則論」、メイヨ-とレスリバーガーらによる「人間関係論」、C.I.バーナードの『The Functions of the Executive』に至る流れについて、その内容、意義、及び限界について概説する。
[準備学習]
「経営学」という分野が、世界において、いつ頃、どこで、どのような課題をもって登場してきたかのかについて、図書館や 情報機器を利用して文献を探し、自分なりに一応の整理を試みてくること。
第3回現代における経営学の課題経営学が誕生から今日まで辿ってきた歴史を踏まえて、現代の経済社会の特質との関係において、経営学が追求すべき課題について講義する。
学問としての「経営学」の重要性が、その後、どのような歩みを続けて現代に至ってきたのかについて概要を講義し、理解させる。加えて、学問としての「経営学」の意義を理解させる。このことを通じて、「経営学が目指すもの(目的)は何か」が理解できるようになる。
第4回 P.F.ドラッカーの『Practice of Management』の概要と現代的意義ドラッカーの所説にしたがって、そのマネジメント論の論理構造を紹介するとともに、その本質がどこにあるかについて講義する。
[準備学習]
ドラッカー経営学については、日本語版が数多く出版されているので、それらの中で、自分はどれに最も興味を抱くのか、それはなぜかについて、自分の想いを簡単に整理してくること。
第5回ビジネス・マネジメント
(1)古典的事例としてのSears Story
ドラッカーがMANAGEMENT について、その考え方と知識を体系的に描くことになった古典的事例がアメリカの小売業Searsである。そこで何を得たのかについて、概略を紹介するとともに、「ビジネスとは何か」について、深い関心を持っていただく。「顧客」と「市場」、「経営の近代化」、「顧客の創造」、「利益の概念」、「組織的行動」、「働く人々の欲求充足と問題解決」、加え得て、深い考察を妨げる「オートメーション」などについて講義する。
第6回ビジネス・マネジメント
(2)ビジネスとは何か、何をビジネスにするのか
「ビジネス」という概念が誤って理解されていることがきわめて多い。その本来の意味は何か。「企業」の目的と、それが果たすべき3つの本質的機能について詳述する。
[準備学習]
「ビジネス」という言葉の意味を辞書などを使って調べてくること。
第7回ビジネス・マネジメント
(3)ビジネスが追い求める目標は何か
「ビジネスが追求する目標は一つ。「利益の追求」と言われることが少なくない。それもいくつかの目標のうちの一つに過ぎないことを理解させっる。ビジネスの存続と繁栄に、直接、かつ重要な影響を与える8つの領域、すなわち、①マーケティング、②イノベーション、③生産性、④物的資源と財的資源、⑤利益、⑥マネジメントの能力、⑦人的資源、⑧社会的資源、について講義する。
第8回ビジネス・マネジメント
(4)生産事業と生産方式の原理
 製品の生産が順調に継続しているとき、ビジネスが正常に行われているかのような錯覚をもつことがある。消費者の購買環境が変化していても、生産の段階では、その対応ができない。ここでは「生産」の意味を吟味するとともに、3つの生産システムとそこに流れる「原理」を確認する必要性について学んでいただく。それがマネジメントとどのような関係にあるのかについて解説する。
第9回9.ケーススタディ
(1)現代のビジネス
「ビジネスとは何か」に関連して、最近における世界、及び日本におけるビジネス事情について、映像または新聞報道記事を用いて講義する。これによりドラッカー経営学との関連について考察させる。。
第10回マネジャー・マネジメント 
(1)古典的事例としてのFord Story
経営者の果たすべき機能が不十分に理解されていなかったり、発揮されないままに現実が信仰すると、どんなに優れていたビジネスも立ち行かなくなる。ここではマネジメントの担当者の重要性について、講義を通して理解を深めていただく。
[準備学習]
トヨタ自動車株式会社のHPに『トヨタ自動車75年史』がある。文書で読んで、ここから学ぶべきことを10点以上以上レポートすること。
第11回マネジャー・マネジメント 
(2)セルフ・コントロールによる目標管理
マネジメントは、「上から決められたノルマ」や「報告と手続きの制度」による「支配」の方法とは、まったく異質のものである。したがって、「経営」とは、「権限と責任」の仕組みを強固なものにしていくことでもないことを理解させる。
第12回マネジャー・マネジメント 
(3)組織の精神・文化
重要なことは、それぞれの組織の中に、人々が信頼しあえる雰囲気を、時間をかけて醸成していくことである。しかし、その理念と方法を誤るならば、組織は内部から崩壊しかねない。従業員評価の制度、報酬の制度、昇進の制度、そして上司のリーダーシップなどが果たすべき重要な役割について理解を深めていただく。
第13回マネジャー・マネジメント 
(4)トップ・マネジメントとその育成
ここではCEOと取締役会のありかたについて、ドラッカーに従って解説する。
[準備学習]
日々の新聞やテレビ番組を見る中で、経営者の,特にトップマネジメントの果たす役割が、極めて大きいことを、改めて気づかされることが少なくない。経営記事や企業紹介のの番組の一つを検討の材料として考察してみること。、会
第14回ケーススタディ
(2)現代の代表的にみる「マネジメント」と「支配」と「ガバナンス」
“経営の神様”と呼ばれている松下幸之助、そして稲盛和夫について、そのマネジメントの姿勢などについて考察し、経営学の領域において理解すべきことを講義する。
第15回理解度の確認前半部について、受講生の理解度を把握することで、後半部の講義につなげる。
第16回後半部における研究課題前半部において学んできたことについて、その要点を整理して講義する。
第17回マネジメントの組織構造 
(1)組織構造のを選択
経営学の一研究分野に「組織論」がある。マネジメントと「組織」の関係について理解する。
第18回マネジメントの組織構造 
(2)組織原理
2つの組織原理として、機能別組織と連邦型組織について特徴を理解する。またそれと同時に分権的組織の意義について理解することを求める。同時に経営組織論の新たな研究動向について、そのがい概略を講義する。
第19回マネジメントの組織構造
 (3)成長企業
 企業を分類する基準として、従業員規模や資本金規模が使われることが多いが、個々ではその他の分類基準について考える。その一つがこれまでの業績と社会状況の変化を考慮した成長企業という概念について、ドラッカーの主張を理解する。
[準備学習]
 わが国において今後、大きな成長が見込まれている企業はどこか。それはどのような理由に基づいているか。自分の意見を述べるのではなくて、いかなる資料に、どのように書かれているかをレポーとすること。
第20回ケーススタディ(3)日本において「成長企業」とみなされている企業について、その基準と特色などを紹介する。
第21回人と仕事のマネジメント
(1)古典的事例としてのIBM Story
特に「イノベーション」と「エンジニアリングへの参画」に着目するとともに、「雇用の維持」が持つマネジメント上の意義について理解する。
第22回人と仕事のマネジメント
(2) 「人を雇うということ」の意味
「働く人」の本質をどのように理解するか、「集団」と「個人」の要求、そして「企業が働く人に求める要求」と「働く人が企業に対してもっている要求」という軸によって、「人を雇うということ」の真の意味を理解していただく。
[準備学習]
現在の日本が抱えている「雇用問題」にはいかなる問題があるか、その原因はなにかについて、若干の考察を行ってみること。
第23回人と仕事のマネジメント
(3)人事管理は破綻していないか
企業等における一般従業員は、どように位置付けられているのかについて考えていただく。それまでどの企業でも行われてきた人事管理、あるいは労務管理とよばれている「人」に対する管理法は、大きな誤解に基づいているかもしれない。その点について理解する。
第24回人と仕事のマネジメント
(4)最高の仕事ができる組織づくり
マネジメントの重要な機能は、多くの場合、「能率のよい組織」を築きあげ、これを維持することと考えられているように思われるが、実は人々がそれぞれに最高の仕事ができるように組織整備を進めていくことである。ここではいくつかの基本的な考え方と方法について理解する。
第25回人と仕事のマネジメント
(5)モティベーションと報酬
働く人が持つモティベーションの源泉について、これまでに明らかにされてきた内容について解説する。特に経済的な報酬の持つ意味についても詳述し、深い理解を促す。
[準備学習]
 人間が働くうえでのモティベーションにはどのような要因があると考えられているか。自分の意見を述べるのではなく、文献にしたがって整理すること。

第26回人と仕事のマネジメント
(6)現場管理者と専門職
一般従業員として位置づけられる人たちのほかに、現場管理者と専門職がある。組織の中ではどのように理解されるのが正当であるかについて理解する。
第27回ケーススタディ(4)ここでは「経営(マネジメント)」と「支配」と「管理」の違い、そしてさらに、「経営(management)」と「統治(governance)」と「倫理(ethics)」の概念につぃいて、いくつかの資料に基づいて講義する。
第28回優れた経営者の条件マネジャーに要求される条件・課題、及び人間としての「真摯さ」について、ドラッカーの考えかに沿って理解を深めていただく。
第29回マネジメントの責任「経営者」が果たすべき社会的責任にはどのようなものがあるかについて、総合的に考察し講義を行う。いくつかの事例を用いて説明する。
第30回理解度の確認経営学が有している基礎概念とマネジメント行動の特性について、理解度の確認を行う。
授業形式 講義形式:詳細な講義内容については、それぞれの担当者によって異なるので注意すること。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 講義態度
(出席)
その他 合計
50% 10% 10% 30% 0% 100%
テキスト 授業開始時にしてする。
参考文献 P.F.ドラッカー『現代の経営』(上)(下)(ダイヤモンド社)
オフィスアワー(授業相談) 月曜日4限
事前学習の内容など,学生へのメッセージ 授業の最後に、毎回、指示する。