講義名 労働法 ≪□第一部≫
講義開講時期 通年
曜日・時限 月3
単位数 4

担当教員
氏名
加藤 輝夫

学習目標(到達目標) 近年における経済のグローバル化、規制緩和、急速な少子高齢化等は、日本的雇用システムに種々の変容をもたらしている。本講義では、こうした中で労働法がどのように変遷してきたかを分析・検討し、これにより以下の諸点を目標とする。
①労働法のしくみと用語に関する基礎的な知識を理解して、望ましい労使関係を構築するために必要な提言ができるようになる。
②労働法の主要課題についての能力を涵養し、労使紛争の予防と解決に必要な判断ができるようになる。
③労働法の構造と適用関係を考察し、労使関係の現状を的確に把握するとともに、その将来を展望できるようになる。
授業概要(教育目的) ①労働法は、労働市場、労働契約および労使関係に関する法の体系である。本講義では、このような労働法の生成基盤とその理念を探り、労働三法-労働基準法・労働組合法・労働関係調整法を中心に、労働契約、労働条件、就業規則、労働組合、団体交渉、労働協約、争議行為、不当労働行為等について解説する。
②本講義では、労働現場における最新の法的課題-紛争事例(判例・労働委員会命令等)等をできるだけ紹介し、その問題解決に必要な知識と判断能力の修得ができるように平明に説明する。
授業計画表
 
項目内容
第1回ガイダンス-労働法とは何。労働法の勉強方法を紹介し、労働法の意義・生成・体系等について説明する。

【準備学習】特に近代市民社会の特質について、テキストの該当箇所を読んでおくこと。
第2回労働基本権の保障-憲法27条・28条労働権・労働三権保障の規範的意義を明らかにし、その内容について説明する。

【準備学習】テキストの該当箇所と配布プリントを読んおくこと。
第3回労働基準法の基本原則と適用範囲労働憲章、労働基準法の適用事業・労働者・使用者の範囲について説明する。

【準備学習】テキストの該当箇所と配布プリントを読んでおくこと。

第4回労働契約(1)-労働契約の意義と成立労働契約の意義と原則、他の労務供給契約との関係について説明する。

【準備学習】テキストの該当箇所と配布プリント読んでおくこと。
第5回労働契約(2)-労働契約の内容と効力労働条件の明示、契約期間、労働者・使用者の権利義務につて説明する。

【準備学習】テキストの該当箇所と配布プリントを読んでおくこと。
第6回労働契約(3)-労働契約の終了解雇その他の労働契約の終了事由、終了後の法律関係について説明する。

【準備学習】テキストの該当箇所と配布プリントを読んでおくこと。
第7回労働契約(4)-人事異動配置転換、出向等と使用者の指揮命令権との関係等ついて説明する。

【準備学習】テキストの該当箇所と配布プリントを読んでおくこと。
第8回賃金(1)-賃金の意義と体系等労働基準法上の賃金、いわゆる賃金体系等について説明する。

【準備学習】テキストの該当箇所と配布プリントを読んでおくこと。
第9回賃金(2)-賃金の入手確保、賃金額の保障等賃金支払の5原則、休業手当、出来高払の保障給、最低賃金制度いついて説明する。

【準備学習】テキストの該当箇所と配布プリントを読んでおくこと。
第10回労働時間(1)-労働時間の意義、法定労働時間、労働時間の弾力化労働時間の歴史、1週40時間・1日8時間制、変形労働時間制、フレックスタイム制について説明する。

【準備学習】テキストの該当箇所と配布プリントを読んでおくこと。
第11回労働時間(2)-労働時間の算定、時間外・休日労働の規制実労働時間、みなし労働時間、裁量労働時間制、割増賃金について説明する。

【準備学習】テキストの該当箇所と配布プリントを読んでおくこと。
第12回休憩・休日、年次有給休暇休憩時間の意義と自由利用の原則、週休制の原則、年次有給休暇の付与、利用目的等について説明する。

【準備学習】テキストの該当箇所と配布プリントを読んでおくこと。
第13回年少者・女性労働者(1)年少者・女性労働者保護の歴史、年少者・妊産婦等の労働条件について説明する。

【準備学習】テキストの該当箇所と配布プリントを読んでおくこと。
第14回年少者・女性労働者(2)-男女雇用機会均等法特に男女雇用機会均等法の理念と内容、ジェンダーについて説明する。

【準備学習】テキストの該当箇所と配布プリントを読んでおくこと。
第15回中間のまとめ前期のまとめ-講義の理解度を確認するために小テストを実施する。

【準備学習】第2回から第14回までの配布プリントを読んでおくこと。
第16回労働災害(1)-安全衛生労働災害の現状と課題、労働安全衛生法のしくみについて説明する。

【準備学習】テキストの該当箇所と配布プリントを読んでおくこと。
第17回労働災害(2)-災害補償労働基準法と労働者災害補償保険法のしくみと内容について説明する。

【準備学習】テキストの該当箇所と配布プリントを読んでおくこと。
第18回就業規則(1)-就業規則の意義、制定、内容等就業規則の意義・機能、制定・変更手続、記載事項等に
ついて説明する。

【準備学習】テキストの該当箇所と配布プリントを読んでおくこと。
第19回就業規則(2)-就業規則の効力と変更就業規則の法令・労働協約・労働契約との関係、就業規則の変更-労働契約法9条・10条について説明する。

【準備学習】テキストの該当箇所と配布プリントを読んでおくこと。
第20回労働基準法の実効確保労働基準監督制度、罰則、付加金制度について説明する。

【準備学習】テキストの該当箇所と配布プリントを読んでおくこと。
第21回労働組合と組合活動(1)労働組合の組織形態、結成・加入・脱退、資格審査、運営等について説明する。

【準備学習】テキストの該当箇所と配布プリントを読んでおくこと。
第22回労働組合と組合活動(2)組合活動と使用者の施設管理権、労働組合の統制権等について説明する。

【準備学習】テキストの該当箇所と配布プリントを読んでおくこと。
第23回団体交渉と労働協約(1)-団体交渉団体交渉の方式、当事者・担当者、交渉事項、手続き等について説明する。

【準備学習】テキストの該当箇所と配布プリントを読んでおくこと。
第24回団体交渉と労働協約(2)-労働協約労働協約の締結当事者、成立要件、有効期間、内容、効力、終了等について説明する。

【準備学習】テキストの該当箇所と配布プリントを読んでおくこと。
第25回労働争議と争議行為(1)-争議行為争議行為の意義、態様、正当性の判断基準、規制等について説明する。

【準備学習】テキストの該当箇所と配布プリントを読んでおくこと。
第26回労働争議と争議行為(2)-争議調整労働関係調整法上のあっせん、調停、仲裁等について説明する。

【準備学習】テキストの該当箇所と配布プリントを読んでおくこと。
第27回不当労働行為(1)-不当労働行為制度不当労働行為の制度趣旨、類型、成立要件等について説明する。

【準備学習】テキストの該当箇所と配布プリントを読んでおくこと。
第28回不当労働行為(2)-不当労働行為の救済労働委員会制度、労働委員会における救済の手続・内容について説明する。

【準備学習】テキストの該当箇所と配布プリントを読んでおくこと。
第29回労働紛争解決のしくみ個別的労働紛争と集団的労働紛争の解決方法を概観し、主として労働審判法について説明する。

【準備学習】テキストの該当箇所と配布プリントを読んでおくこと。
第30回質問とまとめ労働法の課題と将来について説明する。


【準備学習】第16回から第29回までの配布プリントを読んでおくこと。
授業形式 原則として、シラバスに従った講義形式とする。なお、本講義では、演習問題をできるだけ出題し、適宜その理解の程度を確認するとともに、この問題をベースにした小テスト(○×式20問)を行う。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 講義態度
(出席)
その他 合計
80% 10% 10% 0% 0% 100%
評価の特記事項 定期試験は学年末試験のみで、出題形式は○×式15問、記述式5問、論述式1問とし、これにレポート、小テスト点を加え総合評価する。
テキスト 水町勇一郎著『労働法入門』岩波書店。
参考文献 菅野和夫著『労働法十版』弘文堂、村中孝史・荒木尚志編『労働法判例百選[第8版]』有斐閣、その他講義中に適宜紹介する。
オフィスアワー(授業相談) 月曜日5時限目の講義終了後、本館2階講師室にて20分間程対応する。
事前学習の内容など,学生へのメッセージ ①労働法は、大変実用性の高い法分野であり、日ごろから労働問題に関心を持って授業に臨んでほしい。
②最近、わが国における従来の雇用システムが大きく変容しつつあるので、インターネットやテレビ・新聞等で興味のある労働(法)関連ニュースは、よくみておくこと。
③最近の労働法制の改正動向については、今後の皆さんの就職や生活に深く関わってくるので、十分に注意しておくこと。