講義名 ベンチャービジネス論Ⅱ ≪大学院≫
講義開講時期 後期
曜日・時限 木6
単位数 2

担当教員
氏名
池田 光男

学習目標(到達目標) 1ベンチャービジネス論の実践的な手法を学ぶことにより、実務的な知識をとらえることができる。
2起業家を志す院生にとっては、授業が進むにつれ起業する際の具体的な手法が身についていく。
3税理士志望の院生は、税理士として独立後、創業者について実務的に適切なアドバイスができ、顧問先確保に結びつけられる利点がある。
授業概要(教育目的) ベンチャー企業の実務について、以下のように解説を主眼にした授業を行う。
1まず創業者が迷いがちな創業段階については、基礎的な手法を詳細に解説する。2次いでベンチャー企業の「アキレス腱」といわれる財務戦略を説明する。
3さらにベンチャー企業は新しいマーケットを開拓することが極めて重要視されるので、マーケティング手法を解説する。
4最後に創業支援プログラムを説明する。
特徴的なのは、ベンチャー企業として小規模から大手企業にまで成長した創業者に面談して得た、創業にかかる実際の経験談を事例研究として用いていることである。
授業計画表
 
項目内容
第1回起業家を巡る環境変化1いまや起業家革命の時代であることを解説する。
2Webの急速な発展、経済のグローバル化など起業家を取り巻く環境変化を解説する。
これらを通じて、将来を見据えた起業の重要性を説明する。
第2回高度成長時代と異なるデフレ時代の開業率1昭和40年代の第1次ベンチャーブームにおける開業率はなぜ高かったのか?
2長引くデフレ下において開業率はぜ低下したのか?
両者を対比して、起業家にとって創業時期の選択の重要性ややデフレ下における創業などの留意点を説明する。
第3回創業準備期における基本的な知識1創業準備のチェックポイント
2事業形態や事業計画の策定
3売上予測、収支予測
4創業資金の調達と返済計画
5事業計画書の策定
事例研究:実物の事業計画書について妥当性や問題点を討議する。

第4回創業資金の調達手法1開業資金のうち自己資金はどの程度確保すべきか
2自己資本比率の重要性
3なぜ長期借入金に依存すべきなのか
第5回創業期における資金繰り1資金繰り表の効果について説明する。
2資金不足の穴埋めはどのようにすべきか。
3すぐといえばすぐ資金が調達ができる金融機関との付き合い方

事例研究:手探りの資金繰りが思わぬ落し穴に。
第6回成長期における資金調達成長の命運を左右する資金調達について、各ステージごとに解説する。
第7回運転資金1運転資金について解説する。
2正味運転資本について構図により説明する。
3貸借対照表から運転資金を把握する方法を説明する。
4第3の財務諸表「キャッシュフロー計算書」を説明する。
事例研究:数字で見る「ダイエー」の資金繰り
第8回経常運転資金日常の経常運転資金の動向を左右する取引条件の実務的な見方を説明する。
第9回運転資金と売掛金との関係から資金繰りを判定資金繰り判定の手法を解説する。
事例研究:ITベンチャーとして急成長した「テスコン」の突如の破綻の原因を研究する。
第10回設備投資と設備資金調達1設備投資にかかる意思決定の重要性
2設備投資の資金調達の基本的な考え方
事例研究:群馬キャピタルの指導で株式の店頭公開に踏み切り、高額な設備資金を株式市場にて調達し成長した工場製ねぎとろ開発の「赤城水産」を研究する。
第11回起業家としての金融機関との対応国民金融公庫(現日本政策金融公庫)の元支店長が明かす金融機関との付き合い方
事例研究:数字で事業内容の説明が新支店長の関心を呼び、銀行からの資金導入の道が開けて東証1部上場を成し遂げた宝飾品製造・小売業「ツツミ」の創業者 堤征二氏の経営手腕を学ぶ。
第12回リスクキャピタルの調達1インフォーマルな投資家エンジェルの解説
2ベンチャーキャピタルの内容とわが国のベンチャーキャピタルの現状を解説する。
第13回ベンチャーー企業のマーケッティング1起業家にとってマーケティングはなぜ必要か
2起業家が直面する特有のマーケテイングの解説
3成長を管理するためのマーケティング戦略
第14回創業支援プログラム
1「創業活動前」「創業準備期」「創業後」のそれぞれのステージに対応する創業支援プログラムを解説する。
2起業家を優遇する起業家向け融資制度の拡充について解説する。
第15回理解度の確認これまでの要点のまとめ
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 講義態度
(出席)
その他 合計
0% 20% 0% 70% 10% 100%
評価の特記事項 講義を聞かないと理解ができない内容が多く、またテキストを用いないので、特に出席数を重要視する。
テキスト テキストは用いない。
参考文献 高橋徳行他訳『アントレプレーナーシップ』日経BP社、4500円.
千本倖生他訳『ベンチャー創造の理論と戦略』ダイヤモンド社、7800円
池田光男他著『現代の中小企業=本質論からベンチャービジネス論まで』中小企業リサーチセンター、2718円.
事前学習の内容など,学生へのメッセージ 前の週に指示した項目について、自分自身で調べる習慣をつけること。特に、小企業から大手企業に成長した実例を多く用いるが、前の週に配布された資料を読むだけでなく、自分自身でもWebで検索して、「なぜ成長したのか」を主眼にして学習をすることを要望する。