講義名 心理学 ≪□第一部≫
講義開講時期 通年
曜日・時限 火4
単位数 4

担当教員
氏名
土屋 明夫

学習目標(到達目標) 我々一人一人は、“人間”として生を受け、その生をこの社会の中で全うしていく存在である。これから学ぶ「心理学」は、“人つまり我々自身の日常生活での心理や行動の背景にある影響要因”について、科学的(客観的)な視点から解明していく学問である。
そこで、受講生には、この心理学を通して、次の3項目が達成できることを目標とする。
1.人が生きて生活していることの背景にある様々な要因を理解することができる。
2.上記①を理解することで、人の意識・行動の奥深さや可能性を理解することができる。
3.上記①②を理解することで、人(自身)の“生き方”を考える手掛かりをつかむことができる。
授業概要(教育目的) 人の“こころ”とは何か。分かっているようで捉えどころがない問題である。そこで、“こころ”を“人の生き様”と置き換えてみると理解しやすいのではないだろうか。この“人の生き様”を科学的な方法で理解しようとするのが、「心理学」である。
そこで、講義のテーマは「人とはどんな特徴を備えた存在か」「人は周りの環境をどのように捉えて判断し、意識や行動につなげていくのか」など、“人の生き様”を基礎的(生理学的)レベルから社会的レベルまでを踏まえて解説することになるが、受講生には、人間の生き様に、より強い関心をもつようになってもらうことを目的とする。
授業計画表
 
項目内容
第1回ガイダンス人間の理解における「心理学」の重要性。授業の進め方。アカデミック・スキルズ(ノートの取り方など)。参考文献の紹介。
【準備学習】「心理学を学ぶ」こと「大学で学ぶ」ことの必要性や「学んだことを十分に理解するための工夫」について、自分の考えを整理しておくこと。
第2回心理学ー“こころの科学”ーとは何か(1)心理学の特徴(心理学の対象、方法論など)。心理学の歴史(“こころ”をどのように理解しようとしてきたか)。
【準備学習】テキスト第1章、第1節~2節を読んでおくこと。
第3回心理学ー“こころの科学”ーとは何か(2)心理学の歴史(①「心理学」成立前の“こころ”の捉え方、②人の“こころ”を科学的(客観的)方法で理解することは可能か、③科学としての心理学の“こころ”の捉え方など)。
【準備学習】テキスト第1章、第3節~5節を読んでおくこと。
第4回“こころ”の基礎(1)生理的基礎(脳の構造と機能など)。
【準備学習】テキスト第2章、第1節を読んでおくこと。
第5回“こころ”の基礎(2)言語、動機づけ、感情など。
【準備学習】テキスト第2章、第2節~3節を読んでおくこと。
第6回人は周りの状況とどのようにかかわり合って生活を営んでいるか(1)環境の認知(感覚・知覚とは、知覚の体制化など)。
【準備学習】テキスト第3章、第1節~2節を読んでおくこと。
第7回人は周りの状況とどのようにかかわり合って生活を営んでいるか(2)知覚の諸相(奥行知覚、運動知覚、錯覚現象など)。
【準備学習】テキスト第3章、第3節を読んでおくこと。
第8回人は周りの状況とどのようにかかわり合って生活を営んでいるか(3)記憶の働き(記憶の意味・過程、記憶の情報処理モデルなど)。
《記憶に関する簡単な実験を実施し、その結果を基に講義する》
記憶の変化(忘却の原因、記憶内容の変化など)。
【準備学習】テキスト第3章、第4節~7節を読んでおくこと。
第9回人は周りの状況とどのようにかかわり合って生活を営んでいるか(4)学習とは(学習に関する理論、学習効果への影響要因など)。
思考と言語(問題解決と推論など)。
【準備学習】テキスト第4章全般を読んでおくこと。
第10回人の発達とは何か(1)ー 人は生涯をどのように生きてゆくのか ー人の発達とは、発達の視点、発達の特徴、発達に関する理論など。
【準備学習】テキスト第5章、第1節を読んでおくこと。
第11回人の発達とは何か(2)ー 人は生涯をどのように生きてゆくのか ー各発達段階の特徴(青年期の課題とは)など。
【準備学習】テキスト第5章、第1節を読んでおくこと。
第12回人の個性とは何か(1)性格とは何か、性格に関する諸理論、性格検査など。
【準備学習】テキスト第5章、第3節を読んでおくこと。
第13回人の個性とは何か(2)知能とは何か、知能に関する諸理論、知能検査など。
【準備学習】テキスト第5章、第2節を読んでおくこと。
第14回理解度の確認これまでの要点のまとめ
第15回中間のまとめまとめ
第16回人の社会的行動(1)
ー人は周囲の人々と、どのようにかかわり合いながら生活を営んでいるかー
対人認知(情動の認知、他者のパーソナリティの認知など)。
【準備学習】テキスト第6章、第1節を読んでおくこと。
第17回人の社会的行動(2)
ー人は周囲の人々と、どのようにかかわり合いながら生活を営んでいるかー
態度と態度変容(態度の特性、態度の形成、態度に関する諸理論など)。
【準備学習】テキスト第6章、第2節を読んでおくこと。
第18回人の社会的行動(3)
ー人は周囲の人々と、どのようにかかわり合いながら生活を営んでいるかー
説得と態度変容(説得的コミュニケーションの効果、説得のテクニック、説得への抵抗など)。
【準備学習】テキスト第6章、第2節を読んでおくこと。
第19回人の社会的行動(4)
ー人は周囲の人々と、どのようにかかわり合いながら生活を営んでいるかー
対人魅力(対人魅力の規定要因、恋愛の心理など)。
人間関係の力学(社会的交換理論など)。
【準備学習】テキスト第6章、第3節を読んでおくこと。
第20回人の社会的行動(5)
ー人は周囲の人々と、どのようにかかわり合いながら生活を営んでいるかー
援助行動や攻撃行動の心理および行動力学。
【準備学習】テキスト第6章、第4節を読んでおくこと。
第21回人の社会的行動(6)
ー人は周囲の人々と、どのようにかかわり合いながら生活を営んでいるかー
集団・集合とは何か。大衆の意味・心理など。
【準備学習】テキスト第6章、第5節を読んでおくこと。
第22回人の社会的行動(7)
ー人は周囲の人々と、どのようにかかわり合いながら生活を営んでいるかー
集団的影響過程(集団の中での個人から個人への影響性、権威に対する服従の心理など)。
【準備学習】テキスト第6章、第5節を読んでおくこと。
第23回人の社会的行動(8)
ー人は周囲の人々と、どのようにかかわり合いながら生活を営んでいるかー
集団的影響過程(集団から個人への影響性、集団圧力に対する同調行動など)。冤罪が生じる背景など。
【準備学習】テキスト第6章、第5節を読んでおくこと。
第24回人の社会的行動(9)
ー人は周囲の人々と、どのようにかかわり合いながら生活を営んでいるかー
集団的影響過程(個人から集団への影響性、リーダーと集団の関係、リーダーシップとは、リーダーシップ理論など)。
【準備学習】テキスト第6章、第5節を読んでおくこと。
第25回人が環境に適応するとはどういうことか(1)適応、不適応とはどういうこか。
【準備学習】テキスト第7章全般を読んでおくこと。
第26回人が環境に適応するとはどういうことか(2)臨床心理学の誕生、発展など。
【準備学習】テキスト第7章全般を読んでおくこと。
第27回人が環境に適応するとはどういうことか(3)こころの問題の諸相(登校拒否、スチューデント・アパシー、摂食障害など)。
【準備学習】テキスト第8章全般を読んでおくこと。
第28回人が環境に適応するとはどういうことか(4)こころのケア(メンタルヘルス、こころへのケアの方法・効果、カウンセリングの方法・効果など)。
【準備学習】テキスト第8章全般を読んでおくこと。
第29回理解度の確認16回以降の要点のまとめ
第30回年間のまとめ全般のまとめ
授業形式 スライドを使用しての講義が中心であるが、“こころの科学”としての心理学をよく理解してもらうために、簡単な実験や調査を受講生を対象に実施し、そのデータを踏まえての講義なども行う。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 講義態度
(出席)
その他 合計
90% 10% 0% 0% 0% 100%
評価の特記事項 「中間・学年末」の両試験の成果(一方の試験を無断欠席の場合、未履修扱いとする)および教室での意見発表や実験レポートの提出など、積極的な授業への取り組む姿勢も評価の対象とする。
テキスト 野々村、土屋、藤生ら共著『こころへのアプローチ』(新訂版)田研出版、2012.
参考文献 土屋明夫編著『発達と学習ー教育場面での心理学ー』八千代出版、2005.
田之内、土屋、和田ら共著『ガイド 社会心理学』北樹出版、2006.

オフィスアワー(授業相談) 講義に関する質問や他の相談は、基本的には、授業時や授業終了時に受けることにする。さらに、その時点で必要とあれば、本館2階講師室で応じる場合もある。
事前学習の内容など,学生へのメッセージ 人の理解には、自分自身なり人間一般に関心を持ち、その行動や心理を観察し、じっくり考えてみる姿勢が必要とされる。それ故に、授業には積極的に出席し、講義で取り上げられるテーマについては、講義終了後に、ともかく自身でもう一度考え、確認してみることが大切である。そこで生じた疑問は、そのままにせず、質問をしたり、テキストや参考文献などに目を通し、ある程度納得がいくまで“つきつめて考えてみる”ことを習慣づけてもらいたい。そのように“熟考する姿勢”が、次第に自分自身や人間全般に関心をもたせることになり、ひいては心理学に興味が涌くことにもつながってくる。