回 | 項目 | 内容 |
第1回 | 序: 物理量・単位系 | 本講義のガイダンスを行う。物理学の全体を概観する。物理学における基本的な単位系,数値の取扱いについて学習する。
【準備学習】
特に必要ありません。 |
第2回 | 力学1: 運動の法則 | 運動する物体に力が働くと運動の様子が変化する。運動の様子の表現方法,及び運動する物体の満たす法則について学ぶ。
【準備学習】
物体が「運動する」とは,物体の位置や向きが時々刻々と変化する様子のことであり,日常用いる運動とは異なることを理解しておく。 |
第3回 | 力学2: 作用と反作用 | 二つの物体AとBが力を及ぼしあうとき,AがBに及ぼす力とBがAに及ぼす力は,必ず同じ大きさで互いに逆の方向に働いている。物体に働くいろいろな力について学ぶ。
【準備学習】
力はベクトル量で表される。矢印を用いて表されたベクトルの和・差などの初歩的な計算について理解しておく。 |
第4回 | 力学3: 円運動 | (正確な円軌道とはいえない場合も多いが)円運動という現象は多く見られる。円運動とは中心への落下運動である。円運動している物体にどのような力が働いているか学ぶ。
【準備学習】
遠心力は慣性力の一種である。慣性の法則,運動方程式について復習しておくこと。 |
第5回 | 力学4: エネルギー・仕事 | エネルギーは蓄えられた仕事と考えることができる。仕事をすればその分のエネルギーが減少する。力学的エネルギーがどのようにあらわされるものであるか学ぶ。
【準備学習】
力学における「仕事」は,物体の位置の変化量とその変化の方向に加えた力の大きさとの積で定義される。日常に用いる仕事という言葉とは異なるものであることを理解しておく。 |
第6回 | 力学5: エネルギー保存則 | 仕事をする側・される側,すべてを含めて考えると,全エネルギーの総量は変化しない。いくつかの運動に対して,力学的エネルギー保存則が成り立っていることを確認する。
【準備学習】
位置エネルギーと運動エネルギーについて復習しておく。 |
第7回 | 力学6: 運動量保存則 | 運動している物体が何かに衝突したとき,高速の物体は軽くても大きな衝撃を生み,重い物体は遅くても大きな衝撃を生む。衝突の際に運動量が保存されることを学ぶ。
【準備学習】
「運動量」は物体の速度と質量の積で定義されるベクトル量である。運動の法則について復習しておくこと。 |
第8回 | 熱物理学1: 熱と温度 | 温度の異なる二つの物体を接触させると,熱が移動して二つの物体の温度は等しくなる。熱平衡状態について理解する。
【準備学習】
「熱」,「温度」とは何であるか,どう違うのか,考えてみる。 |
第9回 | 熱物理学2: 熱力学第1法則 | 熱とは,エネルギーの移動プロセスの一種として定義される。熱を考慮に入れた場合にも全エネルギーの量は変化しないことを学ぶ。
【準備学習】
熱力学第1法則は,熱の移動まで考慮したエネルギーの保存則である。力学的エネルギー保存則について復習しておく。 |
第10回 | 熱物理学3: 状態方程式 | 気体は加熱すると膨張し,冷却すると収縮する。理想気体を冷却し続けると絶対零度で体積はゼロになる。理想気体の満たす法則,状態方程式について学ぶ。
【準備学習】
状態方程式は気体の体積,圧力,温度の関係式である。それぞれの物理量,単位について復習しておくこと。 |
第11回 | 熱物理学4: 熱サイクル | 具体的な熱機関の熱サイクルについて学ぶ。理想的なスターリングエンジンの熱効率は熱源の温度のみによって決まり,この熱機関が原理的に最大の熱効率となっていることを理解する。
【準備学習】
熱力学第一法則,理想気体の状態方程式について復習しておく。 |
第12回 | 熱物理学5: 熱力学第2法則 | 仕事は全て熱に変えることができるが,熱は全てを仕事に変えることはできず,必ず利用されずに捨てられる熱がある。熱力学第2法則と不可逆過程について学ぶ。
【準備学習】
自然現象には,ある方向には変化するが,逆方向には変化しない現象(覆水は盆に返らない,等)が無数にあることを知っておくこと。 |
第13回 | 熱物理学6: エントロピー | ゴムを伸ばすと温度が上がる。水に塩を溶かすと凍りにくくなる。乱雑さの度合を表すエントロピーについて学ぶ。
【準備学習】
熱力学第2法則について復習しておくこと。 |
第14回 | 理解度の確認 | これまでの要点のまとめ |
第15回 | 中間のまとめ | まとめ |
第16回 | 電磁気学1:電気と磁気の発見の歴史 | 琥珀をこすると物を引き付ける力が生じる。電気(electricity)の語源は琥珀のギリシャ語(elektron)。電気・磁気・光などに関する主な発見の歴史を概観する。
【準備学習】
特に必要ありません。 |
第17回 | 電磁気学2: 電荷・電圧・電流 | 電流は電気量(電荷)の流れである。電圧は電気的エネルギーの差(電位差)であり,電流を発生させる。電気抵抗は電流を妨げる。電気に関する基礎知識を習得する。
【準備学習】
位置エネルギーについて復習しておく。 |
第18回 | 電磁気学3: 電気回路・電力 | 電流が電気回路を流れているときは絶えず仕事をしており,エネルギーが消費される。電力とは単位時間当たりに消費される電気的エネルギーである。簡単な電気回路について学ぶ。
【準備学習】
電気エネルギーまで含めてもエネルギー保存則が成り立つ。力学的エネルギー保存則,熱力学第1法則について復習しておくこと。 |
第19回 | 電磁気学4: 電場と磁場 | 電気的な力,磁気的な力はそれぞれ電場,磁場を介して働く近接力である。電気的,磁気的な力の法則について学び,「場」の概念を理解する。
【準備学習】
電荷に働く静電気力は形式上は万有引力の法則と似ているので,万有引力について復習しておく。 |
第20回 | 電磁気学5: 電磁誘導 | 電流はその周囲に磁場をつくる。逆に,磁場の変化によって電流が生じる。モーターを逆に使うと発電機になる。モーター・発電機の原理について学ぶ。
【準備学習】
電流と磁場の関係性について復習しておく。 |
第21回 | 電磁気学6: 電磁波 | 磁場が時間変化すると周囲に電場が生じ,電場が時間変化すると周囲に磁場が生じる。これが空間を波動として伝わるのが電磁波であることを学ぶ。
【準備学習】
電場,磁場の概念について復習し,理解しておくこと。 |
第22回 | 現代物理学1: 特殊相対性理論 | 電磁気現象の例から,観測者の運動状態による現象の見え方の違いについて考える。光の速さは観測者の運動状態に依らず,同じ速さである。このことから導かれる時間の遅れ,長さの収縮,ローレンツ変換などを学ぶ。
【準備学習】
電磁誘導とローレンツ力,慣性系について復習しておく。 |
第23回 | 現代物理学2: 双子のパラドックス | 同年齢の双子がいるとする。兄が光速に近い速さで宇宙旅行して帰ってきたとき,弟は自分のほうが年上になったと言い、兄は自分のほうこそ年上になったという。どちらの主張が正しいのか,どのように説明されるかを学ぶ。
【準備学習】
時空図とローレンツ変換について復習しておく。 |
第24回 | 現代物理学3: 核反応・原子力 | アインシュタインによると,質量とエネルギーは等価である。重い原子核は分裂すると少し軽くなる。その分のエネルギーを利用する,というのが原子力の原理。
【準備学習】
エネルギー保存則について復習しておく。 |
第25回 | 現代物理学4: 粒子と波動の二重性 | 光は波動であり,かつ粒子でもある。電子は粒子であり,かつ波動でもある。電子の粒子・波動の二重性,原子の構造について学ぶ。
【準備学習】
光や電子などの微小な粒子の現象に対して,ニュートン力学や日常的な感覚による先入観を持たないようにする。 |
第26回 | 現代物理学5: 微小な世界の多数の粒子 | 「ひとつの状態」には二つ以上の電子が存在することはない。多数のヘリウム原子が「ひとつの状態」に共存することはある。複数の微小な粒子の性質について学ぶ。
【準備学習】
微小な世界での粒子・波動の二重性について復習しておくこと。 |
第27回 | 現代物理学6: 金属・絶縁体・超伝導 | 絶縁体や半導体の電気抵抗は温度が下がると増加する。金属の電気抵抗は温度が下がると減少する。超伝導体を冷却すると電気抵抗はゼロになる。物質の電気的な性質についてミクロな視点から考える。
【準備学習】
電気抵抗に関する基礎,電子の性質について復習しておくこと。 |
第28回 | 現代物理学7: 強磁性体 | 磁石を熱したら磁石ではなくなる。熱によるゆらぎのために秩序が乱され,無秩序な状態へと転移する。自発的な秩序の生成を平均場近似の視点から考える。
【準備学習】
磁石,磁場などの磁気的性質,およびエントロピーについて復習しておく。 |
第29回 | 理解度の確認 | 16回以降の要点のまとめ |
第30回 | まとめ | まとめ |