講義名 科学史 ≪□第一部≫
講義開講時期 通年
曜日・時限 火4
単位数 4

担当教員
氏名
坂本 邦暢

学習目標(到達目標) 1. 哲学者や科学者がいかに自然探求をおこない、また自然に関する知識をどのように評価してきたかを説明することができる。
2. 過去の哲学の著作を、それが書かれた歴史的背景に照らして理解することができる。
3. 現代の自然科学とは異なる成り立ちをしている過去の知識のあり方を理解するための基本的な姿勢を身につける。
授業概要(教育目的) こんにち、私たちは哲学と自然科学を異なる学問の領域と考えている。だがこの分離はつねに存在していたわけではない。それどころか哲学の誕生以来長きにわたって、自然の探求はその重要な一部分でありつづけていた。そのような探求のなかから、現在自然科学と呼ばれている知識生産のあり方も生まれてきたのである。そのため、哲学の伝統を理解するためにも、また自然科学の起源をふりかえるためにも、自然についての哲学的な探求の歴史をひもとかねばならない。そこで本授業では、古代ギリシアから近代にいたるまでの哲学・科学の歴史を検討していく。
授業計画表
 
項目内容
第1回イントロダクション:戦国日本の経験1500年代に日本を訪れたイエズス会士たちが残した書簡を検討することにより、日本と西欧世界ではまったくことなる種類の自然理解が形成されていたことをみる。
第2回哲学の成立:神話と理性古代ギリシアにおいて、いかに哲学が成立したかを、哲学以前に存在した神話との比較から考察する。
第3回哲学と民主主義新たに成立した哲学の内容が、それが営まれたポリスの政治制度といかなる関係にあったのかを検討する。
第4回アリストテレスの自然哲学古代ギリシアの哲学者アリストテレスが自然をいかに理解しようとしたかを検討する。
第5回哲学とキリスト教紀元後1世紀に成立したキリスト教が、既存の哲学とどのような関係をもったのかを検討する。
第6回ギリシア科学のアラビア語への翻訳古代ギリシアの哲学文献がアラビア語に翻訳されたのはなぜかを考察する。
第7回古代末期から初期中世の哲学ローマ崩壊以降、哲学の伝統がいかに復興をとげたかを検証する。
第8回十二世紀ルネサンスアラビア由来の哲学文献がいかに西欧流入したかを明らかにする。
第9回中世スコラ学中世の大学で成立したスコラ学とはいかなるものであったかを検討する。
第10回中世と初期近代の迫害社会中世後期にはいって成立した異端審問制度を検討する。
第11回ルネサンス、宗教改革、新大陸の発見ルネサンス、宗教改革、新大陸の発見といった出来事がいかに当時の自然理解を変えていったかを検討する。
第12回コペルニクスの新しい体系ニコラウス・コペルニクスの地動説がどのようなものであったかを解説する。
第13回ガリレオ裁判ガリレオ・ガリレイはなぜ裁かれたのだろうか。裁判の過程を追う。
第14回ガリレオの力学ガリレオ・ガリレオが提唱した新しい科学とはどのようなものであったのかを検討する。
第15回機械論哲学の成立17世紀に成立した新しい自然理解の特質を理解する。
第16回錬金術の伝統古代から初期近代にいたるまでつづいた錬金術の伝統をたどる。
第17回近代化学の誕生ラヴォアジエの新しい化学はどのように成立したのだろうか。
第18回自然誌の伝統古代から初期近代にいたるまでの自然誌の伝統を検討する。
第19回地質学の勃興17、18世紀に地球の歴史を巡る学問はどのように形成されたのだろうか。
第20回チャールズ・ダーウィンの進化論ダーウィンが進化論にいたった過程と、その理論がおよぼした影響について検討する。
第21回古代の医学古代のヒポクラテスから病院の成立にいたるまでの医学の歴史を検討する。
第22回中世の医学大学の成立、解剖のはじまりのなかで医学がどのように変容したかを検討する。
第23回近代の医学パリ学派の医学と公衆衛生学の形成を検証する。
第24回制度としての哲学・科学(1)古代から初期近代にいたるまでの学術制度を検討する。
第25回制度としての哲学・科学(2)学会、学術雑誌、専門の研究機関など、近代になってあらわれた学術制度の歴史を概観する。
第26回ジェンダーと自然哲学・科学ジェンダーと哲学・科学の関係を検討する。
第27回客観性の歴史知識は客観的なものでなければならないという考えがいかに生まれてきたかを検討する。
第28回人種の哲学・科学人種の問題が、いかに科学的認識の問題へと変形されていったかをみる
第29回科学技術社会論現代において科学・技術・社会の関係を理解するための方法としてどのようなものが提唱されているかを概観する。
第30回まとめこれまでの授業の要点を確認する。
授業形式 1. 授業はKeynoteをもちいた講義形式で行う
2. 各回の授業でリアクション・ペーパーにて理解度を測る
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 講義態度
(出席)
その他 合計
50% 30% 0% 20% 0% 100%
評価の特記事項 期末試験未受験者は成績評価の対象としない。
テキスト 橋本毅彦『〈科学の発想〉をたずねて―自然哲学から現代科学まで』左右社、2010年(定価1,749円[税込み])
関連箇所を授業システム上に掲示し、確認をもとめることがある。
参考文献 授業時に指示する。
オフィスアワー(授業相談) 本授業終了後、講師室にて20分間は対応しています。
事前学習の内容など,学生へのメッセージ 【予習】各回の授業でとりあげる資料を授業支援システム上に掲示するので、それを読んでおくこと。

【復習】各回の授業でもちいた文献を授業支援システム上に掲示するので、それを読み、理解をさらに深めること。