講義名 セクシュアリティ論 ≪□第一部≫
講義開講時期 前期
曜日・時限 火5
単位数 2

担当教員
氏名
黒岩 裕市

学習目標(到達目標) 性や身体に関して,わたしたちは「自然なもの/自然ではないもの」,「あたりまえのこと/おかしなこと」といった発想をしがちである。だが,性や身体も社会のなかで,歴史的・文化的に構築されたものである。性や身体について「あたりまえ」とされていることの前でいったん立ち止まり,その「あたりまえ」を問いなおすことがこの授業の目標である。
授業概要(教育目的) ジェンダーやセクシュアリティに関する近年の議論を紹介し,検討する。「セクシュアリティ論」がカバーする領域は非常に広いのだが,今年度は「HIV/AIDSの語られ方」,「ホモソーシャルとは何か」,「多様な性,多様な家族」という3つのテーマを設定し,それぞれ4~5回かけて講義をする(もちろん,それぞれのテーマは相互に関連しあうものである)。映像作品を用いつつ,ジェンダーやセクシュアリティについての思考を深める。

なお,受講に際しては,下記の【注意事項】を読んでから履修登録をすること。
授業計画表
 
項目内容
第1回ガイダンス授業の流れを大まかに説明する。基礎的な用語についても解説する。

【準備学習】
シラバスを読んでおくこと。特に下記の【注意事項】に目を通すこと。
第2回HIV/AIDSの語られ方①HIV/AIDSの基礎的な知識を踏まえつつ,1980年代にHIV/AIDSがどのように語られたのか,報道における「ゲイ男性」に注目しつつ考察する。

【準備学習】
第1回で配布した資料を読んでおくこと。
第3回HIV/AIDSの語られ方②1980年代にHIV/AIDSがどのように語られたのか,報道における「女性」に注目しつつ考察する。

【準備学習】
第2回の授業の内容,および,授業中に視聴した映像資料の論点を確認すること。第2回で配布した資料を読んでおくこと。
第4回HIV/AIDSの語られ方③1990年代にHIV/AIDSがどのように語られたのか,当時出版された手記等を読みつつ,「共生」や「共感」という点から考察する。

【準備学習】
第3回の授業の内容を確認すること。第3回で配布した資料を読んでおくこと。
第5回HIV/AIDSの語られ方④2000年代以降にHIV/AIDSがどのように語られているのか,映像資料を視聴し,いくつかの具体的な取り組みから考察する。

【準備学習】
第4回の授業の内容を確認すること。第4回で配布した資料を読んでおくこと。
第6回ホモソーシャルとは何か①イヴ・コゾフスキー・セジウィックの議論を手がかりに,「ホモソーシャル」に関する基本的な議論をたどる。

【準備学習】
第5回で視聴した映像資料の論点を確認すること。第5回で配布した資料を読んでおくこと。
第7回ホモソーシャルとは何か②「ミソジニー」と「ホモフォビア」を俎上にのせつつ,男性同士の友情やライバル関係を映像作品から検討しなおす。

【準備学習】
第6回の授業の内容を確認すること。第6回で配布した資料を読んでおくこと。
第8回ホモソーシャルとは何か③前回に続いて,男性同士の友情やライバル関係を映像作品から検討しなおす。ホモソーシャルの揺らぎを読み解く。

【準備学習】
第7回の授業の内容,および,授業中に視聴した映像作品の論点を確認すること。第7回で配布した資料を読んでおくこと。
第9回ホモソーシャルとは何か④男性のホモソーシャルに関する議論を整理したうえで,それとは異なる形態としての女性同士の関係性について映像作品から考察する。

【準備学習】
第8回の授業の内容,および,授業中に視聴した映像作品の論点を確認すること。第8回で配布した資料を読んでおくこと。
第10回多様な性,多様な家族①「多様な性」をめぐる基礎的な知識を踏まえつつ,トランスジェンダーと法,医療の問題を考察する。

【準備学習】
第9回で視聴した映像作品の論点を確認すること。第9回で配布した資料を読んでおくこと。
第11回多様な性,多様な家族②前回に続いて,映像資料や手記等を手がかりとしつつ,トランスジェンダーと法,医療の問題を考察する。

【準備学習】
第10回の授業の内容,および,授業中に視聴した映像資料の論点を確認すること。第10回で配布した資料を読んでおくこと。
第12回多様な性,多様な家族③同性婚や同性パートナーシップをめぐる議論をたどり,その課題について考える。最近の東京都渋谷区や世田谷区での動きをたどる。

【準備学習】
第11回の授業の内容を確認すること。第11回で配布した資料を読んでおくこと。
第13回多様な性,多様な家族④前回に続いて,同性婚や同性パートナーシップをめぐる議論をたどり,その課題について考える。ビジネスと結びつけられた形での「LGBT」の問題についても検討する。

【準備学習】
第12回の授業の内容,および,授業中に視聴した映像資料の論点を確認すること。第12回で配布した資料を読んでおくこと。
第14回多様な性,多様な家族⑤多様な家族の試みに関して,映像資料を手がかりに検討する。

【準備学習】
第13回の授業の内容を確認すること。第13回で配布した資料を読んでおくこと。
第15回まとめ授業全体のまとめを行なう。

【準備学習】
これまでに配布した資料を見なおしておくこと。
授業形式 基本的には講義形式で進める。映像資料の視聴も行なう。また,授業中に受講生の見解を述べてもらうこともある。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 講義態度
(出席)
その他 合計
90% 10% 0% 0% 0% 100%
評価の特記事項 「定期試験」(前期試験)は持ちこみ不可・論述問題。昨年度とは異なり,問題は事前に告知はしない。レポート(課題)については,授業中に説明する。
テキスト テキストは特に使用しない。授業中に資料を配布する。
参考文献 竹村和子編『“ポスト”フェミニズム』作品社,2160円.
加藤秀一・石田仁・海老原暁子『図解雑学 ジェンダー』ナツメ社,1404円.
風間孝・河口和也『同性愛と異性愛』岩波新書,821円.
ほかは授業中に紹介する。
オフィスアワー(授業相談) 授業終了後,30分程度,講師控え室にて。
メールでの相談も可能(メールアドレスは授業中に伝える)。
事前学習の内容など,学生へのメッセージ 授業で取り上げたテーマをさまざまな角度から考えてほしい。予備知識は特に必要としない。授業で用いる資料は原則的には前の週に配るので,当日までに読んでおいてほしい。

【注意事項】
授業中の私語は厳禁である。周囲の受講生に大きな迷惑となる。私語をしている受講生には,席を移動してもらう。あるいは,教室から退出してもらう。
この講義に関連した内容の情報は,ウェブ上にも多く存在する。だが,そのなかには,偏見や思い込みに基づいたものも少なくない。試験に際して,ウェブ上の情報を参照することは構わないが,自分自身がどのような内容のものを見ているかということには十分に注意すること。