講義名 国際情勢 ≪□第一部≫
講義開講時期 前期
曜日・時限 火3
単位数 2

担当教員
氏名
佐藤 高尚

学習目標(到達目標)  本講義では,国際社会において止むことのない紛争と平和をめぐる諸問題について考えてみたいと思います。その中で,特に下記の修得を目標とします。
1 国際紛争はなぜ起こるのかをグロバリゼーションとの関連で述べることができる。
2 現代紛争の実態を理解し,説明することができる。
3 地域紛争や内戦に対しどのような対応が可能なのかを解説できる。
4 紛争後の社会にどのような問題が生じるのかを把握し,説明することができる。
5 世界の相互関連が深化している現在,国際情勢・国際紛争と「私たち」との関係をとらえることができる。
授業概要(教育目的)  本講義では,国際情勢を特に紛争と平和の観点から考察してみたいと思います。
 世界で頻発する内戦は,私たちが紛争と平和を考える契機となりましたが,他方必ずしも平和をもたらす契機とはなりえていません。それがなぜなのかを考えていきたいと思います。
 その際,そうした諸問題と私たちがどのような関係やつながりを持つのかを解説・考察したいと思います。グローバリゼーションが前提視される中,「つながり」のプラスの面への考察がなされる反面,マイナスの面への考察は過少といえます。本講義では,後者の面も配慮し,紛争の原因やそれへの対応を説明していきます。
授業計画表
 
項目内容
第1回ガイダンス学習目標,授業の進め方,成績評価の仕方について説明します。また,参考文献案内をする予定です。
【準備学習】
事前にシラバスを熟読しておくこと。履修上確認しておきたい点をチェックしておくこと。
第2回国際紛争はどうとらえられてきたのか伝統的紛争観および冷戦後の紛争の異同を確認した上で,民主的平和論の功罪を検討し,現代の紛争の向き合い方を明らかにします。
【準備学習】
WWI,WWII,冷戦,イラク戦争の概要を調べておくこと。
第3回現代紛争の構造とグローバリゼーション紛争の現状と形態の変化を説明し,グローバリゼーションと紛争とがいかに結びついているのかを明らかにします。その上で,現代紛争のグローバルな構造と私たちとの関係性を検討します。
【準備学習】
ユーゴ紛争,ルワンダ紛争の概要を調べておくこと。
第4回地域機構冷戦終結と地域機構の再登場という事態を,国際紛争における地域機構の役割および政策としての地域的アプローチという観点から説明します。
【準備学習】
EU,AUが紛争に関係した事例を調べておくこと。
第5回核軍拡と核軍縮世界の核兵器の現状を抑えるとともに,核軍拡と核戦略の変遷を辿ることで,戦後の核軍縮の歩みとその現代的課題を検討します。
【準備学習】
イラン,北朝鮮の核問題の論点を確認しておくこと。
第6回人の移動と難民保護(1)「移動する人々」の実態を踏まえたうえで,人の移動はなぜ起きるのか,その原因を探るとともに,さらに長期難民状況の実態を明らかにします。
【準備学習】
ミュリエル・ジョリヴェ『移民と現代フランス ―フランスは「住めば都」か』(集英社新書,2003年)を読んでくること。
第7回人の移動と難民保護(2)移民・難民の課題について,移動する人々の脆弱性や受入国の受け取り方から問題を考察します。その上で,移動する人々の問題に対するどう向き合うべきか、どのような対応をすべきなのかを明らかにします。
【準備学習】
内藤正典『ヨーロッパとイスラーム―共生は可能か』(岩波新書,2004年)を読んでくること。
第8回テロリズムとテロ対策
 *前半のまとめを行う可能性あり
国際テロリズムの動向を抑えたうえで,テロリズムの原因およびテロ対策を説明します。
【準備学習】
9.11テロの概要を調べてくること。

*前半のまとめを行う可能性があります。
第9回紛争後選挙と選挙支援紛争後選挙の意義と課題を考察し,次にそれを支援するための具体的な取り組みを説明します。その上で,移行支援としての選挙支援のあり方を明らかにします。
【準備学習】
東ティモールとカンボジアで行われた日本による選挙支援としてどのような施策がなされたのかを調べておくこと。
第10回開発協力(1)「開発」とはなにかについて,まずはその意味内容を明らかにした上で,開発の阻害要因としての紛争の影響を説明します。さらに,貧困と紛争とがいかなる関係性を有するのかを明らかにします。
【準備学習】
「貧困の罠」「FFW」という用語の意味内容を調べておくこと。アマルティア・セン『貧困の克服』(集英社新書,2002年)を読んでくること。
第11回開発協力(2)人道支援から開発協力への移行過程を考察します。まず、人道支援としての緊急援助の内容を明らかにした上で,依存から自立への過程で取り組まれる諸施策を説明します。それらを踏まえ,平和構築のための開発の位置づけ・意義を明らかにします。
【準備学習】
「ODA」の意味内容を調べておくこと。また日本のODAの特徴を調べておくこと。アマルティア・セン『人間の安全保障』(集英社新書,2005年)を読んでくること。
第12回平和構築とジェンダー平和とジェンダーとの関係を,種々の社会を検討する中で明らかにしていきます。その上で,ジェンダー的な暴力の連鎖の実態を説明し,それを回避するための平和構築との関係を明らかにします。
【準備学習】
マララ・ユスフザイさんのノーベル平和賞受賞演説を読んでくること。
第13回NGOと市民社会NGOとはなにかをまずは押さえた上で,地域紛争においてNGOがいかなる役割を果たしているのかを説明します。さらに日本のNGOの現状と課題を明らかにします。
【準備学習】
岸谷美穂『イラクの戦場で学んだこと』(岩波ジュニア新書,2005年)を読んでくること。
第14回理解度の確認要点のまとめ
第15回まとめまとめ
授業形式 講義形式で行います。
また授業中に意見・感想を求める場合があります。
みなさんの理解度や習熟度により,弾力的に授業を運営していく予定でいます。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 講義態度
(出席)
その他 合計
70% 10% 10% 0% 10% 100%
評価の特記事項 試験では,講義内容と関連づけた論述・説明を求めます。
テキスト 特にありません。
講義用ファイルを学内ネットワークで公開します。
参考文献 適宜紹介しますが差し当たり以下を参照のこと。
ジョセフ・フランケル著『国際関係論〔新版〕』東京大学出版会,2310円.
大芝亮他編『平和政策』有斐閣,2916円.
松本仁一『カラシニコフ I』朝日文庫,648円.
松本仁一『カラシニコフ II』朝日文庫,648円.
オフィスアワー(授業相談) 講義前後,当該教室にて対応します。
事前学習の内容など,学生へのメッセージ  履修条件は特にありませんが,国際情勢に関心があり,積極的に授業に参加しうる履修者を希望します。
 新聞やインターネットを利用し,日頃からニュースをチェックしておいてください。