回 | 項目 | 内容 |
第1回 | ガイダンス | 受講上の注意点の説明および授業内容のガイダンス
【準備学習】シラバスをよく読んで,授業の概略をつかんでおいてください。 |
第2回 | フランス・バレエ小史 | 「古典」を理解するためのいくつかのヒントを講義します。
【準備学習】初回に配布した「ロマンチック・バレエ」に関するプリントをよく読んでおくこと。 |
第3回 | 至高の悲恋物語『ジゼル』と当時の観客層について | 当時の観客層である裕福な紳士たちは,バレエダンサーの生活を支えるパトロンでもありました。ロマンチック・バレエの作品の魅力と同時に,当時のバレエダンサーの社会的地位がはらんでいた問題点などについてとりあげます。
【準備学習】拙稿「パリ・オペラ座のダンサーとその観客:19 世紀の特権的アボネの『踊り子』から20 世紀の『芸術家』へ」を読んでおくこと。 |
第4回 | 19世紀前半:古典バージョンの『ジゼル』を見る | 劇中のパントマイムについて説明しながら,『ジゼル』の映像を見ていきます。
バレエ団によって,あるいは時代によって若干バージョンが異なっていることにも注目して下さい。
【準備学習】『バレエの魅惑』内「ジゼル」の項目を読んでおくこと。なお,『バレエの魅惑』は絶版となりましたが,学部図書館の指定図書コーナーで閲覧可能です。 |
第5回 | 19世紀後半:クラシック(古典)バレエの『白鳥の湖』 | 様々なバレエ団の様々なバージョンの『白鳥の湖』を比較します。マザコンの王子様からゲイの王子様まで,主人公の王子様の演出・解釈にはいろいろあります。単純な「おとぎ話」に基づく古典だからこそ,様々な演出,様々な解釈が可能になるのです。
【準備学習】『バレエの魅惑』内「白鳥の湖」の項目を読んでおくこと。 |
第6回 | モダニズムの時代の絵画:モンドリアンの『コンポジション』からピカソまで | 20世紀のバレエについて理解するには,20世紀のアートの分野で「モダニズム」がどのように成立したのかについても知っておく必要があります。美術史の流れをざっとおさらいし,抽象絵画とよばれるものが生まれた経緯をたどります。
【準備学習】図書館(大型本のコーナー)で,モンドリアン及びカンディンスキーの絵画を探して,見ておくこと。 |
第7回 | モダニズムの時代のダンス(その1) | デザイナーのシャネルが衣装を担当したり,画家のピカソが舞台装置を作ったりしたディアギレフのロシア・バレエ団と,ニジンスキーという神話的ダンサーについて,2回にわたってとりあげます。
【準備学習】『バレエの魅惑』内「ニジンスキー」「ストラヴィンスキー」の項目を読んでおくこと。
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第8回 | モダニズムの時代のダンス(その2) | バレエ音楽というと,「伴奏」のように受け止められがちですが,今日でもコンサートで独立して演奏される機会も多いストラヴィンスキー作曲『春の祭典』(ニジンスキーの振付)は,20世紀のモダニズムを語る上で欠かすことができません。振付の点でも,音楽の上でも,当時大スキャンダルを巻き起こした名作を中心に分析します。
【準備学習】公共図書館などでストラヴィンスキーの『春の祭典』を聞いておいてください。 |
第9回 | ダンスにおけるモダンとは何か | カニンガム,フォーサイスそれぞれのコンピュータとの出会いについてとりあげます。なお,フォーサイスについては,「モダン」というよりもバレエを「脱構築」した「ポストモダンなダンス」と呼ぶ方がふさわしいでしょう。
【準備学習】拙稿「振付とコンピュータ : カニンガムとフォーサイス」「身体の記憶とテクスト : 舞台芸術作品の継承とそのメディアについて」「舞踊記譜の歴史」に目を通しておくこと。 |
第10回 | 古典の読み直し | すでに授業で取り上げた古典版と比較しながら、マッツ・エックが読み直した現代版『ジゼル』を分析します。また,イギリス王室のダイアナ妃の悲劇として読み替えたオーストラリア・バレエ団の『白鳥の湖』や,全ての白鳥を男性が力強く演じるマシュー・ボーンの『白鳥の湖』など,様々な古典の読み直しを紹介します。
【準備学習】様々なバージョンの相違についてはプリントを配布するので,読んでおくこと。 |
第11回 | シルヴィ・ギエムとウラジーミル・マラーホフ | クラシック(古典)バレエにおける身体とその表象の「革命」を起こした,といわれる2人のダンサーについてとりあげます。特にギエムの四肢の可動域の広さには,バレエに特に関心のないスポーツ選手でも圧倒されています。
【準備学習】「動体視力」「可動域」などの用語についてあらかじめ調べておいてください。 |
第12回 | 男性の裸体が「芸術」になる時 | 「逆セクハラ」か,それともセクシュアリティの追求なのか。女性の裸体は見慣れていても,男性の裸体が芸術として,あるいはポルノグラフィとして,舞台や写真芸術の中で取り上げられていると,日本の多くの学生は戸惑うようです。まずは美的体験の一環として,男性の身体を鑑賞の対象として見ることに慣れていきましょう。
【準備学習】拙稿「A study on Diverse Sexuality Represented in Contemporary Dance Choreography in France」に目を通しておいてください。 |
第13回 | ピナ・バウシュという衝撃 | これは演劇なのか,それともダンスなのか?という大きな議論を巻き起こしたピナのタンツ・テアターをとりあげます。物語のないスケッチの連続に,「古典」を見慣れた観客はとまどうようですが,むしろドイツの本拠地では,「吉本興業のお笑いを見に行く」ような気軽さで作品を楽しんでいることもお知らせしておきましょう。
【準備学習】拙稿「ピナ・バウシュの〈神経症的身体〉と〈みっともない身体〉」を読んでおいてください。 |
第14回 | 理解度の確認 | 授業の内容に関する問いに答えていただく他,800字の論文レポートを書いていただきます。
【準備学習】授業内容を簡潔にまとめておきましょう。 |
第15回 | まとめ | まとめ |