講義名 経済史　≪□第一部≫
講義開講時期 通年
曜日･時限 水２
単位数 4

担当教員
氏名
山下　雄司

学習目標(到達目標) 1.現在の私たちの社会生活や経済の原点を経済史的視点でとらえることができる。
2.社会経済的な視点から「産業革命とは何か」、「なぜイギリスで最初に起きたのか」説明できる。
3.イギリスの社会構造の特徴とそれらが社会経済に及ぼした影響を説明できる。
4.農村と都市の特徴，商業と金融の初期の発展を説明できる。
5.産業革命に至るイギリスを取り巻く国際関係や貿易構造を説明できる。
6.イギリス型経済システムの特徴について説明できる。
7.後発国（独・米・日）の産業革命および経済発展の特徴について説明できる。
授業概要(教育目的) 本講義では，私たちが生活する資本主義世界に対する分析や理解を深めるために，資本主義に先行する時代の経済活動や人々の生活から資本主義がどのように生成，発展，変容してきたのかを主に前期に解説する。後期は，産業革命以降を対象に、産業革命の世界への波及を見た後，イギリスを中心とした自由貿易体制の形成とその意義，欧米諸国の台頭とそれらの経済構造の特徴，そして同時期の日本の近代化を考察することで，各国を相対化し把握することを可能にする。以上から，歴史を学ぶことを通じて現代の多様な国際関係や経済構造の形成要因を読み解く力を養うことを目標とする。
授業計画表
 
回項目内容
第1回ガイダンス経済史を学ぶ目的と成績評価方法について解説する。
【準備学習】
シラバスを熟読しておくこと。
第2回経済史の枠組み経済史の課題・対象・方法について解説する。
【準備学習】
高校までの歴史科目が，何を中心に語ってきたか考えておくこと。
第3回社会経済的変化とは何か１荘園制・村落共同体の構造変化が人々の生活をどのように変えたか，事例を用いて明らかにする。
【準備学習】
イギリス料理とは具体的に何か調べておくこと。
第4回社会経済的変化とは何か２　都市を中心とした産業社会の誕生や技術革新が，人々の生活をどのように変えたのか，事例を用いて明らかにする。
【準備学習】
講義３回目を復習しておくこと。
第5回イギリスの社会構造１アッパークラスの特徴と，彼らが経済に及ぼした影響について解説する。
【準備学習】
アッパークラスとは何か，調べておくこと。
第6回イギリスの社会構造２教育制度と経済の関係について，半産業主義の温床となったパブリックスクールを対象に解説する。
【準備学習】
講義５回目を復習しておくこと。
第7回イギリスの社会構造３ミドルクラス・ワーキングクラスの特徴と彼らが経済に及ぼした影響について解説する。
【準備学習】
ミドルクラスとは何か，調べておくこと。
第8回イギリスの社会構造４社会上昇を可能とした流動的な社会構造と，都市生活に特徴的な文化，環境・衛生問題，救貧問題について解説する。
【準備学習】
講義７回目を復習しておくこと。
第9回封建制から資本主義への移行１商業革命の影響と奴隷貿易の実態について解説する。
【準備学習】
奴隷とは何か，事前に調べておくこと。
第10回封建制から資本主義への移行２スペインとオランダを事例に，両国の発展と衰退から重商主義の限界を解説する。
【準備学習】
講義９回目を復習しておくこと。
第11回封建制から資本主義への移行３農業の資本主義化，農村と都市の対抗・協調関係を，村落共同体や都市ギルドの変容を中心に解説する。
【準備学習】
講義３，４回目を復習しておくこと。
第12回封建制から資本主義への移行４産業化と近代化の相違について解説する。
【準備学習】
近代化の意味を調べ、身の回りで近代化が進んでいない事例を探しておくこと。
第13回イギリス産業革命産業革命・機械制工業が進展した経緯や背景を解説する。
【準備学習】
高校までの歴史科目で「産業革命」がどのように説明されていたのか調べておくこと。
第14回産業革命に関する理解度の確認動画を鑑賞し，設問に解答する。
【準備学習】
講義１３回目を復習しておくこと。
第15回中間のまとめまとめ
第16回ガイダンス
経済史を学ぶ目的と成績評価方法
【準備学習】
シラバスを熟読しておくこと。
第17回産業革命の社会経済的意義
経済史Ⅰの概観とポイントを解説する。
【準備学習】
テキスト①，②の該当箇所を読み，産業革命とは何か説明できるようにしておくこと。
第18回ヨーロッパ諸国の産業革命１ドイツ・フランスを中心に鉄道・綿産業・銀行の果たした役割を解説する。
【準備学習】
イギリスとの相違に注目すること。
第19回ヨーロッパ諸国の産業革命２映像資料を基にヨーロッパ諸国とイギリスの工業化の相違について，設問に答える。
【準備学習】
講義２，３回目を復習しておくこと。
第20回自由貿易体制と世界市場１イギリス型経済システムを支えた自由貿易政策と世界貿易の発展を解説する。
【準備学習】
講義３，４回目を復習しておくこと。
第21回自由貿易体制と世界市場２
イギリス型経済システムを支えた海外への資本輸出と金融業の発展について解説する。
【準備学習】
図表・統計資料の海外投資部分を予習しておくこと。
第22回自由貿易体制と世界市場３イギリス型経済システムを支えた中小企業の優位について解説する。
【準備学習】
講義５，６回目を復習しておくこと。
第23回アメリカとドイツの台頭１研究開発機関の誕生，新産業の発展の背景について解説する。
【準備学習】
講義３，４回目を復習し，イギリスとの工業化が相違を可能にしておくこと。
第24回アメリカとドイツの台頭２株式会社化，大企業化，独占について解説する。
【準備学習】
講義６，７回目を復習し，イギリスとの比較を可能にすること。
第25回ヨーロッパ列強諸国の海外進出植民地化の進展と帝国主義について解説する。
【準備学習】
図表・統計資料から該当時期の状況を把握しておくこと。
第26回幕末期日本の経済構造の変容自由貿易体制への編入が，日本の在来産業に及ぼした影響について解説する。
【準備学習】
図表・統計資料から該当時期の世界と日本の経済状況について比較しておくこと。
第27回日本の産業革命と近代化１技術移転の基礎理論と人的資源を創出する教育機関の役割を解説する。
【準備学習】
講義１１回目を復習しておくこと。
第28回日本の産業革命と近代化２動画資料を見て、設問に回答する。
【準備学習】
講義１２回目を復習しておくこと。
第29回日本の産業革命と近代化３日本の産業革命の特徴と関連する諸議論について解説する。
【準備学習】
後発国型のキャッチアップ型工業化について復習しておくこと。
第30回まとめ16回以降のまとめ
授業形式 講義はサブノート・配布資料をもとに，板書，プレゼンテーション，映像の鑑賞（リアクションペーパーの提出）といったサイクルで進める。全講義を通じて使用する図表や統計をまとめた資料集をエコリンクからダウンロードしておくこと。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 講義態度
（出席） 		その他 合計
60% 20% 0% 20% 0% 100%
評価の特記事項 リアクションペーパー（動画鑑賞時の質問への回答，感想）の提出を求めます。
テキスト テキストの各章を進めていくわけではありません。
各自必要な箇所を下記の参考文献で参照してください。
参考文献 ①堺憲一『あなたが歴史と出会うとき』名古屋大学出版会，2520円．
②川北稔『イギリス近代史講義』講談社現代新書，798円．
③ハイルブローナー＆ミルバーグ『経済社会の形成』ピエソンエデュケーション，2730円．
オフィスアワー(授業相談) 水曜３限。初回講義で伝えるメールアドレスを利用して事前に日時を決めておくこと。日時の相談は講義終了後でも良い。
事前学習の内容など，学生へのメッセージ 講義内で紹介する参考文献を読むこと，キーワードについて事前に調べてあることを前提として講義を進めます。なお，講義の進め方，評価方法の詳細は初回講義でお話ししますので「必ず」参加してください。