講義名 ロシア・東欧経済論 ≪□第一部≫
講義開講時期 通年
曜日・時限 火5
単位数 4

担当教員
氏名
栖原 学

学習目標(到達目標) 履修者が,ロシア(旧ソ連)・東欧地域の経済の過去と現状を知り,さらに将来展望を語ることができるようになることが目標です。すなわち具体的には,
1.これらの諸国が過去において採用した計画経済システムとその失敗の原因について究明する,
2.これらの諸国における市場経済システムへの転換の実情についての知識を得る,
3.ロシア(旧ソ連)・東欧諸国の地域的な特性を知り,それが市場経済への転換の成否とどのように関係しているかについて考察する,
4.以上の課題を経済学の考え方や概念を使ってきちんと説明できるようになる,
ことが目標です。
授業概要(教育目的) 本講義では,ロシア(旧ソ連)・東欧経済の過去,現状そして将来展望を解説する。この地域は1990年頃にそれまでの社会主義体制を放棄し,経済的には計画経済から市場経済へと転換を開始した諸国である。したがって講義では,なぜ計画経済を放棄し,市場経済化を開始したか,その現状はどのようなものであるのかを中心に講義を進める。この地域は,地理的にも心理的にも日本から遠い地域であるので,この地域の特性を紹介しながらわかりやすい授業を心掛ける。この地域の経済を学ぶことによって,履修者に世界経済の変動の実態を知ってもらい,また経済学の基本的な考え方を再確認してもらうことを目的とする。
授業計画表
 
項目内容
第1回はじめにロシア・東欧諸国は,地理的にも心理的にもわれわれにとって遠い地域です。そのようなロシア・東欧諸国の経済をわれわれが学ぶ意味について考えてみます。
第2回西欧文明の起源と拡大ロシア・東欧諸国の市場経済化を,西欧文明の起源と拡大という歴史的文脈の中に位置づけ,その意味を解説します。
【準備学習】
第1回目の授業で配布した資料等を読んでおくこと。
第3回旧ソ連諸国のプロフィールロシアをはじめとする旧ソ連15カ国のプロフィールを簡単に説明します。
【準備学習】
第2回目の授業で配布した資料等を読んでおくこと。
第4回東欧諸国のプロフィールポーランドなど東欧に含まれる13(14)の諸国のプロフィールを簡単に説明します。
【準備学習】
第3回目の授業で配布した資料等を読んでおくこと。
第5回社会主義とは?資本主義の誕生と並行して生まれた社会主義思想と,その一つの流れであるマルクスの思想を解説します。
【準備学習】
第4回目の授業で配布した資料等を読んでおくこと。
第6回社会主義経済の仕組み基本的にマルクスの社会主義思想を現実の経済体制とした社会主義経済体制の仕組みを紹介します。
【準備学習】
第5回目の授業で配布した資料等を読んでおくこと。
第7回社会主義諸国の経済実績ソ連をはじめとする社会主義諸国がどのような経済実績をあげたか,つまり当初の成功とその後の停滞の様子をデータを使いながら解説いたします。
【準備学習】
第6回目の授業で配布した資料等を読んでおくこと。
第8回社会主義諸国の経済改革停滞傾向の著しくなった社会主義諸国で行われた経済改革の方向性と具体的内容を説明します。
【準備学習】
第7回目の授業で配布した資料等を読んでおくこと。
第9回社会主義体制の崩壊(1)当初は社会主義体制を再生するために行われ,結局のところそれを崩壊させるにいたったソ連のペレストロイカと呼ばれた改革を紹介します。
【準備学習】
第8回目の授業で配布した資料等を読んでおくこと。
第10回社会主義体制の崩壊(2)社会主義体制が究極的に失敗した原因について,私の考えを説明します。
【準備学習】
第9回目の授業で配布した資料等を読んでおくこと。
第11回体制転換の開始1990年前後にソ連・東欧諸国でほぼ時を同じくして始まった体制転換,とりわけ社会主義経済から市場経済への経済体制転換の様子を解説します。
【準備学習】
第10回目の授業で配布した資料等を読んでおくこと。
第12回「ショック療法」一般に「ショック療法」と呼ばれ,その後の旧ソ連・東欧諸国の経済に大きな影響を与えた市場経済化のための基本方針を説明します。
【準備学習】
第11回目の授業で配布した資料等を読んでおくこと。
第13回経済の自由化「ショック療法」の一つの柱であった経済自由化の諸政策,とりわけ価格や対外経済活動の自由化について説明します。
【準備学習】
第12回目の授業で配布した資料等を読んでおくこと。
第14回マクロ経済の安定化「ショック療法」の一つの柱であった経済安定化,すなわち物価安定のための緊縮的財政金融政策について解説します。
【準備学習】
第13回目の授業で配布した資料等を読んでおくこと。
第15回中間のまとめ前期に学んだことを総括し,後期の授業内容を展望します。
第1回目から第14回目の授業の資料等を読んでおくこと。
第16回マクロ経済実績(1)体制転換によって生じた経済的変化を,マクロ経済実績をみることによって明らかにします。この時間では特に,生産の動向をとりあげ,なぜ急激な生産の低下が生じたのかを考えます。
【準備学習】
第15回目の授業で配布した資料等を読んでおくこと。
第17回マクロ経済実績(2)体制転換プロセスにおける大きな特徴の一つは,ハイパーインフレーション,すなわち物価のきわめて急激な上昇でした。この物価上昇の具体的な様子とその原因を解説します。
【準備学習】
第16回目の授業で配布した資料等を読んでおくこと。
第18回マクロ経済実績(3)ロシア・東欧諸国に生じた失業を中心に,体制転換によって生じた雇用と産業構造の変化について説明します。
【準備学習】
第17回目の授業で配布した資料等を読んでおくこと。
第19回国営企業の民営化(1)「ショック療法」の第三の柱は,旧国営企業の速やかな民営化でした。民営化についての最初の授業であるここでは,一般的に民営化とはどのようなものであるかを説明します。
【準備学習】
第18回目の授業で配布した資料等を読んでおくこと。
第20回国営企業の民営化(2)ロシア・東欧諸国における民営化においては,これらの国々がかつて社会主義経済であったがゆえの困難な問題がありました。それらを克服するためにどのような方法がとられたのかを解説します。
【準備学習】
第19回目の授業で配布した資料等を読んでおくこと。
第21回国営企業の民営化(3)ロシア・東欧諸国で行われた民営化は,これらの国々の企業と経済にとってどのような結果をもたらしのか,つまり民営化の帰結を解説します。
【準備学習】
第20回目の授業で配布した資料等を読んでおくこと。
第22回ロシア・東欧諸国の財政社会主義経済体制から市場経済体制への転換に伴う国家財政の変化について説明します。
【準備学習】
第21回目の授業で配布した資料等を読んでおくこと。
第23回ロシア・東欧諸国の金融社会主義経済体制においては極小化されていた金融の役割が,市場経済化によってどのように変化したか,またそれに伴う問題点は何か,について解説します。
【準備学習】
第22回目の授業で配布した資料等を読んでおくこと。
第24回ロシア・東欧諸国の対外経済関係(1)社会主義時代のいわゆるコメコン体制から,市場経済化の時代を迎えて大きく変化した対外経済関係を,貿易など経常収支の側面から説明します。
【準備学習】
第23回目の授業で配布した資料等を読んでおくこと。
第25回ロシア・東欧諸国の対外経済関係(2)対外経済関係の中でも,直接投資や証券投資の動向など,資本収支の変化などについて説明します。
【準備学習】
第24回目の授業で配布した資料等を読んでおくこと。
第26回市場と国家ロシア・東欧諸国の市場経済転換において,市場と国家の関係はどのようにとらえられたのか,また市場と国家との関係にどのような問題が生じたのかを説明します。
【準儀学習】
第25回目の授業で配布した資料等を読んでおくこと。
第27回世界同時不況とロシア・東欧経済(1)2008年9月のリーマンショック以後の世界同時不況は,ロシア・東欧諸国にも大きな影響を与えています。特に金融の側面から,どのような影響があったのかを調べます。
【準備学習】
第26回目の授業で配布した資料等を読んでおくこと。
第28回世界同時不況とロシア・東欧経済(2)世界同時不況の影響を,特にロシア・東欧諸国がこうむった貿易などの実物面を中心に考えます。
【準備学習】
第27回目の授業で配布した資料等を読んでおくこと。
第29回理解度の確認第16回以降の授業の要点をまとめ,理解度を確認します。
【準備学習】
第16回目から第28回目までの資料等を読んでおくこと。
第30回まとめまとめ
授業形式 講義主体です。関係資料,最新のデータをできるだけ多く配布します。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 講義態度
(出席)
その他 合計
60% 10% 0% 30% 0% 100%
テキスト 特に使用しない。
参考文献 マリー・ラヴィーニュ著『移行の経済学』日本経済評論社,3800円.
大津定美他著『ロシア・東欧経済論』ミネルヴァ書房,3200円.
オフィスアワー(授業相談) 毎週月曜日12:10-12:40には研究室にいます。事前にアポイントをとり,研究室に来てください。