講義名 国際金融論 ≪□第一部≫
講義開講時期 通年
曜日・時限 水2
単位数 4

担当教員
氏名
南 雅一郎

学習目標(到達目標) 経済学の基礎をふまえて、国際金融をめぐる理論的な枠組みと政策的なインプリケーションについて学習すると同時に、変貌する国際金融システムの実態を金融グローバル化の動向をふまえて検討する。
授業概要(教育目的) 国際金融をめぐる基本的な理論を体系的に講義し、それらを前提とした政策的示唆を考察させることで、学生が国際金融をめぐるカレント・イシューについて身近に感じられるようになり、そうした問題をどのように考えるべきかを自ら検討できるようにする。
授業計画表
 
項目内容
第1回国際金融論とはどのような学問か授業で学習する内容を簡単に解説すると同時に、講義の進め方等について説明する。
第2回異時点間の貿易と国際金融貿易の一般均衡モデルと異時点間の貿易モデルについて簡単に説明し、それとの関連において、国際金融と対外ファイナンスの役割について概説する。
[準備学習]
ミクロ経済学で学習した無差別曲線等について復習しておくことが望ましい。
第3回国民所得と国際収支GDP、貯蓄、投資などについて復習しながら国民経済計算に関する基本的な事項を確認し、対外経済関係をみる上で重要な国際収支表について説明する。
[準備学習]
マクロ経済学の基礎で学習するGDP等について復習しておくこと(マクロ経済学の未履修者も、できれば基礎テキストなどをみておくことが望ましい)。
第4回アメリカ、中国、日本の国際収支と貯蓄・投資バランス貯蓄・投資バランスと国際収支の関係について解説し、アメリカ、中国、日本の国際収支の推移について実体経済の動向と関連させながら検討する。
[準備学習]
マクロ経済学履修者はISバランスと対外収支の関係について確認しておくこと。
第5回対外不均衡の政治経済学第2次世界大戦以降~現代に至るグローバルなインバランスに関する議論を、体系的・網羅的に整理・検討する。
[準備学習]
配布される予定の資料等に目を通しておくこと。
第6回国際収支と弾力性アプローチ国際収支の推移を「弾力性アプローチ」に基づいて検討し、Jカーブ効果、逆Jカーブ効果、マーシャル・ラーナー条件等について学習する。
[準備学習]
ミクロ経済学で学習した弾力性について復習しておくこと。
第7回国際金融市場の構造現代の国際金融市場・資本市場について説明する。とりわけ外国為替市場に関して、詳細かつ具体的に解説する。時間があれば実際のFX取引について概観する。
第8回金融の役割と金融政策日銀当座預金と中央銀行のバランスシート、短期金利、マネーサプライ等について概説し、金融政策の効果に関するマクロ経済学の枠組みをreviewする。
[準備学習]
マクロ経済学で学習した金融政策の基礎について確認しておくことが望ましい。未履修者は金融政策に関する基礎的な知識を高校の政治経済のテキスト等を利用して確認しておくこと。
第9回貨幣需給、利子率、為替レート貨幣需給、金利水準、内外金融資産の期待収益率、為替レートなどの関係について検討する。
[準備学習]
第8回の授業内容をまとめておくこと。
第10回短期の為替レート決定メカニズム貨幣需給、金利、為替レートの関係と期待収益率の差異にリスク・プレミアムを導入し、短期の為替レートの決定メカニズムについて検討する。
[準備学習]
第9回の授業内容をまとめ、整理しておくこと。
第11回物価水準と長期の為替レート決定メカニズム物価水準と為替レートとの関係について検討し、購買力平価、マネタリー・アプローチ等について学習する。
第12回短期における所得水準の決定と為替レート前講義をふまえて、短期の所得水準の決定プロセスについて、特に対外収支を中心に据えて学習する。
[準備学習]
第9-10回の授業内容をまとめ、整理しておくこと。
第13回長期における所得水準の決定と為替レート前講義をふまえて、長期の所得水準の決定プロセスについて、特に対外収支を中心に据えて学習する。
[準備学習]
第11回及び第12回の授業内容をまとめ、整理しておくこと。
第14回理解度の確認前期の授業について、学生の理解を深めるためのreveiwを行う。
[準備学習]
これまでの授業内容についてノートや配布資料等を確認し、整理・検討しておくこと。また質問があれば端的にまとめておくこと。
第15回中間のまとめ
第16回為替制度選択と財政・金融政策変動相場制、固定相場制、カレンシーボード、アジャスタブル・ペッグ、クローリング・ペッグ等、為替制度について比較検討し、為替制度の選択によって財政・金融政策の経済効果が異なることについて概説する。
[準備学習]
当該部分に関する基礎的な知識をネットやテキスト等で簡単にみておくこと。
第17回資本移動自由化と財政・金融政策対外的な資本移動を自由化し、内外の金融資産の代替性を考慮した場合の財政・金融政策の経済効果について学習する。
[準備学習]
マクロ経済学を履修した学生は財政・金融政策について当該テキストを確認しておくことが望ましい。
第18回資本移動規制と財政・金融政策対外的な資本移動規制を実施し、内外の金融資産の代替性を低下させたときの財政・金融政策の経済効果について学習する。
[準備学習]
第17回の授業の内容をきちんと復習しておくことが、当該授業の理解を深めるので留意すること。
第19回外国為替介入と為替管理の政治経済学外国為替介入の経済効果について学習し、実際の為替政策がどのように管理・運営されているかを検討する。
[準備学習]
第8-10回の授業内容を復習しておくことが望ましい。
第20回マクロ経済政策の協調と為替制度貿易や資本取引で結びついている各国間の政策協調メカニズムと経済効果について検討する。
第21回国際金融システムの歴史的展開(その1)パックス・ブリタニカとポンド体制~IMF・GATT体制と金・ドル本位制~ニクソン・ショック前後までを通史的にみる。
[準備学習]
国際金融システムの歴史について高校の政治経済の教科書、国際金融のテキスト等から確認しておくことが望ましい。
第22回国際金融システムの歴史的展開(その2)ニクソン・ショック後~変動相場制の採用~ジャパン・マネーの内幕と後退~累積債務問題~通貨危機~21世紀のグローバル・マネーと国際金融システムの動揺までを通史的に検討する。
[準備学習]
第21回の講義内容及びその後の国際金融システムの変遷について高校の政治経済の教科書、国際金融のテキスト等から確認しておくことが望ましい。
第23回新興市場の勃興と通貨危機(その1)ポンド危機やアジア通貨危機といった具体的な事例を整理し、通貨危機の実態について具体的に解説する。
[準備学習]
これまでにあった通貨危機について簡単に調べておくこと。
第24回新興市場の勃興と通貨危機(その2)通貨危機のメカニズムについて学習し、前講義において解説した実際の通貨危機について、それぞれどのように考えるべきか検討する。
[準備学習]
第23回の授業内容について確認しておくこと。
第25回為替リスク管理と金融派生商品商社、銀行、証券会社、その他企業における具体的な為替リスク管理の手法について解説し、スワップ、オプション、フォワードといった金融商品の基礎的な仕組みについて検討する。
第26回国際金融のカレント・イシュー(その1)ここ数年、国際金融をめぐり議論されている諸問題について、文献・データ等を提示しながら解説する。具体的なテーマについては授業内で提示する。
[準備学習]
事前に配布された資料をみておくこと。また、新聞・雑誌等もしくはネットで時事的な出来事について確認しておくことが望ましい。
第27回国際金融のカレント・イシュー(その2)ここ数年、国際金融をめぐり議論されている諸問題について、文献・データ等を提示しながら解説する。具体的なテーマについては授業内で提示する。
[準備学習]
事前に配布された資料をみておくこと。また、新聞・雑誌等もしくはネットで時事的な出来事についてみておくことが望ましい。
第28回国際金融のカレント・イシュー(その3)ここ数年、国際金融をめぐり議論されている諸問題について、文献・データ等を提示しながら解説する。具体的なテーマについては授業内で提示する。
[準備学習]
事前に配布された資料をみておくこと。また、新聞・雑誌等もしくはネットで時事的な出来事についてみておくことが望ましい。
第29回理解度の確認後期の授業について、学生の理解を深めるためのreveiwを行う。
[準備学習]
これまでの授業内容についてノートや配布資料等を確認し、整理・検討しておくこと。また質問があれば端的にまとめておくこと。
第30回期末のまとめ
授業形式 基本的には講義形式だが、学生数によって、多少なりとも学生参加型の授業(パワーポイント作成による発表もしくはディベートなど)も検討する。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 講義態度
(出席)
その他 合計
50% 10% 30% 10% 0% 100%
評価の特記事項 定期試験は小テスト(中間試験30%)、期末(50%)程度とする。簡単なメモ程度のレポートなどを求めることがある(10%)。出席点は単純に10%x(出席数(もしくは出欠確認回数)/講義回数)。
テキスト 特に指定しないが。授業内で指示することがある。
参考文献 授業内で適時、指定・指示する。
オフィスアワー(授業相談) 授業終了後12:10~13:00。もしくは授業前の1限の時間。いずれも時間がかかる場合は要アポとする。
事前学習の内容など,学生へのメッセージ 私語厳禁。場合によっては退出を求める。関連する国際経済系の科目を合わせて履修することで理解が深まると考える。不明な点は自身の責任において担当教員に聞くこと。