講義名 公共経済学 ≪□第一部≫
講義開講時期 通年
曜日・時限 月2
単位数 4

担当教員
氏名
中川 雅之

学習目標(到達目標) 日常生活を送る上で,政府や地方公共団体を抜きにした生活を送ることはほぼ不可能なほど,現代社会において公共部門の存在は大きくなっています。将来公務員となって政策の企画立案に携わる方だけでなく,納税者として税が効率的に使われているかどうかは重大な関心事でしょう。この講義では,都市生活を舞台に,なぜ公共部門が様々な経済活動に関与しているのか,望ましい公共部門というのはどういうものなのかを,皆さんと一緒になって探っていきます。
授業概要(教育目的) なぜ公共部門が必要なのかを理解し、どのような市場経済への介入が正当化されるのかをミクロ経済学を応用して理論的に理解することを進めます。その上で、現実に行われている政策について評価を行うことで、政策の企画立案者、評価者としてのスキル、視点を育成します。
授業計画表
 
項目内容
第1回1 市場は本当に好ましい状態を実現するか?

・ガイダンス+オークションゲーム
第2回2 政府はなぜ存在するのか?・公共財ゲーム
第3回3 市場はなぜ最適な資源配分を実現するか ・厚生経済学の第1定理
 パレート基準などの解説
第4回3-2 市場はなぜ最適な資源配分を実現するか ・厚生経済学の第1定理(続き)
 消費者にとっての最適性の解説
第5回3-3 市場はなぜ最適な資源配分を実現するか ・厚生経済学の第1定理(続き)
 生産者にとっての最適性の解説
第6回4 外部性とその解決
・環境問題を例に外部不経済の説明
第7回4-2 外部性とその解決 ・コースの定理と規制による外部性の解決の比較
第8回4-3 外部性とその解決 ・規制とピグー税による外部性の解決の比較
第9回5 情報の非対称性

・情報の非対称性とは?そしてそれは何をもたらすか?(逆選択)
.耐震性能偽装事件
第10回5-2 情報の非対称性

・シグナリング、自己選択等、情報の非対称性の解決 方法の解説
第11回5-3 情報の非対称性・耐震性能偽装事件とは何だったのか?
第12回6 再分配政策・なぜ所得再分配が必要なのか?
第13回6-2 再分配政策・どのような所得再分配が望ましいのか?(社会厚生 関数の解説)
第14回6-3 再分配政策・日本ではどのような所得再分配が行われているの  か?
第15回7 公共財の供給・公共財とは何か?
第16回7-2 公共財の供給・最適な公共財の供給条件(サミュエルソン条件)
第17回7-3 公共財の供給・市場では公共財は供給できないのか?
第18回7-4 公共財の供給・新しい公共財供給手法(リンダールメカニズム)
第19回8 どうやって政府を統制するか?・日本ではどうやって公共財の供給が決められている のか?
第20回8-2 どうやって政府を統制するか?・政治的な過程はどのような公共財供給をもたらす  か?(中位投票者定理)
第21回8-3 どうやって政府を統制するか?・政治的な過程は最適な公共財供給を達成するか?(ボーエンのメカニズム)
第22回8―4 どうやって政府を統制するか?・現実に好ましい公共財供給を行うためのスキル(NPM)
第23回8-5 どうやって政府を統制するか?・現実に好ましい公共財供給を行うためのスキル(費用便益分析)
第24回8-6 どうやって政府を統制するか?・現実に好ましい公共財供給を行うためのスキル(実験的手法)
第25回9 地方分権・なぜ地方分権が必要か?(分権化定理)
第26回9-2 地方分権・日本ではどのような地方分権改革が行われてきたか?
第27回9-3 地方分権・なんでもかんでも分権化していいのか?(財政外部性)
第28回9-4 地方分権・少子高齢時代の地方分権政策
第29回10 東日本大震災からの復興・東日本大震災の復興政策のケーススタディ
第30回11 まとめ・まとめ
授業形式 初回にゲームを取り入れた講義を行いますが、そのほかは通常の講義形式です。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 講義態度
(出席)
その他 合計
70% 30% 0% 0% 0% 100%
評価の特記事項 夏休みにレポート課題を出します。それと学年末の試験で評価を行います。
テキスト 中川雅之「公共経済学と都市政策」日本評論社,2800円
参考文献 土居丈「入門公共経済学」日本評論社,2940 円.
宮尾尊弘「現代都市経済学」日本評論社,3045 円.
瀧澤弘和、小澤太郎、塚原康博、中川雅之、前田章、山下一仁「経済政策論」慶応大学出版会、3200円+税
オフィスアワー(授業相談) 火曜第2限