講義名 労使関係論 ≪□第一部≫
講義開講時期 通年
曜日・時限 水2
単位数 4

担当教員
氏名
木暮 雅夫

学習目標(到達目標) 労使関係論は、雇用関係を通じて生み出される様々な問題を多面的にとらえる学問です。その多岐にわたる問題を集団的な労使関係と個別的な労使関係とに分けて、以下のような目標のもとに講義を進めていきます。
1.労使関係の本質的な問題を大まかに理解できる。
2.賃金制度の基本的理解を通じ、賃金と労働の関係を歴史的変遷から説明できる。
3.日本の労働組合の特徴を理解し、労働組合の役割を説明できる。
4.日本的雇用慣行を理解し、その特徴を説明できる。
5.日本の労働時間の問題を理解し、その解決策を提案できる。
授業概要(教育目的) 現代日本の労使関係は、実態的には個別的労使関係が中心をなすようになってきています。すなわち、日本の労働組合の主流が企業別労働組合の殻からなかなか脱却できないままであるのに対し、多くの労働者の労働条件はますます労働組合の影響力の及ばないところで決定されるようになっています。
 この講義では、労使関係論の制度的アプローチよりもむしろ実証的・分析的アプローチを重視し、職場内外の労働条件のうち、第1部賃金、第2部雇用、第3部労働時間の問題点がどこにあり、どのような議論があるのかを学び、解決策を考える糸口とします。
授業計画表
 
項目内容
第1回労使関係論の講義概要講義の概要と受講上の諸注意を説明する。
第2回労使関係とは何か労使関係と労資関係を対比して、労使関係論の本質的な問題を紹介する。

【準備学習】EcoLinkから配布資料をダウンロードし、よく読んでおくこと。
第3回労使関係論から雇用関係論へ労使関係の体系的な全体像を概説し、広大な問題領域を俯瞰しながら、労使関係論の概説をする。

【準備学習】EcoLinkから配布資料をダウンロードし、よく読んでおくこと。前回休んだ者は、第2回の配布資料にも目を通しておくこと。
第4回賃金とは(1)賃金の本質と現象形態の違い、様々な賃金決定論の理解を通じて、賃金論の考え方を学習する。

【準備学習】EcoLinkから配布資料をダウンロードし、よく読んでおくこと。
第5回賃金とは(2)賃金形態の発展過程を理解し、賃金と労働過程の密接な関連を理解する。

【準備学習】EcoLinkから配布資料をダウンロードし、よく読んでおくこと。前回休んだ者は、第4回の配布資料にも目を通しておくこと。
第6回賃金体系(1)年功賃金に対する一般的な理解の不十分さを学習し、正しい属人給、生活給、年功賃金の理解を目指す。

【準備学習】EcoLinkから配布資料をダウンロードし、よく読んでおくこと。
第7回賃金体系(2)日本的な職能給としての職能資格制度の正確な理解を目指す。

【準備学習】EcoLinkから配布資料をダウンロードし、よく読んでおくこと。前回休んだ者は、第6回の配布資料にも目を通しておくこと。
第8回賃金体系(3)日米の職務給の違いなどを示しつつ、職務給の多様性を把握し、同一価値労働同一賃金と賃金体系のあり方を考える。

【準備学習】EcoLinkから配布資料をダウンロードし、よく読んでおくこと。前回休んだ者は、第6回、7回の配布資料にも目を通しておくこと。
第9回日本の労働組合日本の労働組合の歴史的変遷や特徴などを紹介しつつ、賃金決定に果たす日本の労働組合の役割を理解する。

【準備学習】EcoLinkから配布資料をダウンロードし、よく読んでおくこと。
第10回春闘日本的な団体交渉制度としての春闘を歴史的・構造的に分析し、その役割を理解する。

【準備学習】EcoLinkから配布資料をダウンロードし、よく読んでおくこと。前回休んだ者は、第9回の配布資料にも目を通しておくこと。
第11回公務員の賃金制度公務員の賃金決定制度ともいうべき人事院の勧告制度を理解するとともに、公務員の賃金の特徴を理解する。

【準備学習】EcoLinkから配布資料をダウンロードし、よく読んでおくこと。前回休んだ者は、第9回、10回の配布資料にも目を通しておくこと。
第12回最低賃金問題(1)最低賃金制度の仕組みを理解し、最低賃金が賃金水準の底上げとなることによって、すべての賃金に影響する点を学習する。

【準備学習】EcoLinkから配布資料をダウンロードし、よく読んでおくこと。
第13回最低賃金問題(2)日本の低賃金構造と貧困問題を理解し、ワーキングプア問題の改善策を考える。

【準備学習】EcoLinkから配布資料をダウンロードし、よく読んでおくこと。前回休んだ者は、第12回の配布資料にも目を通しておくこと。
第14回前期の振り返りとレポートの説明前期の講義を振り返り、レポートの課題を説明する。
第15回前期の総括予備的に前期の総括をする時間とするが、経済学部の時間調整に従う。
第16回戦後日本の労働市場構造後期の雇用問題の講義の最初として、戦後日本の労働市場構造を概括し、歴史的な発展の中でその特徴と現状を紹介する。

【準備学習】EcoLinkから配布資料をダウンロードし、よく読んでおくこと。
第17回日本的雇用について日本的雇用の典型として、「終身雇用慣行」の特徴を分析し、その真の姿を明らかにする。

【準備学習】EcoLinkから配布資料をダウンロードし、よく読んでおくこと。前回休んだ者は、第16回の配布資料にも目を通しておくこと。
第18回雇用と失業問題正社員と非正社員の雇用のあり方を対比して雇用の問題を明らかにするとともに、失業問題にも様々な角度からメスを入れる。

【準備学習】EcoLinkから配布資料をダウンロードし、よく読んでおくこと。前回休んだ者は、第17回の配布資料にも目を通しておくこと。
第19回非正規雇用問題(1)非正規雇用の類型を示しつつ、パート等の非正規雇用労働者の問題点を明らかにする。

【準備学習】EcoLinkから配布資料をダウンロードし、よく読んでおくこと。
第20回非正規雇用問題(2)派遣、請負、契約社員、外国人労働者等の諸問題を明らかにし、非正規雇用問題の核心に迫る。

【準備学習】EcoLinkから配布資料をダウンロードし、よく読んでおくこと。前回休んだ者は、第19回の配布資料にも目を通しておくこと。
第21回雇用弱者(1)女性雇用弱者としての女性の雇用問題を様々な角度から取り上げ、問題の底辺に男性の問題があることを明らかにする。

【準備学習】EcoLinkから配布資料をダウンロードし、よく読んでおくこと。前回休んだ者は、第19回、20回の配布資料にも目を通しておくこと。
第22回雇用弱者(2)若年者世界的にも若者の雇用が危機に瀕している中で、日本の若者の雇用問題の特徴を明らかにし、改善策を探る。

【準備学習】EcoLinkから配布資料をダウンロードし、よく読んでおくこと。前回休んだ者は、第19回、20回、21回の配布資料にも目を通しておくこと。
第23回雇用弱者(3)高齢者高齢社会の中で避けて通れない高齢者雇用の諸問題を明らかにし、高齢者雇用対策の課題を明らかにする。

【準備学習】EcoLinkから配布資料をダウンロードし、よく読んでおくこと。前回休んだ者は、第19回、20回、21回、22回の配布資料にも目を通しておくこと。
第24回労働時間と生活時間労働時間は生活時間の一部としてのみ本来の姿を理解することができる。労働時間の本質的な部分を理解する。

【準備学習】EcoLinkから配布資料をダウンロードし、よく読んでおくこと。
第25回日本の労働時間制度日本の労働時間制度の歴史的、制度的な理解を通じて、労働時間の仕組みを紹介する。

【準備学習】EcoLinkから配布資料をダウンロードし、よく読んでおくこと。前回休んだ者は、第24回の配布資料にも目を通しておくこと。
第26回時間外労働問題(1)日本の労働時間問題の最大の問題点としての時間外労働の実態とその原因を明らかにする。

【準備学習】EcoLinkから配布資料をダウンロードし、よく読んでおくこと。前回休んだ者は、第24回、25回の配布資料にも目を通しておくこと。
第27回時間外労働問題(2)時間外割増の問題、サービス残業、過労死といった諸側面から、時間外労働問題を分析する。

【準備学習】EcoLinkから配布資料をダウンロードし、よく読んでおくこと。前回休んだ者は、第24回、25回、26回の配布資料にも目を通しておくこと。
第28回労働時間法制の問題時間外労働問題がなぜ解決されないのか、その本質部分として、日本の労働時間法制の問題を取り上げる。

【準備学習】EcoLinkから配布資料をダウンロードし、よく読んでおくこと。前回休んだ者は、第24回~27回の配布資料にも目を通しておくこと。
第29回まとめと学年末試験の説明後期のまとめと学年末試験の説明をする。
第30回総まとめ予備的な時間として、1年間の総まとめを行う。
授業形式 授業は、基本的に毎回パワーポイントを使って問題点、論点を中心に解説します。パワーポイントの配付資料は事前にDLし、よく読んでから授業に臨んでください。一年間の講義は3部に分かれています。しかし、各部の各回(各講)は、一応分かれていますが、前後のつながり、内容の関連性からして一連の流れで組立てられており、各部ごとにひとまとまりのものです。それゆえ、なるべく継続して出席してください。出欠は取りませんが、毎回出席して講義を聞くことが肝心です。配付資料だけでは、話の断片は理解できても、正確に内容理解することは困難です。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 講義態度
(出席)
その他 合計
60% 35% 4% 1% 0% 100%
評価の特記事項 前期(夏休み)レポートは、全体評価に大きく影響するので、これを提出しない場合、または締切に遅れた場合、大きく減点となり、単位取得が難しくなります。
テキスト なし(参考文献を参照)
参考文献 石畑良太郎、牧野富夫編著『よくわかる社会政策(第2版)』ミネルヴァ書房
木下武男著『日本人の賃金』平凡社新書
伍賀一道『「非正規大国」日本の雇用と労働』新日本出版社
オフィスアワー(授業相談) 火曜日12時半~14時
水曜日12時半~14時
事前学習の内容など,学生へのメッセージ 配付資料は、事前にEcoLinkからダウンロードしてよく読んで下さい。DLした配付資料のファイルは、プリントアウトするか、iPadやノートPCで見ることができます。
私語は厳禁。授業中の撮影、録音、スマホ・携帯の使用は厳禁です。
その他、常識とマナーを守れない者は、厳格な対応をとります。
一方、授業内容の質問などはいつでも歓迎します。