講義名 マーケティング論 ≪□第一部≫
講義開講時期 通年
曜日・時限 水2
単位数 4

担当教員
氏名
江上 哲

学習目標(到達目標)  企業活動において重要な取り組みであるマーケティングを基礎から順序よく、現実的かつ実戦的に習得することを目標とする。
 1 企業は、製品づくりや価格設定やCMなどをどのような戦略で行っている 
   か。
 2 企業は、消費者層をどのように分析しているか。
 3 なぜ消費者はブランドを欲しがるのか。
 劇的に変化している情報社会の消費者を理解しマーケティングを社会にでて使え るようにする。前半はマーケティングの基礎を学び後半はブランド戦略を勉強し ます。
授業概要(教育目的)  今年から、私が書いた電子ブックのマーケティングの教科書を使い、IT(情報技術)を十二分に活用し講義を行う。各自スマホ、タブレット、iPadなどの情報機器を手にしながら、インターネットの情報(動画、音楽、CM動画)などを講義中に使いながら勉強する。その都度、電子版のテキストからリンクの張られたCMなどを見たり、関係する分析を見たりして講義します。


授業計画表
 
項目内容
第1回マーケティングとは何か イントロダクション最初の講義では、電子ブック『マーケティングを知る』の使い方(チェックマークの入れ方、アンダーラインの引き方、専門用語の調べ方などを説明します。)。そして、体系的かつ社会的にマーケティングを勉強する始点を示します。
第2回Ⅰ部 マーケティングの生成アメリカの1920年代に誕生したマーケティングをGMとフォードなどの自動車産業の販売戦略を通して勉強します。事前にCiNiiなどの論文サイトで検索して、T型フォードに関する論文を検索し読んでおいてください。
第3回マーケティングの歴史的発展マーケティングが企業のなかでどのように発展し、重視されたかを勉強します。それと同時に、アメリカでのマーケティング研究の歴史も勉強します。
 テキスト『ブランド戦略から学ぶマーケティング』の第2章を事前に読んでおいてください。
第4回製品政策①企業がどのように製品づくりをしているかを、新製品開発、製品多様化、プロダクトライフサイクル戦略を勉強します。
第5回製品政策②製品差別化と市場細分化を詳しく実例を挙げて対比的に学びます。ここは、マーケティングを勉強する上で特に重要です。差別化と細分化の異同を自分で事前に考えて講義を受けてください。
第6回製品政策③製品作りの国際化を勉強します。国際マーケティングにおける「標準化型」と「現地的適応型」を勉強します。
 マクドナルドなどのグローバル企業に関する論文を事前にCiNiiで検索して学習しておいてください。
第7回価格政策①企業が価格を設定する時に、どのような戦略を考えているかを、「参照価格」や「値ごろ感」という概念を通して学びます。
第8回価格政策②大規模メーカーが行う再販売価格維持行為を学び、なぜ大企業は非価格競争を行うかを学びます。再販売価格に関する裁判を事前に調べておいてください。
第9回流通経路政策①メーカーと商業(卸売商業と小売商業)の関係を流通経済論や商業資本論を基礎に勉強します。そこでは、まずなぜ卸売商業や小売商業は存在するのか。商業経済論とマーケティングの関係を「商業排除傾向」論を軸に勉強します。
第10回流通経路政策②メーカーの流通経路戦略を4つの類型を示しながらそれぞれの型を勉強します。さらにメーカーと小売業などの「製販同盟」などについても勉強します。
第11回流通経路政策③日本の流通機構の特徴を、トヨタ自動車のマーケティング・チャネル政策の歴史的に学び、その卓越さや問題点を学びます。トヨタ自動車の販売店について事前に調べておいてください。
第12回プロモーション政策①
企業のメディア戦略全般、セールス、PRを勉強します。最近では、テレビ、雑誌、新聞、ラジオ、ネットなど総合的なメディアミックスが重要になっている点を、次に学ぶブランド戦略と関連して学びます。
第13回プロモーション政策②
テレビCMなどを中心にその制作意図などをCM動画を使い学びます。具体的にはなぜ企業は「イメージ広告」、「面白CM」などを行うかなども分析します。
 前回の講義で企業のホームページにあるCMギャラリーを見おいてください。
第14回プロモーション政策③
PRとセールスについて学びます。最近のセールス管理におけるテキストマイニング手法など、最前線の戦略を学びます。
第15回前半のまとめ4pを中心としたマーケティング戦略を復習し全体的に整理しまとめます。
第16回Ⅱ部 ブランド  ブランド戦略の重要性今日のマーケティングで企業が力を入れているブランド戦略の基本を学びます。
 映画「桐島、部活やめるってよ」(吉田大八監督作品)を見ておいてください。
第17回ブランドと消費者の欲望なぜ消費者はブランドを欲しがるのか考えます。特に欧米の消費者と比較して、日本人がブランド品を重視する点に注目し、ブランドへの欲望を分析的に解剖します。
 事前に石井淳蔵氏の『ブランド』(岩波新書)を読んでおいてください。
第18回ブランドの価値とは①ブランドの「価値」を理論的に学びます。貨幣論の「価値形態論」を基礎に、ブランド価値論を体系的に体得します。事前に岩井克人氏の『貨幣論』(ちくま文庫)を読んでおいてください。
第19回ブラント戦略の理論と実際教科書『ブランド戦略から学ぶ』の4章を参考に、企業が自らのブランド戦略において、なぜ「自画自賛」戦略をいかに「他画多賛」風な戦略とするかを理論的に学びブランド戦略をまとめます。
第20回Ⅲ部 STPC 
セグメンテーション戦略①
ここからSTPCというよりマーケティングのミクロ的な戦略を学びます。最初は、市場細分化戦略をより詳細に勉強します。
第21回セグメンテイーション戦略②消費者層を探す手法を統計的分析を踏まえて勉強します。特に、ビックデータ時代を意識して、SNSなどのデータの活用なども学びます。
第22回ターゲティング戦略①企業がターゲットとする消費者を分析し、選定する方法を学びます。そこではテキストマイニングの手法などを実例を示して講義します。
第23回ターゲティング戦略②具体的に企業がどのように消費者の標的を絞っているかを、放送局など実際の企画案などを示しながら実戦的に勉強します。
第24回ポジショニング戦略①サッカーでゴールを狙うとき、どのポジションがいいのかを練習するように、企業側が標的(消費者)を狙う位置取りを勉強します。具体的にはSWOT戦略などを勉強します。
第25回ポジショニング戦略②標的としての消費者を絞る戦略を具体的に勉強します。例えばカフェなどにおいて、新たな「消費者層」を発見する手法を具体的に示しながら講義します。
第26回マーケティング・コンセプトとはこれまでのSTPを統合するマーケティング・コンセプトを勉強します。そこでは、具体的消費から抽象的消費へ向かう消費者の欲望論をポピュラーな音楽などを例に挙げ勉強します。歌手・中森明菜の歌(売野雅勇作詞)を題材に説明しますから、事前にその歌詞しれべたり、歌を聴いておいてください。
第27回Ⅳ部 消費者行動とマーケティング
消費者行動と小売商業
さらによりミクロ的かつ実戦的に消費者行動をマーケティングの観点から勉強します。具体的にはコンビニや小売店などの店舗内の消費者行動を「バスケット分析」や「アソシエーション分析」などで学びます。
第28回消費者行動分析とビックデータSNSのデータをどのように消費者分析に活かすかなファッション投稿サイト「WEAR」などを使い実際に最先端の手法でデータ分析やネットワーク分析をします。「WEAR]サイトを実際事前に見ておいてください。
第29回消費者問題とマーケティングこれまでのマーケティング戦略の問題点を取り上げ、これからのマーケティングを考えます。そこでの基本的問題は「消費者情報の非対称」をどうマーケティングにおいて解消するかが焦点となります。
第30回まとめ全体のマーケティング論を振り返り、マーケティングから見える社会を再確認します。
授業形式  今年から電子ブックの教科書を活用して講義をします。今までにない形式だと思います。したがって、受講者は、スマートホン、パソコン、タブレット、電子パットなど持参してください。その機器に教科書をダウンロードして、そのデータを見ながら授業を進めます。電子ブックの使い方は最初の授業で説明しますので、受講志望者は必ず出席してください。なおアマゾンのアカウントを最初の講義までに用意しておください。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 講義態度
(出席)
その他 合計
70% 5% 20% 5% 0% 100%
評価の特記事項 前期に1回、後期に1回小テストを行います。期日は授業の進み具合で決めますので、授業中に告知します。なによりも出席を重んじます。また、レポートなどの提出の期日を守ることなども評価対象とします。
テキスト ①江上哲『電子版 マーケティングを知る』。最初の講義の時にダウンロードの仕方を紹介します。(1000円)
②江上哲『ブランド戦略から学ぶマーケティング』ミネルヴァ書房、2013年
参考文献 内田樹『下流志向』(講談社文庫)572円。
江上哲『「もしドラ」現象を読む』海鳥社、2376円。
江上哲『なぜ日本企業は「消費者の満足」を得られないか』日本経済新聞社。
オフィスアワー(授業相談) 水曜日12時15分から12時55分
事前学習の内容など,学生へのメッセージ  講義のなかで紹介する映画や小説やCMなどを観たり読んでおいてくれればと思います。
 なお電子ブックで講義を行いますので、スマホかノート型パソコンかiPadなどの機器を準備してください。また、その電子ブックによりその場で各自、アンダーラインを引いたり、専門用語をその場でし調べたり、CMの動画を見たりして講義を進めます。また、電子ブックで通学途中の電車の中などでも予習や復習ができると思います。電子ブックならではの特徴を生かしてマーケティングの講義をしたいと思います。