講義名 簿記Ⅰ ≪□第一部≫
講義開講時期 通年
曜日・時限 火4
単位数 4

担当教員
氏名
挽 直治

学習目標(到達目標)  企業の経営活動を貨幣金額によって,体系的,継続的に記録・計算・整理する技法である複式簿記(Double-entry Bookkeeping)の仕組を体得する。本講義では複式簿記の基本原理について,主に個人企業の商品売買業を取り上げて,簿記一巡の手続,すなわち,取引→仕訳帳→元帳→試算表→決算整理→帳簿決算→財務諸表の作成→開始記入という手続を正確に修得することを主目標とする。
授業概要(教育目的)  企業は日々の経営活動のうち,資産,負債,純資産の増減に影響を及ぼす取引をすべて記録し,ある一定期間の経営成績と一定時点の財政状態を明らかにし報告するために財務諸表(financial statements)を作成しなければならない。本講義では「事業の言語」の基礎知識として,複式簿記という会計システムを体得する。
授業計画表
 
項目内容
第1回講義ガイダンス簿記の目的と種類。小テストの日程,期末試験についてのガイダンスを行う。
第2回簿記の要素(1)簿記の基礎的前提,資産,負債,純資産の意義,純資産等式と貸借対照表等式,貸借対照表(Balance Sheet)から,どのような会計情報を知り得るか,を理解する。
第3回簿記の要素(2)収益,費用の意義,どのような収益と費用から損益計算書(Profit and Loss Statement)は作成されるのか,純損益計算の意義を検討する。貸借対照表と損益計算書の関係についても考察する。
第4回簿記上の取引勘定の意義と種類,勘定の記入法,取引の結合関係。
【準備学習】
第2回~第3回の講義で学習した簿記の要素を正確に修得していることが課題となる。
第5回仕訳と転記仕訳と転記の意義を理解し,仕訳張と総勘定元帳の記入法を取引の結合関係を踏まえ,記帳練習を行い修得する。
【準備学習】
第4回の講義で配布した資料の解答,解説を行う。予め解答しておくこと。
第6回現金・預金取引補助簿の役割ならびに現金出納帳と当座預金出納帳の記入法。
第7回商品売買取引3分法にはどのような特徴があるのか,商品の値引と返品の会計処理について検討する。仕入帳と売上帳を作成する。

第8回掛取引現代の企業間取引は信用経済のもとで,掛取引と手形取引によることが一般的である。信用取引に関するさまざまな具体例を取り上げる。
【準備学習】
3分法に関する課題の解答,解説を行う。予め解答しておくこと。
第9回貸倒れの会計処理得意先が倒産した場合,どのような会計処理を行うのか,貸倒引当金の設定根拠を検討する。
第10回試算表の意義と種類総勘定元帳の正確さはどのように確かめるのか,を演習問題をとおして検討する。
第11回決算手続の概要一定の会計期間の経営成績と一定時点の財政状態を明らかにするため,期末の帳簿を締め切り整理する一連の手続を習得する。
第12回決算整理記入3分法による売上原価の算出,売上債権の貸倒れの見積り,固定資産の減価償却(意義,計算方法,記帳方法),売買目的有価証券の評価,費用・収益の繰延と見越等決算整理における会計処理を検討する。
第13回8桁精算表の作成試算表,決算整理,貸借対照表,損益計算書の一覧表である8桁精算表の意義を検討する。
第14回8桁精算表の作成演習8桁精算表の作成演習を行う。また,簿記一巡の手続を正確に理解しているかを問う。
第15回中間のまとめまとめ
第16回講義ガイダンス小テストの日程,期末試験についてのガイダンスを行う。中間試験答案の返却ならびにその解答,解説を行う。
第17回手形取引(1)
約束手形・為替手形の取引に関する記帳,受取手形記入帳,支払手形記入帳の記入を修得する。
第18回手形取引(2)
その他の債権・債務取引
手形の裏書と割引に関するさまざまな具体例を取り上げ記帳練習を行う。
企業間取引で発生する債権・債務のうち,売掛金・買掛金,受取手形・支払手形以外の債権債務についての記帳法を習得する。
第19回有価証券取引企業が売買目的で保有する株式,社債に関して,その購入と売却についての会計処理を検討する。
【準備学習】
第17回~第18回の講義で配布した資料の解答,解説を行う。予め解答しておくこと。
第20回固定資産取引(1)企業が所有する建物,備品,構築物などの固定資産について,その取得と売却に関する記帳法を修得する。
第21回固定資産取引(2)固定資産に係る費用の期間配分の意義を検討するとともに,貸借対照表の表示を学ぶ。
第22回決算手続前期の内容を踏まえ,決算手続に関する問題演習を行う。予め配布した課題の解答をしておくこと。
第23回経過勘定項目前期の内容を踏まえ,費用・収益の繰延と見越について,決算整理における会計処理を復習する。なお,買掛金,未払金,未払費用の異同など会計用語の知識が正確に理解されているかを問う。
第24回試算表の作成問題日々の取引が相互に関連している会計取引を正確に記帳しているかを問う。
第25回資本金と引出金個人企業の資本金と引出金の記帳法を修得する。
第26回税金の会計処理(所得税と固定資産税)個人企業に課せられる税金の種類にはどのようなものがあるのか,費用として認識される税金と認識されない税金の会計処理の異同を検討する。
第27回複式簿記と財務会計財務諸表に開示されている項目・数値の会計的意義を検討する。
第28回総合問題演習(1)既習の内容すべてに関して問題演習を行う。
第29回総合問題演習(2)総合問題演習の解答と解説を行う。また適宜質問の時間にあてる。
第30回期末のまとめまとめ
授業形式  簿記の上達は一方的に講義を受けるだけではなく,自ら練習問題を解き,問題点を明らかにして修得するほかない。本講義では問題解決能力を向上させるため,練習問題の解答練習を繰り返し行う。毎講義において資料を配布する予定である。
評価方法
定期試験 レポート 小テスト 講義態度
(出席)
その他 合計
70% 0% 25% 0% 5% 100%
評価の特記事項 講義中,積極的に質疑応答した学生に対しては,加点評価する。
テキスト 中村忠『新訂現代簿記(第5版)』白桃書房,1,905円(税別).
参考文献 渡部裕亘・片山覚・北村敬子編著『検定簿記ワークブック3級 商業簿記』中央経済社,700円(税別).
オフィスアワー(授業相談) 火曜日,4時限終了後,本館2階
事前学習の内容など,学生へのメッセージ  簿記の科目は性質上,期末試験の直前に網羅的内容を詰め込むことは困難であり,会計学の基礎をしっかりと築くための初めの重要なステップであることを忘れないでほしい。